著者
入戸野 宏
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.86-92, 2013-04-01 (Released:2015-02-25)
参考文献数
34

事象関連電位のP300波が発見されてから50年近くが経過した。P300の機能的役割についてはいまだ明らかでないが, 惹起される条件はほぼ解明されている。本稿では, まずP300の基礎知識を認知科学の立場から簡潔にまとめる。次に, 医療以外の分野におけるP300の応用例として, プローブ刺激法による注意配分量の推定, 隠匿情報検査による記憶の検出, ブレイン–コンピュータインタフェースについて紹介する。
著者
尾崎 勇 橋本 勲
出版者
Japanese Society of Clinical Neurophysiology
雑誌
臨床神経生理学 : Japanese journal of clinical neurophysiology (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.19-28, 2012-02-01

正中神経刺激による体性感覚誘発電位 (SEP) と誘発脳磁界 (SEF) の特徴についてレビューした。視床皮質線維の活動を反映するM15磁界成分と対応するP15電位, 体性感覚皮質の600 Hz高周波信号について最新の知見を述べた。一次体性感覚皮質起源の中・長潜時SEP反応が刺激頻度の相違によって変化すること, また末梢及び中枢体性感覚伝導路の機能障害のためにN20が消失あるいは不明瞭な患者においても, 中・長潜時SEP波形は長い潜時ほど振幅が大きくなる, クレッシェンドパターンで記録され、決して消失しないことを述べた。したがって、N20が消失あるいは不明瞭な場合, 低酸素虚血性脳症など重篤な脳傷害と診断する際には、適切な記録条件で得られた中・長潜時SEP反応が両側性に全て消失していることが重要であると提案した。
著者
岡本 秀彦
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.37-43, 2012-02-01 (Released:2014-08-20)
参考文献数
19
著者
浦上 裕子 川村 光毅 鷲沢 嘉一 日吉 和子 チホツキ アンジェイ
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.209-219, 2013-08-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
29

音を聴覚的に認識し, ハーモニー, 音韻, 旋律など音楽を認知することで前頭前野が活動し行動が起こる。本研究は音楽大学学生5名,音楽専門家1名, 非音楽大学生5名 (21–25歳: 男9女2) を対象とし60 ch脳波を用いて安静閉眼時, 「新世界より」「レクイエム」聴取時, イメージ時の脳活動を計測し, 音楽認知の神経基盤を明らかにすることを目的とした。Morlet waveletによる時間周波数解析を行い, 各周波数帯域の平均信号強度をroot mean squareとして求め成分比較を行った。音楽聴取時は無音安静閉眼時に比べ, δ, α, β, γ活動に有意な減少を認めた。γ活動の減少が最も大きく, 全脳部位で有意に減少した。音楽家は音楽聴取時・イメージ時ともに前頭部γ活動が減少, 非音楽家はイメージ時には前頭部γ活動が増加した。音楽家と非音楽家のγ活動の差は, 音楽という経験による意識や注意, 情動の統合や潜在記憶の差を反映する可能性がある。
著者
高橋 剛夫
雑誌
臨床神経生理学 : Japanese journal of clinical neurophysiology (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.236-245, 2000-06-01
被引用文献数
2