著者
松下 吉樹 本多 直人 藤田 薫
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.10, pp.15-17, 2004-03
被引用文献数
3

3種類の刺網を千葉県館山湾奥部の水域に20~37日間設置した。その後潜水観察を行い、羅網した生物と網成りの変化を記録した。刺網には27個体の魚類と甲殻類が設置後14日以内に羅網し、その後は観察されなかった。網目が展開している網の面積は、いずれの刺網も時間経過とともに減少して0となった。これは刺網が持つ漁獲機能のうち、特定の層を遊泳する生物の通路を遮断する機能と、生物を網目に刺させる機能が無くなったことを意味する。
著者
木所 英昭 安木 茂 志村 健 加藤 修
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-6, 2005-03 (Released:2011-03-05)

日本海で漁獲されるマアジTrachurus japonicusの多くは東シナ海で生まれ、対馬海峡を通って日本海に来遊する。本研究はその移入経路を明らかにする目的で行った。調査は、加入前のマアジの分布、および対馬暖流との関係を調べるために3隻の調査船によって中層トロールネットを用いて2002年5月下旬~6月上旬に実施した。中層トロール試験では、実施した48回の曳網中、42回の曳網(最大474個体、平均38.2個体)でマアジを採集した。各調査点で採集したマアジの平均尾叉長は28.3~54.2mm(平均40.2mm)であり、これまでの飼育個体の成長記録を基に4月から5月上旬に生まれたと判断した。沿岸分枝流域で加入前のマアジを多く採集したが、沖合分枝流域ではほとんど採集できなかった。この結果は多くのマアジは加入前に対馬暖流の沿岸分枝から日本海に来遊することを示している。