- 著者
-
林 孝彦
- 出版者
- 豊橋技術科学大学
- 雑誌
- 雲雀野 : 豊橋技術科学大学人文科学系紀要 (ISSN:0388757X)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, pp.115-126, 2006-03-31
この論文は,ワールド・ワイド・ウェブ上の日本語のサイトを利用して日本語の学生のために開発した各種の学習活動の過程を説明したものである。この活動の目的は,中級及び上級レベルの日本語の学生に,クラス外で,多くの学生が楽しんでいるウェブ上のブラウジングをしながら,日本語でのインターラクションの時を過ごし,日本社会について学んでもらおうということである。日本のビジネス,政府機関,公益法人,大学といった日本語のウェブサイトやその一部分が,安定性及び興味深さに基づき選ばれた。これらのサイトは,教員が作成したホームページにリンクされた。これらのサイトからの文章は,抜粋され,語彙リスト,漢字の読み,理解力をチェックする質問と共に教員のホームページに載せられた。教員のホームページとリンクされたサイトの利用法のいくつかの例が論じられた。一つの活動では,学生は,まず,元々の文脈の中にある,これらのウェブサイトからの特定の文章を探して読むことを試み,その次に,教員のホームページ上で,直接,抜粋された文章と添えてあるサポート資料で学ぶ。この過程は,「一村一品」運動を紹介している大分県のホームページからの文章の一節で説明されている。スキャンした資料とオーディオ資料,そして日本語の電子メールの利用など,インターネットの他の可能な利用法も簡潔に説明されている。これらのアプローチを使う利点は,インターネットや電子メールの利用から多くの学生が感じている楽しみや動機づけがあることや,インターネットのマルチメディア能力,そして,現在の本物の資料へのアクセスができることなどである。論じられているこの方法の困難さは,ウェブが常に変わっていく性質を持っていることや,他の人によって作成されウェブに載せられた資料の適正な利用について不確定な点があることなどである。