著者
多々見 和子
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・生活造形学研究 (ISSN:02868059)
巻号頁・発行日
no.24, pp.169-180, 1993-01-31

V字ウエスト切り替えのワンピースドレスは舞台衣裳, ウエディングドレス,イブニングドレスなどに多く見られ, 又, 学生も好んで製作してきた。V字ウエスト切り替えのフレアースカートのワンピースドレスについて, これまで何回か製作を行なってきたが, 的確な製図方法はなかった。つまり, 従来の方法では, 身頃よりスカートのつけ寸法が大きく, 縫い合わせる段階でつけ寸法を調整したり, 感覚的に補正することが多いことに疑問を持ち, V字の傾斜のポイントが変化しても, 身頃とスカートのつけ寸法が合い, フレアーがきれいに落ちつくような, 補正の少ない正確な製図を出せないものかと思い, 理論的に解決すべく, 研究することにした。その結果, V字ウエスト切り替えのワンピースドレスのフレアースカートの製図について, ひとつの製図の方式を作り出すことができた。又, ギャザースカートへも同じ理論づけを得ることができ, これをヒントに, 円裁ちスカートの製図について, 全円のみでなく, 色々な角度のフレアースカートとギャザーフレアースカートに応用発展させていくことはできないものかと考え, 数値化を試み, 最終的には, フレアースカートとギャザーフレアースカートの製図半径を算出し, 表にまとめ, 色々な角度の円裁ちスカートを, これまでよりも容易に製図できるようになった。
著者
鈴木 正文
出版者
文化学園大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02868059)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.65-72, 1990-01

この研究は, 暈繝彩色が, 装飾位の豊かな桃山時代において新たな発展を見せた彫刻や絵画と, どのような係わりをもちながら受け継がれていったのかを, 建築装飾を主軸として調べた。鎌倉時代以前の建築装飾としての彩色は, 暈繝がその比重の多くを占めていたが, 室町時代の絵画的要素の混在した時期を経て桃山時代に至ると, 霊廟や神社の豊かな装飾彫刻は, モティーフの多様化と同時に絵画的要素を立体化させた。その彩色は纂股が示す様に, 金を多用した濃絵風の彩色が主体となり, 暈繝はこれらの彫刻の周囲を飾る額縁的な役割を果たす様になる。しかし, 立体化された様々なモティーフのうち, 雲は暈繝彩色され, 当時の金碧障壁画の金雲のように, 各モティーフを繋ぐ構成上重要な役割を果たしていることがわかる。一方, 西洋との交易により数多く描かれた南蛮屏風や, 漢画の影響を強く受けた障壁画のなかには,中華風の建物の瓦の表現に暈繝彩色を用いることにより異国情緒滋れるものに仕上げているものがある。当時の人々の異国的イメージと, 暈繝彩色の大陸的手法との結び付きに輿味がもたれる。
著者
勝田 春子
出版者
文化女子大学研究紀要編集委員会
雑誌
研究紀要 (ISSN:02868059)
巻号頁・発行日
no.22, pp.103-113, 1991-01-31

第2報に引き続き,今回の「箸」の考察は,明治から昭和までを見た。新しい時代が外国との関わりをどのように受け止めながら変化してきたか見てきた。以下その概要について述べてみたいと思う。毎年,慣例行事として, 8月4日に東京山王日枝神社1)で、「ハシの日」と称し,日頃使用した箸に礼をこめて焼き,供養している。この行事は箸に関心のある人々が多数集って感謝するという「箸供用祭」2)である。近年,食生活の多様化がみられるが,日本人の食事と箸は切り離すことが不可能な食事用具の一つである。箸は単純な二本の棒状のものであるが,食事用として,又食事以外の使い方として長い年月にわたって使用されてきた。どのような経過をたどってきたのか詳細は,第一報・第二報を参照していただきたい。箸については,古今東西,多くの研究がなされているが,今後, 「箸」に関する研究をすすめていくうえで,歴史的変遷はその出発点となる。これまで弥生時代から江戸時代までの約1600年の考察が出来たが,江戸時代の後半に町人文化とともに,工芸的,機能的な箸が,塗箸や引裂箸となってあらわれ,独自の展開をみせてきた。竹の引裂箸は,割箸を生み,好まれる条件をもって,急速に発達し,今日の外食産業になくてはならないものであり,一方では,外食産業をささえる要因でもある。西洋文化の影響とともに余りにもめまぐるしく動く現代に,食生活も大きな変化をみせている。箸はどのように変り,展開されていくのか考察を続けた。
著者
勝田 春子
出版者
文化女子大学研究紀要編集委員会
雑誌
研究紀要 (ISSN:02868059)
巻号頁・発行日
no.21, pp.231-241, 1990-01-31

第1報に続いて,今回の「箸」の考察は,室町時代から江戸時代に至る推移を見極めるのが目的だが,以下その概要について述べてみたいと思う。毎年,慣例行事として, 8月4日には,東京山王日枝神社1)で「ハシの日」として,日頃使用した箸への礼をこめて焼き供養し箸に関心のある人々が多数集って感謝するという箸供養祭2)が行なわれている。時代とともに,食生活多様化がみられているが,日本人の食事にとって,箸は切り離すことが出来ない食事用具のひとつとなっている。単純な二本の棒状のものであるが,周知のように箸は食事用として,さらに食事以外の使用法として,いつ頃から使用され,かつどのような経過をたどってきたのだろうか。それぞれの民族によってさまざまな食事用具の使用をみることが出来るが,火を使うことにより,その熱さを防ぐために,また食物をつまむうえで,いろいろな方法が生み出されて,今日まで伝承されつづけている。箸については,古今東西多くの研究がなされているが,今後「箸」に関する研究をすすめていくうえで,歴史的変遷はその出発点となるものである。日本の食文化から箸を知るうえで,世界の食事方法,箸の発生,起源,語源,単位ならびに弥生時代から鎌倉時代までの1000年の変遷が考察できた。鎌倉時代には,箸の使い方(はさむ,つまむ,ほぐす,切るなど)も多機能となり,その目ざましい発達が,室町時代以降食生活といかにかかわりをもってきたのか,考察を続けた。
著者
福田 博美
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学研究紀要 (ISSN:02868059)
巻号頁・発行日
no.17, pp.p65-71, 1986-01