著者
村上 栄一 菅野 晴夫 相澤 俊峰 奥野 洋史 野口 京子
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.197-203, 2007 (Released:2008-01-22)
参考文献数
20
被引用文献数
1

仙腸関節ブロックや骨盤ベルトなどの保存療法の効果が持続せず,日常生活や就労に著しい障害のある仙腸関節性疼痛例に対して仙腸関節前方固定術を行った.男6例,女9例の15例で,年齢は平均49歳(30~86歳),罹病期間は平均3.9年(1~7年),術後経過期間は平均2.3年(6カ月~5年)であった.片側前方固定術を14例に,両側固定術(骨盤輪固定術)を1例に施行した.これらの症例について,関節癒合をCTで,また臨床症状をJOAスコア,VASによる疼痛の変化,Roland-Morris disability questionnaire(RDQ)で評価した.関節癒合は15例全例で得られていた.JOAスコアが術前平均5.6点(4~9点)から術後平均18点(7~24点)に,VASが84(70~93)から40(10~75)に,RDQ得点が21.1(17~23)から6.9(1~14)に改善した.仙腸関節前方固定術の成績は良好であり,保存療法に抵抗する症例には有効な治療法と考えられる.
著者
鈴木 信治
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.59-63, 2005 (Released:2007-12-14)
参考文献数
9
著者
伊藤 友一
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.39-44, 2009
被引用文献数
1 3

これまでアンケート調査および腰痛検診にて介護士における腰痛の実態調査を行い,日常生活動作(ADL)に支障をきたすほどの器質的疾患を有する腰痛はなかったこと,一部の介護作業姿勢が腰椎に影響を及ぼしていることを報告した.今回,同じ施設でRoland-Morris Disability Questionnaire(以下RDQ)日本語版を用いて腰痛の調査を行った.対象は,男性319人,女性575人,年齢は19歳から60歳であった.回答が得られたのは,892人(99.8%)であった.RDQ 0点が598人(全体の67.0%),1~2点が149人(16.7%),3~4点が70人(7.8%),5点以上が75人(7.3%)であった.質問の項目別にみると,腰痛を和らげるために,何回も姿勢を変えるが162人,腰痛のため家の仕事をするときは力仕事をしないようにしているが103人,ほとんどいつも腰が痛いが94人,腰痛のため,いつもより横になって休むことが多いが74人,腰痛のためいつもよりゆっくり階段を上るが74人,腰痛のため寝返りが打ちにくいが73人,腰痛のため靴下やストッキングをはくとき苦労するが68人と多かった.これに対し,腰痛のため,服を着るのを誰かに手伝ってもらうが2人,腰痛のためあまり食欲がないが4人,腰痛のため1日大半を座って過ごすが5人,腰痛のため,大半の間,ベッド(布団)の中にいるが6人,腰痛のため,いつもより人に対していらいらしたり腹が立ったりするが7人と少なかった.2次検診を希望したのが42人(4.7%)であった.調査の結果,QOLにかなりの支障をきたすほどの腰痛を有する者は少ないことがわかった.