著者
松崎 昇
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.15-51, 2005-12-28

現在、わが国の財政は膨大な累積債務を抱えている。この累積財政赤字を打開するためには、支出の大幅な削減ならびに増税が必要となる。だが財政の抜本的な再建は、現行の体勢のままでは、実現困難であろう。なぜならば、現代国家は政治的ケインズ主義ゆえに財政収支の構造的赤字体質をもっているからであり、より根本的には、近代意識は未来世代に対する責任感を持ち合わせていないからである。この事態を真に受け止め乗り越えるためには、未来世代に対する認識を抜本的に改める必要がある。未来への視座、ないし未来からの視座を第一義的な基準として、財政的国家観を組み立て直すという作業である。その結果として登場してくる見地が、収入面からみた無税国家論および支出面からみた最小限国家論であり、合わせて無税・最小限国家論である。(なお債務を返済する際などには、政府による大量発券という手段も、可能な場合には併用したい。)また、このような確固たる未来的視座をもって現実と切り結ぶことによってはじめて、現在・現代の累積財政赤字問題も解決可能となるであろう。
著者
白井 晴男
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.63-80, 2009-03

現在、欧米や日本の企業は労働集約的な業務や高度な技術を要する業務を、賃金の低い海外に移管しつつある。いわゆるオフショア・ビジネスである。オフショア・ビジネスはコストを抑えること目的としている。多くの企業がオフショア開発やコールセンターを中国、インド、ベトナムに移管している。これらの国のオフショアリングを専門とする企業は技術的に優れた人材や適正な要因を雇用して成長している。同時に各種の施設やICTなどの情報基盤が整ったソフトウェアパークを設置して、海外企業の誘致を進めている。しかしオフショア開発は技術や固有の業務機能の伝達において、文化的な違いやコミュニケーションの不具合によって問題が発生している。またセキュリティや知的財産権の侵害も発生している。ベトナムはオフショア・ビジネスの新しい基盤としてソフトウェアパークなどの施設を拡充・発展させている。ベトナムは現在人口が約8400万人であり、10年後には日本の人口を追い越すだろうと予想される。ベトナムでは企業、大学、行政が一体となって高度情報技術者の育成を行っている。当論文でベトナムの若い人材を活用するオフショア開発の現状と今後の成長性について考察する。
著者
白井 晴男
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.133-145, 2003-12-30

現在大学教育においてキャリア教育がカリキュラムの中に組み込む取り組みが活発に行われている。長引く不況で企業では少数精鋭、即戦力となる人材、国際ビジネス経験または留学経験のある人材を求める傾向にある。このような状況によって、新卒の採用比率は減少の傾向にある。現在の社会や企業が求めている人材を供給することが、大学教育の大きな使命であろう。一般にキャリアとは職歴、経歴という意味に捉えられる。当研究ではキャリアについて考察し、大学教育においてキャリア教育をどのように推進したらよいか、企業や大学での実践的な取り組みを参考に具体的なキャリア教育のあり方を提案する。