著者
若江 幸三良 武者 芳朗 小林 俊行 水谷 一裕
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.117-120, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
8

慢性疼痛に,抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor; 以下,SSRI)を使用した.対象および方法:症例は26例,男性10例,女性16例,年齢は42∼83歳(平均68歳)であった.塩酸パロキセチン20 mg/日服用させた.評価は,SDS(Self-raiting Depression Scale)とPRS(Pain Release Score)で行った.結果:SSRI投与前のSDSは,24 ∼ 68点(平均48.9点)であった.SSRI投与後3カ月のPRSは3∼10点(平均6.96点)であった.SSRIの投与前SDSと3カ月後PRSに関する単回帰係数は,R=-0.519,危険率0.001以下で相関を認めた.投与前の SDS を50点で2群に分けると,50点未満群のPRSは,7.7±1.9に対し,50点以上群のPRSは,6.2±2.2と,うつ傾向の症例の除痛効果に統計上有意差をみた(P
著者
石井 秀典 今井 健 小西 明 角南 義文
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.74-79, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
10

過去2年間に当院で入院治療を行った腰椎椎間板ヘルニア306例を対象とした.男227例,女79例で,入院時平均年齢は44.2歳(16∼83歳)で,腰下肢症状出現から入院までの期間は平均6.6週であった.保存的治療にて著明な改善がみられなかった153例が手術を要した.入院時JOA score,ブロック効果,予後,職業の臨床所見とMRIによるヘルニアのレベル・脱出部位・大きさ・migrationの程度・T2強調画像での輝度変化と脊柱管の形態を比較し,保存療法の適応について検討した.入院時JOA scoreが12点以下,重労働者,外側型と傍正中型,大きさが脊柱管の1/3以上と椎間板から椎弓根部までmigrationした症例が予後不良であった.正中型,migrationの大きい,T2強調画像で高輝度を呈す症例は,神経根ブロックがより効果的で予後良好であった.その結果よりMRI所見より腰椎椎間板ヘルニアの保存療法の適応に役立つヘルニアの番地図を作成した.
著者
金村 在哲 在哲 佐藤 啓三 栗原 章 井口 哲弘 笠原 孝一 伊藤 研二郎
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.146-152, 2002
被引用文献数
2 1

体幹の回旋運動を考慮した挙上運搬動作を模倣し,表面筋電計を用いて体幹筋の筋活動量を計測した.また同様の動作を腰部固定帯を装着して行い,その有用性を検討した.対象は健常成人男性20名で,各対象の膝の位置から6.8 kgの負荷重量を体幹を回旋させ,側方へ50 cm,肩の高さまで挙上させた.この動作を左右10回ずつ行い,左右の脊柱起立筋と腹斜筋の筋活動量を表面筋電計を用いて計測した.1回の動作における左右の脊柱起立筋と腹斜筋の平均筋活動量を計算し,%MVCで各群間を比較した.脊柱起立筋と腹斜筋間では有意に脊柱起立筋の%MVCが大きく,平均4.6倍の筋活動量を示した.また腰部固定帯の装着により%MVCは有意に小さくなり,脊柱起立筋では14.6%,腹斜筋では18.9%筋活動量が減少した.回旋を加えた挙上運搬動作でも脊柱起立筋に対する負荷が大きく,腰部固定帯の装着は,その負荷を軽減させる効果があった.
著者
佐藤 公昭 永田 見生 芝 啓一郎 小西 宏昭 前田 健
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.139-144, 2009 (Released:2009-12-19)
参考文献数
5

腰部脊柱管狭窄診断サポートツールの妥当性を検証し,九州・沖縄版簡易問診票の有用性と問題点について検討した.まず,手術で確定診断が得られた280例(腰部脊柱管狭窄症138例,腰椎椎間板ヘルニア142例)に本サポートツールを用いた調査を実施した.結果は感度92.0%,特異度63.4%であり,ABIの項目は足背動脈の触診で代用可能であった.次いで,50歳以上の腰・下肢症状を有す外来患者201例(腰部脊柱管狭窄症116例,他疾患85例)に,本サポートツールと簡易問診票の双方の調査を実施した.簡易問診票の項目とこれに対応する本サポートツールの項目との合計点には高い一致性を認めた(κ係数0.77).本サポートツールの感度は97.4%,特異度は53.6%であった.一方,簡易問診票の感度は95.7%,特異度は31.8%であり,他の疾患を腰部脊柱管狭窄症とする可能性が高くなることが今後の検討課題である.
著者
岡村 良久 原田 征行 工藤 正育 津田 英一 小野 睦
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.102-106, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
10

腰椎椎間板ヘルニアの保存的治療法には,薬物療法,理学療法,各種ブロック療法などがあるが,その効果が明らかに証明されているものは少ないものの,長期自然経過は良好とされている.しかし,スポーツ選手,特に若年者の場合には時間的制約もあり,速やかに腰下肢痛を改善させて競技復帰をめざすことが大切である.1997 ∼ 2002年までの5年間に治療した男性43名,女性12名,計55名のスポーツ選手の腰椎椎間板ヘルニアの治療結果から保存的治療成績について検討した.仙骨裂孔ブロック,神経根ブロック,ストレッチを中心とした3週間の運動療法で29例,52.7%に運動時痛の改善を認めた.さらに,体幹の筋力訓練を継続して平均15.6カ月の経過観察では45例,81.8%がスポーツ復帰,継続可能であった.3週間で症状が全く改善しないもの,6週間でも運動時痛がとれない症例には治療法を再検討して,最終的には4例に手術を施行した.
著者
青木 孝文 今野 俊介 宮本 雅史 伊藤 博元
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.84-87, 2007 (Released:2008-01-22)
参考文献数
7

慢性腰痛患者に対し簡便な運動療法を指導し,その臨床的効果について検討した.方法は座位で体幹を左右に回旋させるのみの極めて簡単な方法である.ただし,一方向に回転させてからその位置で3秒同一姿勢を保持させ,それを反対側にも行って,これを5~10往復,1日3回行うように指導した.運動実施後1カ月の調査では,腰痛がほとんど消失したり,かなり改善して効果の顕著な症例が全体の70%に及んだ.本法は脊柱周囲の筋群に対するストレッチ効果が高いものと推定されるが,今後筋電図学的検討なども加えながら詳細に検討する予定である.
著者
遠藤 健司 康 玉鵬 鈴木 秀和 小林 浩人 田中 英俊 山本 謙吾
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.129-133, 2008 (Released:2008-12-22)
参考文献数
13
被引用文献数
2

腰椎椎間板ヘルニア患者の全脊柱アライメントを計測し,体幹前傾傾向のある群と前傾傾向のない群を比較検討した.全体の約50%で体幹前傾傾向が存在していた.前傾群では,前屈制限,下肢伸展挙上制限が強く,JOAスコアは低値で,約半数に側弯を合併していた.矢状面アライメントは,前弯の減少,骨盤の後傾が顕著であった.体幹前傾を認める腰椎椎間板ヘルニアは重症例が多く,腰椎―仙椎は矢状面で直線化しており,腰椎骨盤周囲の筋緊張が強いことが示唆された.
著者
稲岡 正裕 米延 策雄 山本 利美雄 多田 浩一
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.79-88, 2001
被引用文献数
2 2

異なる業種間で,腰痛の発生頻度や背景因子の有意性を比較検討するために,VASとPDによる腰痛の定義を設定した.養護施設の教職員1,821人と,製造業従事者1,383人を対象とした.現在腰痛ありは養護群32%,製造群49%,腰痛の経験のあるものは養護群83%,製造群61%であった.明確な腰痛群(単純回答腰痛あり,VAS1点以上,腰部にPDを確認)は養護群30%,製造群39%,非腰痛群(単純回答腰痛なし,PDで腰痛なしを確認)は養護群43%,製造群31%であった.PDは6つのパターンに分類した結果,上肢の症状を伴う腰痛は製造群に多く出現する傾向を認め,下肢痛を伴う腰痛は養護群に多く出現する傾向を認めた.背景因子の中で,年齢,身長,体重に有意性を認めなかったが,腰痛は40代,50代に出現頻度が高く,BMI 25以上の肥満,既往歴,他疾患の合併などは腰痛発生の危険因子として有意性を認めた.
著者
横尾 直樹 山本 和良 中村 潤一郎 本田 淳 上杉 昌章 斎藤 知行
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.111-116, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
9

18歳以上の女性ダンサー282名(プロ109名,アマチュア173名)を対象に,腰痛に関するアンケート調査を行った.バレエ歴はプロ23年,アマ15年と有意にプロが長く,週平均レッスン時間はプロ11時間,アマ6時間,年間舞台回数はそれぞれ12回,2回と有意にプロが多かった.腰痛はプロの92%,アマの84%に認めた.プロではそのうち43%がレッスンに支障のある痛みで,10%に休職の経験があった.腰痛の部位はプロ,アマともに有意に下位腰部,左側優位が多く,腰痛を誘発する動作は腰椎伸展時が最も多かった.病院,医院への受診は10%と低率であった.プロダンサーはバレエ歴が長く,十分トレーニングを積んでいるにもかかわらず,アマチュアに比べ休職率が高いなど腰痛が重度であり,腰背部のoveruseが原因の1つと考えられた.慢性的な腰痛や強い腰痛のあるダンサーは,分離症や疲労骨折などが存在する可能性があり,整形外科医による検診や,定期的なメディカルチェックなどが必要であると考えた.

1 0 0 0 OA AKA-博田法

著者
住田 憲是
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.69-78, 2005 (Released:2007-12-14)
参考文献数
10
著者
紺野 慎一 菊地 臣一
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.89-94, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
9

神経根ブロック,硬膜外ブロックおよびブロックを行わずに治療を行った例の3群間の治療成績の差異を明らかにすることを第一の目的とした.第二には,神経根ブロックにおけるステロイド使用の意義を明らかにすることを目的に,椎間板ヘルニアに対する神経根ブロックの治療効果をステロイド使用群と非使用群とで比較した.腰椎椎間板ヘルニアに対するブロック療法群と非ブロック療法群の成績は,治療後6カ月の時点ではブロック療法群の方が有意に成績が良かった.しかし,治療後2年では,両者の差はなかった.ブロック群では,症状軽快または消失までの期間が非ブロック群に比べ有意に短かった.また神経根ブロック群の方が硬膜外ブロック群よりも有症状期間をさらに短縮していた.神経根ブロックにおけるステロイド使用の意義は,椎間板ヘルニアでは少なかった.
著者
大谷 晃司 菊地 臣一 紺野 慎一 矢吹 省司
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.127-131, 2004 (Released:2008-02-06)
参考文献数
10

本研究の目的は,腰椎椎間板ヘルニア手術後10年以上経過例に対し,Roland-Morris Disability Questionnaire(以下RDQ)を用いて腰痛機能関連QOLを検討することである.対象は,腰仙椎部椎間板ヘルニア108例(ヘルニア摘出術の非固定群32例,ヘルニア摘出術+後側方固定術の固定群76例)である.追跡調査率は58%であった.手術例の最終調査時(術後平均14年)のRDQの偏差得点は54.1±6.4であった.偏差得点50点以上,すなわち,一般住民の腰痛による日常生活の障害度と同様か,それより軽度であった症例の頻度は93例(86%)であった.一方,非固定群のRDQの偏差得点は54.0±7.4,固定群のそれは54.2±6.2であり,両群間に統計学的有意差は認められなかった.腰椎椎間板ヘルニア手術の長期経過例の腰痛関連QOLは,固定術併用の有無にかかわらず,一般住民の腰痛と同等,あるいはむしろ軽度である症例が多数を占めていた.
著者
遠藤 健司 駒形 正志 西山 誠 池上 仁志 田中 恵 山本 謙吾
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.115-120, 2005

画像診断にて原因不明な腰・下肢痛の中には,脊髄終糸の過緊張によって発症するものも存在する.今回,25例のTight filum terminale(以下TFT)に対して,終糸の切離を行った症例の術後経過を検討した.TFTの診断は,腰痛または下肢痛,膀胱直腸障害,脊椎不橈性,非髄節性神経障害,TFT誘発テストにより臨床診断を行った.手術は,終糸切離をS1高位で行った.術後の症状は全症例中,腰下肢痛の改善が96%に,筋力の回復が68%,知覚異常の改善が68%,膀胱直腸障害の改善は79%,体幹前屈制限の改善は80%で認められた.疼痛の経過は,VAS(Visual Analog Scale)で評価したが,術前の最大疼痛を10とすると,術後平均は3.3(0~7)であった.TFTは腰椎椎間板ヘルニアと鑑別を要するが,膀胱直腸障害の存在,MRI所見,誘発テストが陽性であることが異なる点である.画像診断で神経圧迫症状のない腰痛,下肢痛の鑑別診断としてtight filum terminaleを考慮する必要があると考える.
著者
齊藤 文則 高橋 啓介 鳥尾 哲矢 桑沢 安行 野本 智永
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-90, 2006

【目的】骨粗鬆性椎体偽関節に対する経皮的骨セメント椎体形成術の治療報告. 【対象】症例は15例16椎体, 罹患高位は胸腰椎 (T11~L2) 15椎体, 腰椎 (L3) 1椎体. 男性2例, 女性13例, 平均年齢73歳. 経過観察期間は平均29カ月. 遅発性脊髄麻痺を7例に認めた. 【結果】手術時間は平均42分. 術中, 術後の全身合併症はない. 術直後, 全例腰背部痛は改善. 遅発性麻痺例も全例軽快 (MMT 1~2→3~5). 経過中, 隣接椎の圧潰を63%に認めた. 1年以上の経過観察例で, 注入椎は隣接椎体間で架橋形成を認めた. 【考察】本法は手術時間も短く, 疼痛も劇的に改善し有用である. しかし, 多くの症例で隣接椎の圧潰を認め問題である. また, 骨セメントに骨親和性がなくとも注入椎は周囲の架橋形成で安定化した. 遅発性麻痺例では椎体形成術のみで麻痺の改善が得られることから, 麻痺の発生には偽関節部の動的圧迫の要素が強いと考えられた.
著者
遠藤 健司 駒形 正志 西山 誠 池上 仁志 田中 恵 山本 謙吾
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.115-120, 2005 (Released:2007-12-14)
参考文献数
15

画像診断にて原因不明な腰・下肢痛の中には,脊髄終糸の過緊張によって発症するものも存在する.今回,25例のTight filum terminale(以下TFT)に対して,終糸の切離を行った症例の術後経過を検討した.TFTの診断は,腰痛または下肢痛,膀胱直腸障害,脊椎不橈性,非髄節性神経障害,TFT誘発テストにより臨床診断を行った.手術は,終糸切離をS1高位で行った.術後の症状は全症例中,腰下肢痛の改善が96%に,筋力の回復が68%,知覚異常の改善が68%,膀胱直腸障害の改善は79%,体幹前屈制限の改善は80%で認められた.疼痛の経過は,VAS(Visual Analog Scale)で評価したが,術前の最大疼痛を10とすると,術後平均は3.3(0~7)であった.TFTは腰椎椎間板ヘルニアと鑑別を要するが,膀胱直腸障害の存在,MRI所見,誘発テストが陽性であることが異なる点である.画像診断で神経圧迫症状のない腰痛,下肢痛の鑑別診断としてtight filum terminaleを考慮する必要があると考える.
著者
元村 拓 金森 昌彦 信清 正典
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.126-131, 2001 (Released:2008-07-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

単純X線像における椎間板腔の高さ,あるいはその断面積がMRIにおける変性度を反映し得るかを検討した.対象は外来患者45人(平均年齢:49.4歳)である.MRIにおけるL3/4およびL4/5高位の椎間板変性をSchneidermanの分類で評価し,単純X線側面像における椎間板腔の測定法として,(A法)本来の椎間板の前方a,中央b,後方cの和を椎体の前後径dで割る方法.(B法)骨棘を含めた椎間板の前方a ’,中央b’,後方c’の和を骨棘を含めた椎体の前後径d’で割る方法.(C法)画像解析により椎間板の面積S1と椎体の面積S2を測定し,そのピクセル比で比較する方法の3つを使用した.その結果A法およびB法ではMRIにおける椎間板変性の程度と呼応していることが分かった.Schneiderman分類における“marked”あるいは“absent”のcut-off値は約0.6∼0.7と考えられた.
著者
三瀧 英樹 伊藤 友一 三和 真人 日下部 明
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.136-143, 2007 (Released:2008-01-22)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

本研究の目的は,屈曲弛緩現象(Flexion Relaxation Phenomenon; 以下FRP)が年代および測定部位に関係なく腰痛評価の一手段として使用できるかを明らかにすることである.対象は,健常若年群12名,慢性腰痛若年群6名および健常高齢群7名,慢性腰痛高齢群7名である.測定は,表面筋電計を用い,測定部位はL2およびL5レベルとした.FRP出現頻度は,年代別では慢性腰痛若年群より健常若年群が有意に高かったが,健常高齢群と慢性腰痛高齢群では差がなかった.また,測定部位ではL5よりL2でFRP出現頻度が高い傾向にあった.若年者はFRP出現の有無で客観的な腰痛評価が可能であり測定部位は上位腰椎が良いと考えられる.高齢者ではFRPの評価だけでは正しい評価ができないと思われる.