著者
隈元 美貴子 柳田 元継
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.53-62, 2016-03-18

化粧行動を規定する要因として、ライフスタイルがあるが、このライフスタイルという概念は、その性質上、調査時期による変動的概念であるともいえる。それゆえ、現在の大学生のライフスタイルを明らかにするための十分なアンケートがほとんどない。そこで、本研究では、女子大学生を対象者とし、化粧行動とライフスタイルの関連性を明らかにすることを目的とし、まず、ライフスタイルに関するアンケートを作成し、化粧行動に関するアンケートと併せて質問紙調査を行い、その結果について検討を行った。ライフスタイルを測定する64項目への反応を因子分析(主因子・プロマックス回転)し、スクリープロットを参考に5因子を抽出した。それぞれ、「熱中度」「人間関係」「生活意識」「金か心か」「「ファッション」と命名した。次に、化粧行動を測定する27項目への反応を因子分析(主因子・プロマックス回転)し、スクリープロットを参考に5因子を抽出した。それぞれ、「自己顕示」「規範・機能」「流行性」「楽しみ」「受動性」と命名した。ここで、化粧行動に対する考え方で対象者をグループ化するために因子得点をもとにクラスター文政を行ったところ、「化粧関心型」「化粧中間型」「化粧無関心型」の3つのグループに分類することができた。各グループのライフスタイルを明らかにするために、ライフスタイルの因子特定の平均値を比較したところ、各因子においてグループ間で差異が認められ、化粧行動とライフスタイルの間に関連性があることが示唆された。
著者
西山 久子
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.61-73, 2008-12

教育相談(スクールカウンセリング)は,1950年代にアメリカのガイダンス(生徒指導)が紹介された際,共に日本へ紹介されて以来,60年近い歴史を持っている。しかしある調査によると,学校教育相談に対して,教育相談に関わる教員の間で日常指導重視と理論研修重視、個人的取り組みと学校全体的取り組みという2組の相反する認識が混在するため,一般の教員の間で共通理解されることが難しいと言われている(山崎,1994)。また,大野(1997)も現場で教育相談活動を行う際の定義が未完成であることを示唆している。その背景には,学校レベル・自治体レベルにおいて,教育相談の定着を促進する規定要因が明確化されていないことがあげられると考えられる。たとえば,西山・淵上・迫田(2009)は,教育相談の学校組織内にある規定要因を探索的に検討し、教育相談体制・教育相談担当者の個人的力量・教育相談に対する校長のリーダーシップ・教育相談に関する教員間の協働的風土と同調的風土が影響を与えているとしている。その際に教育行政の教育相談に対する支援のあり方に関する課題が示唆されたが、先行的な研究のなかに,この点について包括的に検討されているものは見当たらない。そこで本稿においては,教育相談の定着のために,まず,これまでの教育相談研究を概観したうえで,特にこれまで目を向けられることの少なかった,教育相談定着の組織外要因について検討する。次に,かつて教育相談のモデルとなった米国のスクールカウンセリングの成立の背景とあり方を概観したしたうえで、米国におけるスクールカウンセリング定着の組織外要因を検討する。さらに、それらを対比させながら、日本における教育相談定着の組織外要因の一つである教育行政からの支援についての聞き取り調査の結果を検討する。そして最後に,教育相談の定着に向けた組織外要因の研究を,より精緻化されたものにすることについての考察を行う。