著者
山本 智基 伏田 享平 滝本 雅之
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.148-156, 2018-08-29

IT システム開発プロジェクトにおいて類似するプロジェクトの情報を参照する機会は多い.開発,管理に従事する要員は,これらの情報を用いてプロジェクトの計画作成や IT システムの設計,実装を行う.一方で,プロジェクトの類似性を判断する観点は明らかになっていない.そのため類似プロジェクトの選定作業は属人的になっている.本稿では IT システム開発において,類似プロジェクトの選定,参照を支援する仕組みを提案する.まず,どのような観点に着目してプロジェクトの類似性を判断しているかを明らかにするため,実務者を対象にアンケート調査を実施した.調査の結果,利用シーンにより重要視される観点に一定の傾向があることを確認した.次に調査結果をもとに,プロジェクトの類似性を定量的に表す指標を定義した.この指標は類似プロジェクトを利用するシーンに応じて,類似性を判断する観点の重要度を考慮できる.最後に,提案する指標を用いて類似プロジェクトを検索する Web システムを構築した.この Web システムを用いることで,熟練者でなくても利用シーンに応じて容易に類似プロジェクトを検索,参照することが可能となる.
著者
金田 重郎 井田 明男 森本 悠介
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.93-102, 2018-08-29

UML 静的モデル ・ クラス図に関するテキストは,数多く出版されており,海外の著名な作者によるテキストの翻訳も販売されている.しかし,これら多くのテキストでは,クラス図のシンタックスの説明はあるが,具体的に 「どうやって,クラス図を描くのか」 が意外に明示されていない.結果的に,市販テキストを用いただけでは,どの様にクラス図を描くのかを初学者が学ぶことは難しい.この問題点を解決するため,著者らは,クラス図が英語の認知構造を反映しており,それが,日本人初学者にクラス図を縁遠いものにしている一因であるとの仮説を示した.しかし,この既存ガイドラインをもってしても,「クラス図をどう描くのか」を具体的に示すガイドラインとしては不十分である.そこで,本稿では,クラス図の描き方のガイドラインを得ることを目的として,「クラス図とは何か」 を明らかにする.具体的には,1対多関連は,時間的前後関係を制約するものであり,結果的に,多対多関連を用いない通常のクラス図は,処理プロセス間の時間的制約を示すハッセ図であることを示す.即ち,クラス図は,人間の頭の中にある概念を取り出すツールというより,対象ビジネスを構成する処理プロセスの時間的制約関係 (材料 - 加工関係) を表現するツールである.クラス図を構成するクラスは,独立型と従属型に分かれるが,独立型では,他インスタンスとは無関係にインスタンスを生成できる.更に,従属型クラスには動作を表現するものが多く,クラス図を,中村善太郎の 「要のもの ・ こと」 モデルで理解できる.本稿では,以上の理解に基づくガイドラインを示し,そのガイドラインによって,実務家の間で知られるモデリング例題 「花束問題」 が分析できることを示す.
著者
青木 利晃 川上 大介 千田 伸男 冨田 尭
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.236-243, 2018-08-29

近年,深層学習を代表とする機械学習が脚光を浴びており,様々なシステムへの応用が検討されている.応用対象は,エンターテイメントシステムや事務処理システムなどにとどまらず,自動車の自動運転などの高安全システムなども検討されている.高安全システムでは,安全性に関する十分なテストを実施することが必要である.一方,機械学習システムの安全性をテストする手法は,まだ確立していない.そこで,本論文では,機械学習を用いて実現された分類器に焦点を当て,その安全性を系統的に評価する手法を提案する.提案手法は,データセットに基づいた安全分析とテスト結果の統計的評価方法から構成される.安全分析では,よく知られている FTA (Fault Tree Analysis) をデータセットを取り扱えるように拡張した.そして,安全分析の結果,期待される認識率の水準を求め,テストを実施する.テストでは,この水準を満たしているか統計的に評価を実施する.提案手法は,CNN (Convolutional Neural Network) による手書き文字の分類器に適用し,評価を行った.
著者
柴山 翔二郎 中本 千尋 清水 剛 高柳 浩 西田 眞
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.257-258, 2018-08-29

働き方改革を具現化するため,ビジネスパーソンの生産性を向上させるアプリケーション構築に取り組んでいる.メール種別を自動分類し,その種別に応じたタスク支援機能を提供することを目指している.本研究では,実際のメールを用いて分散表現空間を構築し,一部のメールに教師ラベルを付与した.教師データを学習することで,メールのタスク種類を分類する分類器を構築した.