著者
松井 彰子 中島 淳
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History
巻号頁・発行日
no.74, pp.1-15, 2020-03-31

日本に分布するドジョウMisgurnus anguillicaudatusにはミトコンドリアDNAおよび核DNA領 域にもとづく3つの遺伝的系統が存在し,A および B-1は在来系統,B-2は中国大陸からの外来系統であ ることが知られている.本研究では,大阪府内で採集されたドジョウの遺伝的系統を調べ,遺伝的系 統間で形態的特徴を比較した.さらに,系統間の形態的差異に基づいて過去の標本の遺伝的系統を推 定し,大阪府内における遺伝的系統の分布とその変化を追った.その結果,大阪府には B-1および B-2 系統が分布しており,在来系統である B-1系統の分布は局所的である一方で,中国大陸系統である B-2 系統は広範に分布していること,さらに,両系統間での交雑が進み在来系統のみで構成される純粋な 集団は大阪府北部の非常に限られた水域にしか分布していない可能性があることが分かった.また, もともとは府内に広く分布していた在来系統は,ここ数十年のうちに急激に分布域を狭めた可能性が 高く,存続が脅かされている状況であると考えられる.

言及状況

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淡路市浦川でつかまえたドジョウ、背鰭の軟条数が8なので、まだ腹・尻・尾鰭間の長さは確かめていないけど、外来系統の可能性が高そう。淡路島の里の川でも外来系統に置き換わっているのだとしたらとても悲しい。 https://t.co/KryhsNd6HV https://t.co/Hs3E0lu1qi
大阪府のドジョウもほぼ、外来の中国系統です。府内のごく一部に残った在来系統の保全を急ぐ必要があります。在来系統と外来系統の外部形態の違いや大阪府での分布変遷についての報告を2020年に出しました↓ https://t.co/DJIbvfznke 神奈川に生息のドジョウほぼ“外来種” https://t.co/WAZPR6FNn5
@CANDE69244283 背鰭分枝軟条数と尾鰭・臀鰭などの位置関係から判断するに、外来かなぁと思いました。 こちらの論文が参考になるかと思います。 https://t.co/QMrkpGjulK
関連する論文はこちらからダウンロードできます。 https://t.co/WP7Avb3cUS
「大阪府におけるドジョウの在来および外来系統の分布と形態的特徴にもとづく系統判別法の検討」興味深い。背鰭分岐軟条数6、Y(169)/X(130)=1.3、これは在来(B-1)系統で良さそう。 https://t.co/ncRJWfiS58 https://t.co/FrNWkpSA1W

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