著者
波田野 裕一
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2017-DC-107, no.2, pp.1-8, 2017-11-23

社会的重要性を増す IT システム運用において,サービス品質を担保するために必要とされるドキュメント群の中でも運用手順書は利用頻度が高く,その作成 ・ 維持に相当の工数を要している.しかし,IT システム運用現場において運用手順書の作成手法が広く確立されているとは言えず,各現場で定められた独自フォーマットに従って各担当者が自己経験に基づいて作成しているのが現状である.そのため,運用手順書の作成に工数が掛かる割には,不適切な手順によるトラブルの発生やその再発を防げないという事象が多発している.本論では,現場の業務に合致した運用手順書を効率的かつ効果的に作成するために,必要となる要素および作成過程を分析し,適切に構造化するための手法について提案する.
著者
藤森 玲 佐々木 辰輔 田中 結 長田 駿朗 藤本 貴之
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2018-DC-108, no.3, pp.1-6, 2018-03-20

近年,日本の伝統的なかるたである 「小倉百人一首」 をモチーフとしたアニメや漫画などのヒットなどを通して,エンターテインメントとしての百人一首に対する若い層からの再評価が進んでいる.百人一首をモチーフとしたスマートフォンアプリケーションも数多くリリースされている.百人一首のような伝統的なコンテンツとアニメ的な造形の親和性が高く,日本刀を擬人化したゲーム ・ アニメ 「刀剣乱舞」 に代表されるように,多くのコンテンツが登場し,スマートフォンアプリケーションとして展開する事例は多い.百人一首も人気となった漫画 ・ アニメ 「ちはやふる」 などにより近年,非常に注目を集めている日本の伝統的コンテンツの一つである.しかしながら,今日リリースされている百人一首関連のスマートフォンアプリケーションの多くは,クイズゲーム ・ 暗記支援 ・ 読み上げ機能といった 3 つに集約され,いずれも今日注目されているアニメ的造形が利用されているわけではなく,他の伝統的コンテンツのような十分な展開ができているとは言い難い.そこで本研究では,百人一首の絵札 100 枚を全て美少女キャラとして擬人化しつつ,百人一首アプリケーションとしての実用性を持たせたアプリケーションを開発した.
著者
野本 忠司
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2016-DC-101, no.8, pp.1-7, 2016-03-17

テキストの読み易さをいかに測るかというリーダビリティーの研究は今からほぼ 100 年前の 1920 年代に米国で始まった.その後,第 2 次世界大戦を経て,1950 年頃に現在でも使われている.Flesh-Kincaid,Fox,Gunning などの指標が誕生した.リーダビリティー研究は現在に至るまで大きなパラダイムシフトをいくつか経験しているが,本稿ではこれらがどのようなものであったのか,その時代背景と共に説明する.
著者
目次 由美子
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2016-DC-101, no.6, pp.1-3, 2016-03-17

ビジネスの現場でニーズが発生する 「産業翻訳」 においては,翻訳作業自体の効率化や迅速化が求められてきた結果として,「翻訳メモリツール」 などが普及してきた.一方,自らの翻訳作業に対する利便性を目的に翻訳者自身が独自に開発しているツールもある.その成果物が一般に公開され,フリーランス翻訳者間で多用され,翻訳実務におけるスキルとノウハウが幅広く翻訳業界に浸透するなど,相乗効果が得られている.本報告ではフリーランス翻訳者ならではの経験が活用されているツールに着目する.
著者
関本 美紀 深山 早苗 沖島 厚子 平岡 勝則
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2019-DC-115, no.3, pp.1-6, 2019-11-27

近年のソフトウェア開発ではアジャイル開発が主流となり,ドキュメントもアジャイル開発に沿った開発方法やユーザーが求めるものを取り入れていく必要がある.筆者が所属するソフトウェア開発部門でもアジャイル開発や UX を取り入れた開発プロセスを策定し推進しているが,プログラム開発に重点が置かれており,ドキュメント開発では参考になる手法が不足している.そこで,情報を最適化する UX の要求開発手法を用いて抽出した 「ユーザーのタスク」 を利用することで,「ユーザーの価値を反映したドキュメント」 を可能とするアジャイル開発におけるマニュアル開発手法を検討 ・検証した.アジャイル開発におけるマニュアル開発手法を紹介し,今後の展開を述べる.
著者
小林 潤平 関口 隆 新堀 英二 川嶋 稔夫
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2015-DC-98, no.8, pp.1-8, 2015-07-06

本研究では,文章を読む目の動きを電子リーダーによって自然なかたちで簡素化する手法を提案する.紙の書物では紙面に文字が固定されているために,読者自身が最適な停留場所を探しながら視点を動かして読み進めていた.一方,電子リーダーでは文字側を自由に書き替えられるために,読者の目の動きを電子リーダーで代替するような柔軟な表示設計も可能となる.そこで本研究では,スクロール機構と文字レイアウトの工夫によって文章を読む目の動きを簡素化することを目的に,1 行を 1 文節で構成するとともに行頭を階段状にインデントさせた電子リーダーを開発し,その効果を読み速度や眼球運動の点から検証した.その結果,単文節行と階段状インデントを有する電子リーダーでは,読み速度や理解度を低下させることなく,インデント幅分の一定長で短いサッカードという単調な目の動きで読める傾向が認められた.