著者
大原 一興 藤岡 泰寛 江水 是仁
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.179-188, 2020 (Released:2020-06-01)

山間にある長野県阿智村清内路集落では,集落中心部には耕地が確保できないため,日当たりの良い斜面の高地に耕作地を求め,そこに夏の間一定期間過ごす「出作り」をしてきた。この風習の現代的な継承のために,経験者による「語り部」の可能性とエコミュージアムの仕組みが考えられる。現在では本来の出作りも語り部もほとんど消滅している。この数年の出作りの家の動向について記録しリストを再整理し,とくに山の家と里の家の距離やコミュニティ関係など,二拠点居住のもつ意義についても考察した。また,その地域文化の伝承を進めるために語り部に対するエコミュージアムの役割についても考察した。
著者
松田 まり子 伊志嶺 敏子 清水 肇 中本 清 平良 啓 金城 優
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.273-282, 2020

「蒸暑地域の住まいのあり方を『外皮』概念の見直しを通じて提起する」 建築物省エネ法に基づく省エネ基準に対して建築設計者の活動団体である「沖縄の気候風土適応住宅連絡推進会議」(連絡会議)は,蒸暑地域の住まいづくりの原則を示し,省エネ施策の改善を求める活動を行ってきた。住宅の外部から内部までの多様な要素で熱を制御し風を活用する遮熱,湿度対策などは,外皮基準と異なった考え方による住まいづくりの方法である。連絡会議は沖縄の気候風土に適した住まいづくりの考え方の十原則を公開研究会で提示し,提言を作成し,沖縄県や国土交通省に意見を伝える活動を行った。この間,国土交通省が沖縄県での冷房期の平均日射熱取得率の数値の見直し案を示すなど,国の対応の展開も見られた。