著者
小室 丈夫 矢野 謙三郎 服部 静夫
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.937, pp.376-380, 1966 (Released:2006-10-31)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

(1)暗所においたタバコの葉のデンプンは24時間で完全になくなることはない.(2) タバコの品種によりデンプンの減少するはやさにちがいがみられる. デンプンがほとんど全部消失するまでに Bright Yellow と備中葉では少なくとも 120 時間, White Burley では約 96 時間を要する.(3) 芯どめ処理をしたものからとった葉と, 芯どめ処理をしないものからとった葉とでは, 暗処理によるデンプン含量の変化に若干の差がみとめられた.
著者
藤田 哲夫
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.898, pp.138-141, 1963 (Released:2006-12-05)
参考文献数
3

ホウズキの幼植物の葉序は, まず2枚の子葉が対生し, そのすぐ上の葉からは2列互生になり, ついで1+2の交走斜列をもったらせん配列になる. ところが生長して花をつけるようになった葉条部では, 一節から大きさのやや異なる2枚の葉がほぼ100°の開度をもって双生し, しかも2葉間のすぐ上のところに1個の花をつけた異様な葉序が見られる. この1対の葉のうち比較的大きいものを+葉, 小さいものを-葉とすれば, 各節の+, -葉はけっして十字対生をなさず, それぞれ茎の側方にジグザク状に配列している. このようにホウズキの葉序が他の植物とはかなりちがっているのは, ホウズキの茎が単軸でなくて, 仮軸になっているからである. すなわち各節ごとに+葉の腋芽が発育して主軸状になって, それまでの下方の軸と入れかわり, 下方の軸の先端は側方にそれて花になり2葉間に終わっているのである. すなわち花をつけるようになった葉条部は, いわゆるanthocladiumを形成しているわけである.各腋芽には2枚の葉しかできず, その中の最初の葉 (-葉にあたる) が, 下方の軸の2番目の葉 (+葉にあたる)とともに対をなして1節に双生しているのである. 葉の発生の初期には, 1節につく+, -葉の 始原体の着生位置は上下にわずかながらへだたっているが, その後葉は著しく大きく生長しても葉の節間 はほとんど伸びないために, 生長後は同一の節上に生じたようになるのである. ときにその節間が伸びた ために2葉が対にならず, 上下に著しく離れている場合も見られる.
著者
田中 信徳
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.650, pp.55-65, 1941
被引用文献数
15

本報ニ於テハはたがや (<i>Bulbostylis barbata</i>), かはらすがな? (<i>Cyperus sanguinolentus</i>), こしんじゅがや (<i>Scleria tesselata</i>), ひめくぐ (<i>Kyllingia brevifolia</i> var. <i>leiolepis</i>), いぬのはなひげ (<i>Rhyncospora japonica</i>)ノ5種ニツキ其染色體數ト花粉發達トヲ記シタ。染色體數ハはたがやn=5, かはらすがなn=24, こしんじゅがやn=14, ひめくぐn=60, いぬのはなひげn=31デアル。<br>いぬのはなひげヲ除イタ4種ニ於テハ本科特有ノ花粉發達ガ見ラレタ。即チ減數分裂ニヨツテ生ジタ4核ノ内, 楔形ヲナシテヰル花粉母細胞内ニテ最外側ニ位置スル1核ノミ花粉核トシテ生長シ, 他ノ3核ハ母細胞ノ内方隅ニ押込メラレテ退化スル (コレラノ内方隅ニテ退化スル3核ヲ&ldquo;<b>先端核</b>&rdquo;ト名付ケル)。花粉核ハヤガテ花粉第一分裂ヲ行ヒ内方ニ生殖核, 外方ニ榮養核ヲツクル。前者ハソノ周園ニ發達シテクル隔膜形成體ノ融含ニヨツテ生殖細胞トナル。<br>所ガいぬのはなひげニ於テハ4核ノ内3核ガ退化スルコトニハ變リガナイガ, 母細胞ノ内方隅ニ於テデハナク, ソノ反對側ノ廣イ場所即チ楔形細胞ノ底面ニ於テ退化スル(コノ場合ノ退化スル3核ヲ前記ノ先端核ト區別シテ&ldquo;<b>底位核</b>&rdquo;ト名付ケル)。コノ新事實ハ從來本科ノ花粉發達ガ被子植物群中全ク他トカケハナレテ居リ, 相互間ノ關係ガ不明デアツタノニ對シテ一ツノ手懸リヲ與ヘタモノトシテ意義ガ大キイ。即チ花粉發達過程ノ細胞學的見地ヨリ見ル時, 本科ニ最モ近似ノ花粉發達型ヲ有スルとうしんさう科(Juncaceae)ト系統的ニ近縁デアルコトガ知ラレタノデアル。とうしんさう科デハ4核ノ内3核ハ母細胞ノ外側ノ廣イ場所ニ移動シ&ldquo;底位核&rdquo;トナリ, 生殘ル1核ハ母細胞ノ中央ニ殘リ花粉核トナル(とうしんさう科デハコノ生キ殘ル花粉核ヲ漫然ト&ldquo;先端核&rdquo;ト呼ンデヰルガ,&ldquo;花粉核&rdquo;ト呼ブベキデアル)。コノ底位核ハ丁度いぬのはなひげノ退化スル3核ニ相當スル かやつりぐさ科ノ先端核或ヒバ底位核ハ殆ド分裂セズ, 稀ニ分裂シテモ再ピ一ツニ融合シテシマフガ, とうしんさう科ノ底位核ハ明ラカニ花粉第一分裂ヲ行ツテ生殖核ト榮養核トニナル然シ花粉四分子ニマデ分化スルコトナク, 結局1個ノ退化花粉四分子型ノ花粉トナル。換言スレバいぬのはなひげノ花粉發達ハとうしんさう科ノソレヨリ退化ガ更ニ一歩進ンデヰルモノト言ヘヨウ, ソシテ底位核ノ更ニ退化シ状態ガすげ屬ほたるゐ屬等ノ光端核ト考ヘラレル。<br>本科ノ花粉發達ハ現在マデ9屬ニ就イテ研究報告セラレテヰルガ, 4核ノ内3核ガ退化スルコトハ凡ベテニ共通デアルガ, ソノ退化ノ程度ニ僅カヅツノ差ガアリ, ソノ程度ハ染色體基本數ト聯關スル傾向ガアル。
著者
Shigeru Miki
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.587, pp.773-780, 1935 (Released:2007-05-24)
被引用文献数
3 3
著者
高沖 武
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.972, pp.244-252, 1969 (Released:2006-10-31)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

In a previous paper the author presented a new simple volumeter for measurement of photosynthesis and respiration rates with the use of a low power microscope. This was improved to permit the measurement without the microscope. Five to seven volumeters, one being thermobarometer, were used simultaneously. Photosynthesis rate is measurable within about 10minutes, and respiration rate within about 30minutes. This apparatus is useful in measurements not only indoors but also outdoors. Presented in this report are the data obtained from measurements made indoors and outdoors on 32 species of plants; that is 1 aquatic, 3 marine and 28 land plants. The apparent photosynthesis rates are generally larger than those previously observed under near-natural conditions. This may be due to the high concentration of CO2 (2.7%), high temperature (30°), and also the use of cut leaf strips permitting large gas exchange through the cut surface. In a leaf of Ficus elastica the photosynthesis rate was somewhat higher at the more apical and near-margin parts of the leaf than at the basal and near-midrib ones, respectively. No such difference was seen on the respiration rate.
著者
HURUSAWA Isao
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.703, pp.71-76, 1947

1) アマミヒトッバハギ 奄美大島にヒトツバハギの一變種があるので報告する. 因に, <i>Securinega</i> 屬に就て少し考へてみる. Pax-Hoffmann の system で subtrib. Glochidinae 及び subtrib. Phyllanthinae は甚だ混亂した群概念で其中に於ける屬相互の關聯づけにかなり不自然な點が見られる. <i>Securinega</i> (及び他一, 二の屬)と <i>Phyllanthus</i> (及び <i>Reverchonia</i>) とを假雄蕊の有無により區別したことは機械的である. <i>Phyllanthus</i> に近縁の <i>Glochidion</i> (兩者を別のsubtrib. とすることも穏當でないが) は現在通用せる概念では假雄蕊を有するものと全然缺くものとある. 少し距るが <i>Antidesma</i> では同種内で (同一個體に於てさへ) 屡々明瞭なもの, 不明瞭で痕跡的なもの, 缺除せるものが混在する. 花部要素の基數に就ても <i>Phyllanthus</i> の3, 6 と<i>Securinega</i>の5 とを其の發生的な考慮なしに區別點に使ふのは安易な觀方であらう. <i>Securinega</i> 屬の概念が或程度生態的な外觀に基いたことを反省して舊い觀方ではあるが, <i>Phyllanthus</i> との關聯に於て再檢討される必要がある. 序ながら臺灣のシマヒトツバハギ屬 <i>Fl&uuml;ggea</i> は <i>Securinega</i> から屬として區別すべきでない. 根據詳論は別の機會にゆづる.<br>2) コバンノキ 前項にも觸れたように <i>Phyllanthus</i> をめぐる諸屬は尚廣汎な revisio を要する群であるが, 其の一つコバンノキは最初 <i>Cicca</i> 屬として, 後 <i>Phyllanthus</i> の下に, 或はMiquel や Pax により <i>Glochidion</i> に編入され變遷を經たが, 嘗て Baillon が <i>Hemicicca</i> として獨立せしめたことがある. <i>Phyllanthus</i> に最近縁であるが Baillon の意見を最も妥當と思ふ. 臺灣の <i>Hemicicca tetrasperma</i> (Hayata) の他, 中國(大陸)に若干, 茲に屬するものがある.<br>3) オゼヌマタイゲキ 尾瀬平に産するハクサンタイゲキの少し變つた型. 子房外面の疣状突起の間に長軟毛を生ずる. 此の形質は本屬中でも稀で, 邦内では <i>Euph. togakusensis</i> Hayata, アジア大陸では印度シツキム地方の <i>Euph. sikkimensis</i> Boissier, 滿洲産 <i>Euph</i>. <i>barbellata</i> Hurusawa などに見られる. <i>E. togakusensis</i> の基準型 (type-specimen による) は莖葉廣く殆ど楕圓形で基底鈍形であるが, 本植物では莖葉狹く基脚は漸尖して短い葉柄へと流れ込む. 久内清孝氏が蛭ヶ野よりもたらされた植物は更に此の傾向著しく, 莖葉披針形で外觀が偶然東大〓葉室に一枚標本のある <i>E. sikkimensis</i> に似て來るのは面白い (但し兩者の直接關係は考へられない. 差異點は略す). <i>E. barbellata</i> は <i>Euph. pekinensis</i> Ruprecht 系統のものである. <i>E. pekinensis</i> 系のものは平地にさかえ, その諸型が高山に見られる (var. <i>Fauriei</i>, var. <i>ibukiensis</i> 等)が, <i>E. togakusensis</i> は低地に降らない. 尾瀬平は最も低い出現であらうか.<br>4) キヌゲソウ <i>Cymbaria dahurica</i> Linn. の Maximowicz 氏による解釋は廣範圍の諸型を含めてかなり大きく見てゐるようである. 滿洲産ウスギヌサウ狹義の <i>Cymb. dahurica</i> に比して, 察哈爾省産の本植物はより密なる絹毛を植物全體に布き, より大形の美花をつける. 富樫氏の採集品による.<br>5~8) 富樫氏の北支植物採集標本は豊富な <i>Pedicularis</i> 屬の種類を含むでいた. 各種諸型の系統關係に就てはいづれ他の機會に記す. 各種に就いての解説は省略. 其の中, 山西省五臺山のセイリヤウシホガマ <i>Pedicularis tristis</i> Linn. var. <i>Nakaiana</i> Hurusawa は興味ある種類であつた. 葉形や植物全姿に於て幾分北部朝鮮産のナギナタシホガマ <i>Ped. lunaris</i> Nakai を想はせるものがあるが, 花部形態で明かなごとく全く別系統に屬する. 生育形態の似た種類を印度南部やセイロン島に産する <i>Ped. zeylanica</i> Benth. 或はチベツト, ヒマラヤ, シツキム産の <i>Ped. trichoglossa</i> Hook. fil. に於て氣附くのであるが, 花部器官の分折からこれ等との近縁關係は極めて薄い. オニシホガマ節 sect. Anodon とシホガマギク節 sect. Rhyncholopha とを繋ぐ中間型的な (後者の群に屬せしめ得るが) 種類である. 變種名は恩師中井猛之進先生に捧げた. 和名は五臺山本來の名稱清涼山より採る.

1 0 0 0 OA 雜録

出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.261, pp.356-374, 1908 (Released:2013-05-14)
被引用文献数
1

1 0 0 0 OA Alabastra Diversa I

著者
F. Maekawa
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.549, pp.561-586, 1932 (Released:2011-01-26)
被引用文献数
3 6
著者
辰野 誠次
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.585, pp.628-635, 1935 (Released:2007-05-24)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

1. 予ハうろこごけ目19種ノ Heterochromosomen ニ就テ觀察ヲ行ツタ。此等ノ中 Madotheca 屬ノ4種ハ1個ヅツノ Heteroechromosom Hノミヲ有スルガ, 他ノ15種ハ何レモ2個ヅツノ Heterochromosomen H, hヲ合セ有ス。2. 苔類ノ Heterochromosomen ハ屡ゝ性染色體トシテ分化シテヰル。此等性染色體ハ二系統ニ大別サレ, H-染色體カラ分化シタモノトh-染色體カラ分化シタモノトガアル。而シテH,hハ互ニ起源ヲ異ニスルモノデアルカラ, 從ツテ苔類ノ性染色體ハ二種ノ起源ヲ有スルコトガ明デアル。3. Calobryum rotundifolium ハH, hヲ合セ有スルガ, 兩者ノ中Hノミガ分化シテ雌雄ノ間ニ性染色體トナツテヰル。
著者
Shigeru Miki
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.569, pp.326-337, 1934 (Released:2007-05-24)
参考文献数
7
被引用文献数
2 4
著者
有賀 祐勝
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.931, pp.20-27, 1966 (Released:2006-10-31)
参考文献数
13
被引用文献数
3 7

植物の光合成にはクロロフィルのほかに種々の色素が間接的に関与しているが, 水界の主要な生産者である植物プランクトンの現存量を, 光合成に直接関与するクロロフィルの量として測定することが近年世界的に広くおこなわれるようになってきた. しかし, 水界のクロロフィル量と一次生産量との関係についての解析的な研究はまだほとんど見られない. そこで, 水中のセストンがすべて植物プランクトンで占められているような理想的な状態を仮定し, しかも水中の各層に植物プランクトンが均一に分布しているものとして, クロロフィル量と生産層の深さおよび一次生産量との関係を, 水中での光の減衰と照度の日変化および植物プランクトンの光合成曲線をもとにして求めることを試みた.海洋や湖沼の水中の光は水および水中のセストンや溶解物による選択的吸収のために波長組成が水深にともなって変わり, このことが植物プランクトンの光合成に影響をおよぼしていることが予想されるが,こうしたことを一次生産の算定上どの程度まで考慮すべきかについての十分な資料がまだ得られていないので, 現状では光を波長別に分けて取扱っても効果があがるまでにいたっていない. したがって, ここでは培養した Scenedesmus の種々の濃度の懸濁液をつくり, 波長組成をとくに考慮しないで太陽光の下で測定したそれぞれの吸光度をもとにして種々のクロロフィル濃度の場合の水中照度の減衰を求め, 生産層の深さを一般に認められているように水表面の光が1%になる深さまでとして, クロロフィル濃度と生産層の深さおよび生産層内の全クロロフィル量との関係を求めた. クロロフィル濃度が著しく高いときには生産層は非常に浅く, 単位面積あたりのクロロフィル量は濃度に関係なくほぼ一定で900mg/m2という値が得られた. クロロフィル濃度が低くなると水中の光の透過はよくなって生産層は深くなるが, 水そのものによる光の吸収がだんだん大きくなるため, クロロフィル濃度が約5mg/l以下では生産層中のクロロフィル量は生産層が深くなるにつれてだんだん減少する. したがって, 水そのものによる吸収がほとんど無視できる深さまでを除き, 生産層が深くなるにつれて光の利用率は低下することになる.5月の平均照度について20°のときの Scenedesmus の光合成曲線を用いて算定すると, 1日あたりの総生産量はクロロフィル濃度が5mg/l以上ではほぼ一定で24gC/m2/day, 純生産量はクロロフィル濃度1mg/l以上ではほぼ一定で19.5gC/m2/dayが得られた. クロロフィル濃度がこれらの値以下になると生産層が深くなるにつれて総生産量も純生産量もだんだん低下する. 30°および10°の場合には20°のときの値のおよそ145%および42%の値がそれぞれ得られた.これに対し, 自然の水界ではつねに植物プランクトン以外のセストンや種々の溶解物が多量に存在するので光の透過は著しく悪くなり, 生産層中のクロロフィル量は水の華の時期を除き上記の値よりも著しく低い値が測定されている. 一般に水界生態系では光合成組織の量に相当するクロロフィル量は単位面積あたりで比較すると, 陸上の植物群落のクロロフィル量よりも著しく少ないといえる. また, 上に記した1日あたりの一次生産量は, 非常に好適な条件のもとで得られている最大値にほぼ近い値である. しかし,水中のクロロフィル濃度が高い場合には, 普通はCO2や種々の栄養物質が不足するため上記のように高い生産を持続することは, 人工的に種々の手段を用いてこれらの必要物を供給できる場合を除き自然界では極めて困難であると思われる.
著者
進藤 公夫
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.932-933, pp.124-130, 1966 (Released:2006-10-31)
参考文献数
7

1. The distribution area formerly known for Kalimeris incisa DC. in Japan was from Kyushu to Kinki District of Honshu. The present investigation revealed that the distribution of this species extends eastward into the western and southern lowlands of Chubu District in central Honshu.2. At many localities within the distribution area, K. incisa was growing together with a morphologically similar heptaploid sepcies K. yomena. But K. incisa seemed to prefer habitats a little drier than those of K. yomena.3. Except some insular and periferal populations, K. incisa showed a high degree of individual variability, and the range of variation at any one locality closely approximated that which occurs over the entire species range in Japan.4. The results of a chromosome count revealed that K. incisa in Japan is nearly stable as an octoploid species with 2n=72. It showed, however, a peculiar pattern of variation in chromosome number that the frequency of aneuploids with 2n=71 or lower chromosome numbers is much higher than that of aneuploids with 2n=73 or higher chromosome numbers.5. Some clones were found to include one or two large chromosomes in their somatic chromosome complements. Those chromosomes are presumably derived from a species of Aster.