著者
小杉 考司
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 心理学篇 (ISSN:21858276)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.39-49, 2023-03-15

心理学の研究方法として心理尺度を用いたものは数多くみられるが,心理尺度が何を表現しうるかについて,その方法論的根拠が明確でないものが多く含まれる。このような問題が生じる原因は,尺度作成が手続的には非常に容易になったこと,客観的に判断する数値基準が容易に達成できることがあると考えられる。そこで本稿ではデモンストレーションとして,身長と体重を測定する客観的な基準を満たす尺度を作成した。この心理尺度の作成を通じて,あたかも心理学的な測定ができたかのような議論の展開ができること,こうした試みが原理的に排除できないことを示した。また心理学的議論がミスリードされないようにするために,心理尺度の仮定や適用の限界を再確認し,今後必要な議論の展望を論じた。

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小杉考司「心理尺度の開発と利用における問題の所在」 何を測っているのかを明確にしなくても形式的には妥当な心理尺度ができてしまう、わかりやすいデモ。 p.47の「この問題を〜」からの議論が少し理解しづらい。意味空間における共変動とはどのようなものか。 https://t.co/b8PdD4FGmR

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