著者
佐藤 豊浩 穴田 一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.23, pp.1-5, 2016-12-05

進化的アルゴリズムは,生物の個体群の進化をモデル化したアルゴリズムで,最適化問題の解探索に用いられる.そうしたアルゴリズムである Genetic Algorithm と Differential Evolution が有する解探索過程を収束性と多様性の観点から取り入れた,巡回セールスマン問題 (TSP) の解探索を行う新たなアルゴリズム Referential Evolution を構築した.そして,TSPLIB に掲載されているベンチマーク問題を用いて提案手法と既存手法を比較し,その有効性を確認した.
著者
山下 澄奈 石川 由羽 髙田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-112, no.16, pp.1-6, 2017-02-20

本稿では,DCGAN を用いてイラスト画像の自動生成を行う.日本におけるキャラクタービジネスは以前から盛んであり市場規模は増加し続けている.最近では,企業や地方自治体の独自のキャラクターが宣伝活動を行う例も多い.また,SNS のプロフィール写真を独自のキャラクターのイラスト画像にする者も多く,独自のキャラクターを生成し使用する需要が増加している.しかし,知識や技術を持たない者がイラスト画像を 1 から作成することは困難である.そこで,本研究では DCGAN を用いてイラスト画像の生成を行う.また,生成されたイラスト画像を別のニューラルネットワークに入力し変換を試みる.最初に生成された画像と処理を加えた画像の比較をし,考察を行う.
著者
吉田 岳人 矢野 正基 堀川 健一郎 佐藤 啓太 南 翔太 繁野 麻衣子
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2018-MPS-117, no.3, pp.1-6, 2018-02-22

近年,ライドシェアリングは広く注目を集めているが,その中でもタクシー相乗りは効果が高いことが期待されている.本研究では,イベントへの参加などで共通の目的地のある乗客のタクシー相乗りの可能性を探る.タクシー相乗り問題では通常移動コストの最小化を扱うが,ここでは,タクシーの総走行距離が長くならない中で,乗客の総移動距離を最小化することを目的とする.この問題を混合整数線形計画問題として定式化するとともに,乗車人数に制限がある場合に対する厳密アルゴリズムと制限がない場合に対するヒューリスティックアルゴリズムを提案する.そして,数値実験により,ヒューリスティックアルゴリズムの解が適切であることを検証し,さらに,得られた解の相乗り方法と支払料金から評価して妥当性を示す.
著者
石田 隆 ニウー ガン 杉山 将
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-113, no.25, pp.1-8, 2017-06-16

ラベル付きデータの収集にはコストがかかるため,実世界の分類問題を解く際の大きな障壁となる.そこで,パターンが所属しないクラスを一つ指定する補ラベルの設定を考える.補ラベルの収集は,数多くの候補の中から正解ラベルを慎重に選ぶ必要がないため,通常のラベルを収集するよりも遥かに少ない労力で済む. しかし,補ラベルは通常ラベルよりも情報が少ないため,補ラベルに適した学習方法が必要となる.本論文では,損失関数が特定の対称条件を満たすとき,分類リスクの不偏推定量が補ラベルのみから得られることを示す.そして,提案法の推定誤差の上界を理論的に求め,提案法の有用性を実験的に示す.
著者
小宮山 純平 本多 淳也 鹿島 久嗣 中川 裕志
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-103, no.14, pp.1-8, 2015-06-16

バンディット問題 (multi-armed bandit problem) は,情報の活用と探索の間のトレードオフをモデル化した問題である.バンディット問題にはいくつかの亜種があるが,そのうち比較バンデイット問題 (dueling bandit problem) と呼ばれるものは,一対比較によるフィードバックを用いて最適化を行う.比較バンディット問題の枠組みを用いることによって,検索エンジンのランキング手法の比較や,人間の選好抽出の問題に対して,効率的な最適化を行うことができる.本研究では,比較バンディット問題における理論的な性能限界およびそれを達成するアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは,経験尤度を用いた通常のバンディット問題におけるアルゴリズム (本多,竹村,2010) の比較バンデイット問題への拡張である.提案手法を評価するため,検索エンジンの実データにおけるランキング手法の比較や,寿司データセット (神嶌,2003) などによる人間の選好抽出における性能を既存手法と比較する.
著者
松谷 貫司 木村 昌弘
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.3, pp.1-6, 2016-12-05

ソーシャルメディアでは,ユーザは様々な情報を手軽に発信および共有することができ,ユーザが投稿したアイテムは,他のユーザからの共有や賛意メッセージなどのアテンションの数が増えるにつれてポピュラリティを獲得していく.最近 Shen ら [10] は,個々のアイテムへのアテンションの到着過程の確率モデルとして RPP モデルを提案し,それが既存のポピュラリティ予測法よりも精度が高いことを示した.本論文では,対象とするソーシャルメディアのアイテム群全体に対するアテンションの到着過程の確率モデルとして,ディリクレ過程と RPP モデルを融合した DPM-RPP モデルを提案し,アテンションダイナミクスの観点からそれらアイテム群の関係の分析を目指す.我々は,観測データに基づく DPM-RPP モデルの効率的な学習法および,DPM - RPP モデルによる各アイテムの将来ポピュラリティの予測法を与える.料理レシピ共有サイトの実データを用いた実験により,DPM-RPP モデルはポピュラリティ予測において RPP モデルを含む従来モデルよりも精度が高いことを示す.また,アテンションダイナミクスの観点における料理レシピ群のコミュニティ構造を明らかにする.
著者
坂野 鋭
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-106, no.2, pp.1-6, 2015-12-08

本稿においては,データの相関構造を保存する確率的匿名化技術,Correlation Preserving Anonymization - CPPk 匿名化法を提案する.Pk 匿名化は,単なる乱数雑音の印加で,確率的に k-匿名化を保証する興味深い技術である.しかし,議論が事実上,単変数で行われているために,変数間の関係などの構造が破壊される疑問があった.この問題に対し,我々は匿名化前に相関構造を算出し,それを保存する様に匿名化を行う CPPk 匿名化法を提案する.実測データに基づく人工データを用いた実験結果は提案手法が分析に有効であることを示した.