著者
貴田 啓子 岡 泰央 稲葉 政満 早川 典子
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.41-48, 2016

<p>紙や絹を基底材とする絵画などにおいて,銅含有彩色材の緑青が使用されている文化財資料では,緑青により基底材の劣化が進行し,褐色に変色する「緑青焼け」と呼ばれる劣化現象が観察される.本研究では,室町時代制作の仏画であり,「緑青焼け」が顕著にみられる絹本絵画について,修理にあたり取り除かれた2層の旧裏打紙を分析の対象とし,セルロースの分子量分布に着目し,劣化の状態を調べた.紙のセルロース分子量については,2層の裏打紙ともに,「緑青焼け」の箇所において,無着色部分よりも分子量が低下していることがわかった.さらに,「緑青焼け」の影響がみられる裏打紙中において,無着色部分の裏打紙よりも銅Cuを多く検出した.顔料に由来するCuは,2層の裏打紙に移動し,これらが,裏打紙の分子量低下をも促進していることが示唆された.また,絹本絵画の水洗浄に用いた吸取紙においてもCuを検出したことから,Cu成分の一部が水溶性であることがわかった.</p>
著者
大澤 敏 馬塲 浩彰 小川 俊夫
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.191-197, 2002-10-31
参考文献数
17

近年, 生分解性プラスチックを生ゴミなどと共に堆肥化 (コンポスト化) する試みが盛んに行われている.本研究では, 一般家庭に普及しつつある家庭用生ゴミ処理機で熟成した生ゴミ中に, ポリ乳酸 (PLA), ポリカプロラクトン (PCL), ポリブチレンサクシネート・アジペート (PBSA) を投入し, 生ゴミと共にコンポスト化処理が可能であるかどうか調べた.強度低下で評価した分解性はPLA>PCL&cong;PBSAであった.PLAは10日程度で強度がゼロになる形状崩壊を起こしたが, PCLとPBSAは40日以上の時間を要した.また, 分解性は生ゴミの組成に大きく依存し, 動物性と植物性の生ゴミが共存した場合に最も速く分解した.水分率も分解性に影響を与えた.処理機内の水分率を60%から70%に高めることにより生ゴミの分解性を損なうことなく生分解性プラスチックの分解を促進することができた.

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著者
吉田 豊彦
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.109-112, 2007-07-31 (Released:2011-04-19)
参考文献数
6