著者
白鳥 孝幸 村井 源
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.38-43, 2021-12-04

恋愛物語は非常に人気の高い物語ジャンルであるが,物語論的な特徴を定量的に分析する試みはあまりなされていない.本研究では,現代日本恋愛小説における特徴を明らかにすべく,社会的に評価の高い恋愛小説117 作品を収集した.そして,エンディングに着目した恋愛小説の類型化を行い,年代ごとで各類型の割合がどのように変化しているのかを調べた.また,シーンの分割と物語機能を付与したデータを用いてn-gram 分析を行い,各年代ごとに頻出の物語パターンの抽出を行った.
著者
青池 亨
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.72-79, 2021-12-04

国宣国会図書館のデジタル化資料について,機械学習を適用したサービス提供の改善を試みるに当たっては, 日指す機能を実現するための有効性や構築コストに考慮してデータセットの設計・整備を行うこと,また,既存の大規模データ資源や日覚ましく進展する画像認識分野の機械学習アルゴリズムを活用することの両方に目を配る必要がある.本論文では,新たに構築・公開したデータセット件(画像タグデータセットNDL-ImageLabel及びOCR1行データセットについて,その設計思想と有効性を論じ,実際の活用事例として年末にサービスの改修を予定している次世代デジタルライブラリーの技術要素や新規事業の技術検討における役割を紹介する.本論文で取り上げたデータセットや機械学習モデルについてはNDLラボのGitHub(https://github.com/ndl-lab/)から公開している.
著者
村井 源 豊澤 修平 白鳥 孝幸 吉田 拓海 石川 一稀 岩岬 潤哉 斉藤 勇璃 中村 祥吾 根本 さくら 大田 翔貴 大場 有紗 福元 隆希
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.16-23, 2021-12-04

従来の物語分析は特定のジャンルを対象としたもので,ジャンル間の差違などを計量的に明らかにする研究はなされてこなかった.本研究では,ジャンル横断的な物語構造分析を実現するため,現代日本のエンターテイメント作品で頻出の5 ジャンル(冒険,戦闘,恋愛,探偵,怪談)を対象として各ジャンル100 話以上を収集した.また全ジャンルを共通の枠組みで構造分析し比較可能なデータセットを構築した.各ジャンルのデータセットに基づき,典型的な展開のパターンを抽出し,また因子分析により物語展開の共通・固有の因子を特定した.各ジャンルの特徴が同じ基準で比較可能となったことで,今後ジャンル複合的な物語の分析や自動生成の実現にも道が開かれると期待される.
著者
佐藤 浩輔 中分 遥
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.30-37, 2021-12-04

近年,人文社会科学においてデータベースのデジタル化が進展している.それに伴い,民話や神話などに対して計量分析を行う計算民話学・計量民俗学と呼ばれる取り組みがなされている.本研究では,国内の民間伝承に関する主要なデータベースである「怪異・妖怪伝承データベース」を計量的に分析する端緒として,書誌情報を用いて全容を把握するための基礎的な分析を行った.収録されている事例数について都道府県ごとの分布を可視化したところ,地域による資料数の多寡に差があることが明らかになった.主要な「怪異・妖怪」に関するクラスター分析の結果から,怪異・妖怪の分布の地域的特性が示唆された.データベースを用いた計量分析の展望について議論する.
著者
海野 敏 曽我 麻佐子 平山 素子
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.276-281, 2021-12-04

著者らは現代舞踊の振付創作を支援するために,プロダンサーの実演から収集した 3Dモーションデータを合成するシステム“Body-part Motion Synthesis System (BMSS)”を開発した.このシステムがプロ振付家の創作活動でどのように使用されるかを分析するために,3 人のプロ振付家がそれぞれBMSS を用いてオリジナル作品を創作し,劇場で上演する実験を2 回行った.6 つの舞踊作品とBMSS で生成したCG との対応関係を分析した結果,(1) プロ振付家の作家性はBMSS の使用法に表れることと,(2) プロ振付家はBMSS の使用に習熟することで多様な使用法を発見できることが明らかになった.