著者
谷口 泰司
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-56, 2012-09

障害者支援費制度から自立支援制度を経て今日に至るまで,障害者の地域生活移行は主要な課題の一つとして取り上げられている.2012 年4月からは相談支援事業が抜本的に強化され,3か年の間に全ての障害福祉サービス利用者の計画を策定することや,施設からの地域移行支援・地域定着支援の計画を策定することとされている.しかしながら,養護老人ホーム及び救護施設に入所する障害者はこれら地域生活移行支援の対象とはされておらず,過去から現在に至るまで我々の無関心・無理解のもと混合収容が継続し,貧困層における共生社会を余儀なくされているという現状がある. 本論は,これら施設の実態について全国的な調査結果をもとに考察し,また,施設の現状にかかる要因が我々の社会・法制度にあることを検証した上で,今後のあり方に一石を投じるものである.
著者
谷口 泰司
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-56, 2012-09

障害者支援費制度から自立支援制度を経て今日に至るまで,障害者の地域生活移行は主要な課題の一つとして取り上げられている.2012 年4月からは相談支援事業が抜本的に強化され,3か年の間に全ての障害福祉サービス利用者の計画を策定することや,施設からの地域移行支援・地域定着支援の計画を策定することとされている.しかしながら,養護老人ホーム及び救護施設に入所する障害者はこれら地域生活移行支援の対象とはされておらず,過去から現在に至るまで我々の無関心・無理解のもと混合収容が継続し,貧困層における共生社会を余儀なくされているという現状がある. 本論は,これら施設の実態について全国的な調査結果をもとに考察し,また,施設の現状にかかる要因が我々の社会・法制度にあることを検証した上で,今後のあり方に一石を投じるものである.
著者
米倉 裕希子
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.75-82, 2012-09

【研究目的】統合失調症の家族研究からはじまった家族の感情表出(EE)研究を障害のある子どもの家族へ応用し研究してきた.本研究は,就学前の発達の遅れのある子どもの家族のEE およびQOL を調査するとともに,就学前の発達の遅れのある子どもを対象に実施した親子教室の効果を検討する.【方法】対象者は,A 市の療育機関に協力を得て,募集した親子で,全5回のプログラムを実施.5回のうち前半3回は親子同室で,後半2回は親子分離型で,親に対して障害についての知識や対応方法等を学ぶプログラムを提供し,介入の前後で評価した.評価には,簡便なEE 評価の質問紙であるFAS(Family Attitude Scale),健康関連のQOL 指標であるSF-6v2,子どもの行動評価としてCBCL(Child Behavior Checklist)の3つの質問紙を用いた.【結果】分析対象者は8名であり,介入前後で,ノンパラメトリック検定を用い,Wilcoxon の符号付順位検定を行ったが,FAS,QOL,CBCL それぞれにおいて,有意差はなかった.しかし,幼児期においても,家族のEE は低く,また,「身体的機能」や「日常役割機能(精神)」を除く他の6つの下位尺度でQOL が低いことがわかり,学齢期とは違う傾向があることが示唆された.【考察】今後,さらに対象者を増やすとともに,子どもの発達段階に応じた介入方法や内容等を検討していく必要がある.また,昨今の障害福祉制度改革の中で,障害児支援が強化され,家族支援が位置付けられる中で,根拠に基づいた家族への実践モデルを示していく必要がある.
著者
光田 尚美
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.29-36, 2012-03

本研究の目的は,ペスタロッチーがなぜ貧児や孤児の教育にこだわったのか,その根底にある彼の思想の形成に迫り,後の教育実践とのつながりを探ることによって,彼が教育論として結実させたものの意義を再評価するとともに,その方法を今日的課題に照らして再構成し,その汎用性を探ることである.本稿は,その(1)としてペスタロッチーの思想形成の特徴を,18 世紀初頭のスイスにおける私立孤児院創設に影響を与えた敬虔主義との対比に焦点を当て,整理する.