著者
秋本 瞳
出版者
麗澤大学
雑誌
言語と文明 : 論集 (ISSN:21859752)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.125-141, 2011-03-30

本稿の目的は、先行研究で示されている意味的な解釈とは異なる観点から「の」「こと」の使い分けを捉えなおすことができる可能性を示すことである。今回は、電子化されたテキストから用例を収集、「の」「こと」が用いられる用例の助詞や品詞といった面から、その可能性を示唆するための基礎的な資料を作成した。具体的には、用例の「の」「こと」に後続する助詞「は」「が」「を」、主節の述語として用いられる「形容詞」「動詞」「名詞」「サ変名詞」といった品詞で分類した。その結果、「の」「こと」に後続する助詞や品詞により「の」「こと」の表れやすさに差異があることが示唆された。