著者
佐々木 真吾
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya women's University (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.35-43, 2021-03-10

子どもの行動に良い面と悪い面が存在するなど、子育ての場面では子どもを褒めるか叱るか曖昧な状況が数多く存在する。本研究では、褒めるか叱るか曖昧な状況での親の養育態度がレジリエンスと保育観の発達に及ぼす影響を検討した。大学生を対象に、子ども期の曖昧な状況での親の対応を、どの程度褒められたか、叱られたかという観点から回想してもらい、レジリエンス尺度および保育観尺度との関連を調査した。その結果、レジリエンスの合計点は、褒められることが多く叱られることが少ないと回答した者で、褒められることが少なく叱られることが多いと回答した者よりも高かった。同様に、レジリエンスの下位尺度である内面共有性、内省性の得点も、褒められることが多く叱られることが少ない者で高かった。また、子どもと対等に関わることを重視する協調的保育観は、褒められることが多く叱られることが少ない者で、褒められることが少なく叱られることが多い者よりも高かった。以上の結果から、褒めるか叱るか曖昧な状況では、子どものポジティブな側面を見いだして褒めることが、レジリエンスや保育観といった情緒・社会性の発達を促進することが示唆された。
著者
遠山 佳治
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya women's University (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.193-204, 2021-03-10

東海地域の食文化の考察について、今回は魚介食文化からみた視点で検討を加えるものとする。東海地域の魚介食文化を歴史的にみると、東海地域の漁業・水産業に影響されている。また、モノづくり産業が盛んな地域であるため、鰻・鮎・貝などの養殖業、海苔・練り物などの食品加工業が特徴である。それを支えてきたのが、木曽三川が注ぐ伊勢湾・三河湾の内湾と外海を持つ多様な自然環境と、都市名古屋を包括する社会的環境といえる。
著者
川上 輝昭
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya women's University (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.45-57, 2021-03-10

本稿の課題は、障害者を対象とした生活介護支援施設(以下、支援施設)の現状と課題について若干の考察を試みることである。障害があるために一般就労が困難な人たちを対象に、生活介護支援施設が設けられている。支援の内容は食事、排せつ、軽作業等を主とした日中活動である。この施設を利用者している人たちは、それぞれ障害の種類も程度も異なっている。したがって生活を支えている支援員には障害に対する広い知識と高い専門性が求められている。しかし、慢性的な人手不足に加えて、日々、多忙で研修の時間さえ確保しにくいという現実もある。生活介護支援施設は、今後も多様な人たちの利用が想定されているだけに、個の思いに寄り添った支援のあり方やその内容が問われている。
著者
山本 忠
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya women's University (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.133-145, 2021-03-10

昭和45年告示学習指導要領の高等学校数学ⅡBにおける「平面幾何の公理的構成」は、数学教育現代化の潮流の基に作成されたものである。数学教育現代化のねらいの一つは、現代数学の考え方を初等・中等教育に導入することであった。したがって、教科書や参考書は現代数学的な公理的構成を取り入れた。その結果、当時の実践記録によれば受容困難な場合が多くあった。たとえば「わかりきったことをなぜ証明しなくてはいけないのか」、「教科書と参考書では公理が異なっているので心配」など、生徒の反応は否定的なものが多かった。そこで、教科書、参考書の公理の異同、表現の異同、多様性、合同の公理の扱い方などの項目を設定して、当時使用された教科書、参考書の記述を数量化Ⅲ類の手法で分析した。結果は各教材によるばらつきは大きいことが裏付けられた。そして各教科書は比較的類似性があったものの、教科書と参考書の距離は遠いものがあり、当時指摘されていた生徒の不安も裏付けられた。
著者
山本 忠
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.133-145, 2021-03

昭和45年告示学習指導要領の高等学校数学ⅡBにおける「平面幾何の公理的構成」は、数学教育現代化の潮流の基に作成されたものである。数学教育現代化のねらいの一つは、現代数学の考え方を初等・中等教育に導入することであった。したがって、教科書や参考書は現代数学的な公理的構成を取り入れた。その結果、当時の実践記録によれば受容困難な場合が多くあった。たとえば「わかりきったことをなぜ証明しなくてはいけないのか」、「教科書と参考書では公理が異なっているので心配」など、生徒の反応は否定的なものが多かった。そこで、教科書、参考書の公理の異同、表現の異同、多様性、合同の公理の扱い方などの項目を設定して、当時使用された教科書、参考書の記述を数量化Ⅲ類の手法で分析した。結果は各教材によるばらつきは大きいことが裏付けられた。そして各教科書は比較的類似性があったものの、教科書と参考書の距離は遠いものがあり、当時指摘されていた生徒の不安も裏付けられた。
著者
大鐘 要 大鐘 啓伸
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.65, pp.171-179, 2019-03

People with developmental disabilities repeat the experience that they cannot go to work in the situation of street life. Therefore, they do not return to street life even if they have developmental disabilities, when they are provided with instructions and support of their overall life. In addition to this, psychological support to deal with the grief and the loss to occur from the life events is important. In this study, I examined the example in which the writer who was a counseling for the rehabilitation support of a person with developmental disabilities experienced street life. I took the problem of his feelings and emotion such as loss experience or grief. Then, I sympathized and clarified them. Next, I set the improvement contents to his behavioral problems. By such support, he could go to work.
著者
大曽 基宣
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya Women's University. Home economics・natural science humanities・social science (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.66, pp.43-53, 2020-03

朝食摂取や規則正しい睡眠習慣の確立は思春期の子どもにとって重要な課題である.本研究は,夕食の共食機会が少ない環境で生活する中学生の食・睡眠に関する行動変容に繋がりやすい行動目標を明らかにすることを目的とした.愛知県内M中学校全学年の生徒353人を対象に朝食内容と規則的な睡眠習慣に関する学習活動を行った.学習後に生徒が行動目標を設定し,1ヶ月後に目標達成状況を確認した.得られた結果を夕食の共食行動の有無別で分析した.その結果,目標達成者の割合は,食事量,食事バランス,野菜摂取,果物摂取の項目において,共食群の方が高かった.達成者割合が高かった目標は,共食群では果物摂取,野菜摂取,間食の量の順であったのに対し,非共食群では間食の量,睡眠習慣,乳・乳製品摂取の順であり,共食状況により達成に繋がりやすい目標に相違があった.本研究により,夕食の共食機会が少ない環境で生活する中学生の食・睡眠においては,乳・乳製品摂取,間食の量,睡眠習慣など,比較的生徒自身の心がけでコントロール可能な目標が達成されやすいことが示唆された.共食機会の少ない環境で生活する中学生の野菜・果物摂取量の増加に繋がる学習内容の検討が今後の課題である.