著者
八亀 五三男
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 言語・文化篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; LANGUAGE and CULTURE (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.39-51, 2017-10-31

ゲルマン諸言語では,ウムラウト現象が大きな言語的特徴になっている。中でも,北ゲルマン語に属するアイスランド語には,他のゲルマン語に見られないような複雑なiウムラウト,uウムラウトが観察できる。ウムラウトという音韻現象を分析することによって,共時的言語現象を新たに通時的な視点から見直してみることがいかに重要であるかを明らかにするのが本稿の目的である。
著者
藤森 秀美
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 言語・文化篇 (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.63-73, 2008

本稿は「結ぶ」の意味分析である。 本稿では「結ぶ」を多義語であると捉え,6つの別義に分けて分析し,多義構造を示した。 6つの別義は,〈結び目を作ることで離れなくする〉という意味成分を共通に持つもの4つと,〈構造物を作る〉という意味成分を共通に持つもの2つに大きく分けられることがわかった。 多義化の起点である意味から5つの意味が派生しており,それを動機づけるのは,メトニミー,メタファーであるという仮説を提示した。
著者
有薗 智美
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 言語・文化篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.79-95, 2014

本稿は,意味的に分解不可能な慣用句のうち,身体部位を表す語(身体部位詞)の「手」または「足」を構成要素に持つ表現の比喩的意味の成立について考察する。本稿で対象とするのは,文字通りの意味が手や足に関する行為を表しており,表現全体の比喩的(慣用的)意味としては物事との関与を表す慣用句であり,それらの複数の表現の慣用的意味の成立には特定の認知プロセスが関与しており,体系的に動機づけられていることを示す。
著者
工藤 泰三
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 言語・文化篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.39-50, 2018

ヨーロッパの複言語主義を基盤とする内容言語統合型学習(CLIL)は,日本においてもその実践例が多く見られるようになった。ヨーロッパの文脈ではCLILの効果を立証する研究結果が多く発表されているが,日本における研究においては質・量ともにまだ不十分な段階にある。本論では,地球的課題の理解とグローバル・シティズンシップの涵養を目的とするCLIL授業の実践において,CLILにおいて重視される認知プロセス,特に高次思考力(HOTS)を意識した授業内活動を行うことにより,学習者の英語運用能力を高めるとともに学習者の高次思考を促すことができることを証明することを試みた。分析の結果,英語運用能力が有意に向上したこと,および学習者の授業コメントから高次思考力の活性化に寄与することができることが明らかになった。
著者
八亀 五三男
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 言語・文化篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.49-64, 2016

北ゲルマン語に属するフェーロー語は,同じ北ゲルマン語のアイスランド語,デンマーク語と文法体系においてどのような相違があるのだろうか。これらの言語の後置定冠詞,形容詞,動詞,前置詞の格支配を比較・分析することによって,フェーロー語形態論の特徴を明確化することを試みた。
著者
ファロン トーマス J. ベイカー マシュー
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 言語・文化篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; LANGUAGE and CULTURE (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.63-68, 2016-10-31

This research considers the use of Visual Narrative Grammar(VNG) as a means to aid in improving the fluency, accuracy, and complexity of dialogue written by ESL students at Japanese universities. VNG, such as the sequential images found in the panels of comic books, appeal to a non-verbal linguistic ability of the human mind (Gernsbacher, 1983; Cohn, 2013). If that be the case, then it could be hypothesized that VNG should have benefits in aiding language acquisition. This research seeks to explore the benefit of VNG on ESL students’ written production of English dialogue. In addition to a review of current literature pertaining to VNG, a proposed methodology of research to come has been outlined in this essay.