著者
大竹 二雄
出版者
Fisheries Research Agency
巻号頁・発行日
no.5, pp.179-185, 2006 (Released:2011-09-09)
著者
淀 太我 井口 恵一朗
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.12, pp.10-24, 2004 (Released:2011-03-05)

外来魚ブラックバスの釣り利用と駆除を巡る軋轢はバス問題と呼ばれ社会問題化している。バス釣りの普及には各時代の社会背景が強く影響しており、特にバブル景気を背景とした市場主義の導入は、バス釣りを釣りの一分野から手軽な一般娯楽へと変化させ、空前のブームを産んだ。バス問題で顕在化した多くの問題点は現代人の生活や自然との関わり方に深く根ざしており、その解決は人間社会の持続的な発展の可否を占う試金石である。
著者
北村 章二 生田 和正 鹿間 俊夫 中村 英史 鈴木 幸成 棟方 有宗
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-10, 2005-12 (Released:2011-03-05)

2002年度から全域キャッチアンドリリース(C and R)制となった湯川において、C and Rによる魚類資源維持効果の判定を目的として釣り人へのアンケート調査及び釣魚期間前後における資源調査を2002年と2003年に行った。C and R制導入前の2001年と比較すると、釣魚者は27.4%(2002年)及び34.2%(2003年)増加し、フライ釣り人の割合はそれぞれ83.8%及び88.1%に増加した。時間当たり釣獲率も2003年には1.21と有意に上昇した。また、両年とも釣魚期間前よりも釣魚期間後にカワマス資源量が増加していた。これらから、元々C and Rを基本とするフライ釣りの割合の高かった湯川におけるC and R制の導入は、釣魚者には好意的に受け入れられ、カワマス資源の維持に効果的であったことが示された。
著者
北村 章二 生田 和正 鹿間 俊夫
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-10, 2005-12
被引用文献数
1

2002年度から全域キャッチアンドリリース(C and R)制となった湯川において、C and Rによる魚類資源維持効果の判定を目的として釣り人へのアンケート調査及び釣魚期間前後における資源調査を2002年と2003年に行った。C and R制導入前の2001年と比較すると、釣魚者は27.4%(2002年)及び34.2%(2003年)増加し、フライ釣り人の割合はそれぞれ83.8%及び88.1%に増加した。時間当たり釣獲率も2003年には1.21と有意に上昇した。また、両年とも釣魚期間前よりも釣魚期間後にカワマス資源量が増加していた。これらから、元々C and Rを基本とするフライ釣りの割合の高かった湯川におけるC and R制の導入は、釣魚者には好意的に受け入れられ、カワマス資源の維持に効果的であったことが示された。
著者
山本 敏博 井野 慎吾 久野 正博 阪地 英男 檜山 義明 岸田 達 石田 行正
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-29, 2007 (Released:2011-12-19)

ブリSeriola quinqueradiataは日本各地で定置網、巻き網などの重要な漁獲対象になっており、漁況予報の精度向上、適正な資源管理が求められている。本稿ではブリの産卵生態、回遊生態についてレビューを行い、併せて上記の要望に応えるためにはどのような研究をどのような手法で遂行するのが適当であるか検討を行った。ブリの産卵生態は、卵仔稚魚調査を中心とした既往知見の整理の他に、仔稚魚の成長、親魚の成熟状況から見た産卵生態についてまとめを行った。回遊については成長段階によって様式が異なり成魚では大規模な南北回遊がみられること、越冬域をはじめとする分布域は海洋環境に依存していると考えられた。漁況予報の精度向上のためには回遊と環境の関係を解明することが必要と考えられ、その研究を遂行するための手法についても検討を行った。
著者
松下 吉樹 本多 直人 藤田 薫 渡部 俊広
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.10, pp.15-17, 2004 (Released:2011-03-05)

3種類の刺網を千葉県館山湾奥部の水域に20~37日間設置した。その後潜水観察を行い、羅網した生物と網成りの変化を記録した。刺網には27個体の魚類と甲殻類が設置後14日以内に羅網し、その後は観察されなかった。網目が展開している網の面積は、いずれの刺網も時間経過とともに減少して0となった。これは刺網が持つ漁獲機能のうち、特定の層を遊泳する生物の通路を遮断する機能と、生物を網目に刺させる機能が無くなったことを意味する。
著者
森田 貴己
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.13, pp.35-77, 2004-12

ある種の深海魚は水圧が600気圧にも及ぶ深海に生息している。その高水圧適応機構については古くから関心が持たれてきたが、タンパク質構造と高水圧下での機能との関係を明らかにした報告はこれまでにない。本研究では、深海性ソコダラ類のヨロイダラCoryphaenoides armatusおよびシンカイヨロイダラC. yaquinaeの骨格筋α-アクチンを対象に高水圧適応機構を分子レベルで解明した。本論文の構成は次の通りである。第1章では、ホカケダラ属(Coryphaenoides)の分子系統樹の作成を行った。ホカケダラ属のソコダラ類は、浅海から深海と幅広い水深に生息する同属種が存在することから、深海魚の特性を探る様々な研究に用いられている。比較生化学研究を行う対象魚を選択することを目的として、ミトコンドリア12S rRNAおよびcytochrome oxidase subunit I(COI)遺伝子の部分配列を決定し、本属の分子系統樹を作成した。本系統樹から深海性および浅海性ソコダラ類がホカケダラ属の進化の初期の段階で分岐したことが示された。得られた系統樹を参考に、深海性ソコダラ類であるヨロイダラおよびシンカイヨロイダラの比較対象魚として、浅海性ソコダラ類からイバラヒゲおよびカラフトソコダラを選択した。第2章では、深海性ソコダラ類α-アクチンの高水圧下での性状変化を検討した。深海性ソコダラ類2種、浅海性のソコダラ類イバラヒゲ、淡水魚のコイおよび陸上動物のニワトリの骨格筋からα-アクチンを精製し、高水圧下で重合に要する時間、臨界濃度及び重合に伴う体積増加量を調べた。いずれの分析においても深海性ソコダラ類のα-アクチンは、大気圧下とほぼ変わらぬ性状を示した。第3章では、深海性ソコダラ類α-アクチンのcDNAクローニング及び高水圧適応に必須のアミノ酸の同定を行った。深海性ソコダラ類と浅海性ソコダラ類の骨格筋からα-アクチンのcDNAクローニングを行った結果、それぞれ2タイプずつのα-アクチンcDNAが単離された。ノザンブロット解析、定量RT-PCR法及び2次元電気泳動法から、これらα-アクチンmRNA及びタンパク質のいずれも骨格筋中に存在していること、その存在量は高水圧に適応しているタイプがいずれの形態でも多く存在していることが示された。演繹アミノ酸配列において、深海性ソコダラ類に特異的なアクチンのタイプは、浅海性ソコダラ類に特異的なタイプと比べてQ137K、A155SおよびV54AまたはL67Pの計3カ所にアミノ酸置換を示した。幾つかの生化学的実験から、Q137KおよびA155Sの両置換はα-アクチン分子内にCa2+とATPが高圧によって押し込まれるのを防ぎ、深海性ソコダラ類に高水圧適応を付与していることが示唆された。さらにdeoxyribonuclease I(DNase I)とアクチンの結合実験から、深海性ソコダラ類のα-アクチンが高水圧下で重合するためには、V54AまたはL67Pの置換が重要であることが推測された。第4章では、高水圧適応と低水温適応との関連などを含む総合的考察を行った。
著者
有瀧 真人
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.37, pp.147-197, 2013-03

異体類の多くは,有用な水産資源として沿岸漁業や養殖漁業に深く関わっており,栽培漁業の対象種としても取りあげられてきた。代表的なヒラメやマコガレイをはじめ,わが国において種苗生産が試みられた異体類は12種にもおよぶ。しかし,どの種類においても白化や両面有色に代表される体色異常ならびに眼位や頭部骨格などに現れる形態異常が多発し問題となっているのに加え,その要因や発現機構については,ヒラメなどごく一部の種を除いて十分な検討がなされていない。本研究は,特に形態異常が多発するカレイ科魚類について基礎的な知見を収集し,それらをもとに形態異常の発現の機序や防除方法を明らかにすることを目的とした。第1章. 飼育したカレイ科魚類の変態に関わる形態異常 カレイ科魚類をふ化仔魚から人工環境下で飼育した場合,多くの種で変態期に形態異常魚が高い頻度で出現し,種苗生産の現場において大きな問題となっている。本章では,マガレイやホシガレイを中心にカレイ科魚類8種について有眼側と無眼側の眼位,体色,上顎,胸鰭,両顎歯,鱗を測定・観察し,天然魚と比較することにより,形態異常魚にどのような変化が生じているかを検討した。その結果,全ての魚種において変態後の形態は,正常魚,白化魚(2タイプ),両面有色魚の4タイプに区分することが可能であった。また,それらの両体側形質の比較から,正常魚は天然魚と同様の変態を完了しているのに対し,白化魚は両側が無眼側の形態に,両面有色魚は両側が有眼側の形態に変態していることが明らかとなった。このことから,本研究で取り上げた仔魚期の形態異常は変態に関連した異常,すなわち"変態異常"であると結論づけた。第2章. 飼育したカレイ科魚類における変態異常発現の決定時期 変態異常を防除するには,その発現にどの発育期が最も深く関わっているかを解明することがきわめて重要である。異体類の中で,変態異常に関する試験・研究が先行して行われているヒラメでは,ブラジル産アルテミア(BA)を給餌することにより,ほぼ全ての個体が白化魚になることや,変態始動期の発育ステージにおいて最もその感受性の高いことが明らかにされている。本章では,マガレイとホシガレイをモデル魚種として,BAの給餌開始時期を変えて飼育を行い,白化魚の出現状況からカレイ科魚類における変態異常発現の決定時期を検討した。その結果,上記両種はBA給餌によって90~100%の個体が白化魚となった。また,BAを給餌した影響は,マガレイでは全長8mm,ホシガレイでは全長10mmまでであり,影響を受ける発育期は両種ともステージE(変態初期)までであると判断された。すなわち,両種ともにステージF以降の仔魚では変態異常の発現は決定しており,ステージE以前がカレイ科魚類の変態異常発現にとって重要であると考えられた。第3章. 飼育したカレイ科魚類の変態異常と仔魚の成長および発育 異体類種苗生産のモデル種であるヒラメでは,変態異常に関して様々な研究が行われ,その発現の機序についても部分的に解明が進められている。しかし,カレイ科魚類では体系的な研究はこれまで全く行われていない。本章では,カレイ科魚類における変態異常の出現機序の一端を明らかにすることを目的に,ふ化から変態までの時間が大きく異なるマガレイ,ホシガレイ,ババガレイの仔魚をそれぞれ6~24℃の水温下で飼育し,変態異常魚の出現状態と発育・成長の関係について検討した。上記3魚種ではともに,飼育水温の上昇に伴い発育・成長が促進された。その相対的な速度はマガレイ,ホシガレイ,ババガレイの順に早く,既存の知見に合致した。正常魚,白化魚,両面有色魚の出現率と飼育水温の関係は,種ごとに特有の傾向を有し,再現性もきわめて高かった。このうち正常魚の出現率が最も高くなる着底までの日数は,マガレイで最も早く,ホシガレイ,ババガレイの順に遅くなった。これら着底日は耳石微細輪紋より推定されている天然魚の値に近似した。このことから,変態異常の発現は,飼育環境では発育・成長過程が天然魚と大きくずれることに一因があると推察された。
著者
飯塚 景記 片山 知史
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-222[含 英語文要旨], 2008-12
被引用文献数
1

耳石形態に関する研究は、魚類年齢研究と共に早くから行われており、研究報告も比較的多い。それらの内容は、一魚種の耳石外形から複数魚種の耳石の外形、溝、核等の特徴を解析した研究まで様々である。しかし、耳石サイズを含めて耳石形態を体系的に整理した報告はこれまで発表されていない。筆者らは、耳石の形と大きさを分類群内、分類群間で比較を行い、さらに縦偏形、側編形等の魚体型や定着性、回遊性等の生活型との関連を検討することにより、多用な耳石形態法則性を見いだすことを目的として、日本産硬骨魚類29目、162科、550種の耳石を収集し、表面各部の観察と耳石の長さと高さの計測を行った。本稿では第1章において、耳石形態研究が国内外でどのような研究経緯で進められてきたかを簡潔に述べ、次に、耳石の外部形態について、全体の形および各部位の形状を類型化し、さらに耳石の大きさの基準を決めた。第2章では魚種毎の観察結果、計測結果を基に、魚種毎の耳石形態を分類群毎に整理して記載した。第3章では各章で得られた耳石形態の特徴を総括し、耳石形態に関する系統進化学的、生態学的、機能形態学的な検討を行い、耳石形態を規定する要因を考察した。
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-104, 2010-06

2006〜2008年に亘るアーカイバルタグなどを用いた標識放流の研究から以下のことが明らかとなった。すなわち、日本海におけるブリ0〜1歳魚の移動範囲は、小規模であり、能登半島以西の0〜1歳魚は放流海域付近に滞留し、大きな移動は行わない。日本海北部となる能登半島以北の0〜1歳魚は能登半島(輪島)〜青森沖の範囲に留まり、越冬期にも寒冷レジームであった1980年代と異なり能登半島以西には移動しない。アーカイバルタグの水温履歴の解析から、最低水温期(3〜4月)に能登半島以北の海域を遊泳していた若齢魚が見出され、環境水温は10℃以上であった。よって、現段階では、最低水温期に10℃以上の海域がブリ幼魚の越冬可能な海域であると仮定することができるとみられた。これに基づき、ブリ幼魚の越冬可能な海域の範囲について経年変化を調べた結果、冬期(最低水温期3、4月)における水温分布の変化が年代による分布回遊の変動の主要因になっていた可能性があるとみられた。既往の知見および本研究の成果を総合すると、日本海側に来遊したブリ未成魚(0〜2歳)は各地の沿岸で小規模な季節回遊を行い、回遊範囲を拡大しながら成長するものの、現在の温暖レジーム下では、産卵期を迎える3歳までは能登半島を境にして北部海域と中西部海域のそれぞれの海域で回遊するものと推定された。日本海側の海域別・年齢別漁獲尾数の解析から、同一年級の0歳時の漁獲尾数と3歳時の漁獲尾数の間には高い正の相関がみられ、日本海側各海域において漁獲された0歳魚の尾数をキーとしてその後の同一年級群の漁況予報を行うことの可能性が示された。異なる水温でブリ仔魚を飼育し、18〜22℃の範囲では水温が高いほど耳石の成長が良いという傾向を明らかにした。この関係と、実際に東シナ海、日本海で採集された仔稚幼魚の耳石の初期成長試料とを付きあわせることで、ブリの産卵海域は、産卵初期の2月には水温の高い東シナ海南部、その後徐々に低水温域に移行し、産卵終期の6月には日本海西部付近であった可能性が示された。
著者
中川 雅弘
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.25, pp.223-287, 2008 (Released:2011-03-05)
著者
中川雅弘
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.25, pp.223-287, 2008-12
被引用文献数
3

メバル属魚類の多くは、有用な水産資源として沿岸漁業、栽培漁業、養殖の対象種である。我が国において栽培漁業対象種とされるメバル属魚類は、クロソイやメバルをはじめとして6種におよぶ。しかし、どの種類においても親魚養成や種苗生産に関して断片的な報告があるものの、中間育成、標識技術、放流効果調査を含めた一貫した栽培漁業技術としての研究はない。本研究ではメバル属魚類の中で最も多くの種苗が放流されているクロソイを研究対象として、本種の生物学的知見に基づいた栽培漁業技術の構築を図るとともに、残された問題点を検討した。