著者
松崎 昇 Noboru Matsuzaki
雑誌
松山大学論集 = Matsuyama University review (ISSN:09163298)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.73-103, 2010-03-01
著者
松崎 昇
出版者
松山大学
雑誌
松山大学論集 (ISSN:09163298)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.73-103, 2010-03-01
著者
松崎 昇
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
no.38, pp.25-50, 2013-12-28

現代世界経済は三つの本質的な特徴をもっている。第一にその歴史形式的な特徴は<資本の過剰化>にある。それは具体的には<貨幣の過剰、生産手段と労働力の過剰、商品の過剰>として現象する。いわば<カネ余り、キカイ余りとヒト余り、モノ余り>である。そしてこの四つの過剰は<利子率・利潤率・賃銀・価格>の低下低位現象をもたらす。第二にその地理形式的な特徴は<資本のグローバル化>にある。それは具体的には<先進諸国の苦難、新興諸国の伸長、資源諸国の主張、無産諸国の沈殿>として現象する。そしてそのような内部構造をもちつつも、世界経済はあくまでも<一体のものとして同調同時化し増幅する>運動を展開している。第三にその内容的な特徴は<資本の究極化>にある。これはいわゆるICT 革命のことであるが、その核心はネットワーク・コンピューティングによる人の思考記憶機能の代替増強にある。いわば<TMT(Thinking Memory Technology)革命>である。これにより生産工程が極度に<標準化・簡易化・省力化>されてきている。都合、資本が<余り、広まり、極まってきている>わけである。そして以上三つの基本的な特徴を総合するならば、概して、先進諸国には資金や設備や製品が溢れており、途上諸国には人手が溢れている。とりわけ先進諸国から溢れ出た膨大な資金が外資として新興諸国に滔々と流れ込み、現地の低賃銀労働と結び付いて安価品の大量生産を生み出すことになった。これを技術実体的に捉え直すならば、TMT(ICT)革命がこの生産拠点の世界的な移動をいとも簡単に実現してしまった。これに対して新興諸国における旺盛な需要などにより、自然を基盤とする鉱産物や農産物等は不足気味となり、同価格は上昇高値傾向を示す。以上のゆえに、特に、これまで名実ともに先導主導的な地位にあった先進諸国の製造業界に、<製品価格の低下安値傾向と原燃料価格の上昇高値傾向との挟撃による利幅の縮減>という大いなる難問が降りかかってきている。
著者
松崎 昇
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.163-212, 2006-12-28

わが国政府は、敗戦直後、敵軍改め占領軍と革新農政官僚との合作により、不在地主の全貸与地、在村地主の保有地のうち1町歩を越える部分を、当時の物価騰貴推移からすればただ同然の値段で、地主から強制買収して小作人に売り渡す、という政策を蛮行してしまった。いわゆる農地改革である。これは私有制度を真っ向から否定する凶行であり、「地主階級は敵だ!」という左翼イデオロギーに乗じた<革命然とした地主層撲滅・農村破壊>行為であった。しかも、こうして産み落とされた棚ぼた零細自作農体制こそは、戦後農業最大の患部をなすものであった。農林省はその後、事態の多少の立て直しを図って、農業生産性の向上・自立経営農家の育成・農地の流動化・中核農家の育成・大規模経営体の育成等々、旗印をとっかえひっかえ掲げ続けてきたが、所詮成果を得ることはできなかった。換言するならば、棚ぼた零細自作農達は、既得物死守のみで、新たなチャレンジなどしよう筈もなかった。そして指導者層・名望家層を一掃され、自生自成的な伝統と秩序を失った農村は、ただ金権にまみれながら、漂流衰微し続けるほかなかった。このままではいけない。ではどうしたらよいか。(1)まずは前非を悔い、再生新生を誓うことである。(2)そのうえでプロの農民を育成しよう。それには農地を徹底的に流動化して、大規模営農を可能にすることである。また彼らの各種各様のネットワークによって立ち上がるであろうプロの農民組織も支援しよう。勢いがつけば、彼らは必ずや日本米を筆頭とした各種の高付加価値産品の大規模な輸出まで手がけようとするであろう。その時にはそのような動きをも支援していこうではないか。(3)またいわばプロの農村リーダーを、およびいわばプロの農村そのものを本氣で再生新生しよう。(4)さらに食の安全ならびに氣土水の保全に配慮しよう。(5)そして最後にいわばプロのふるさとを再生新生しよう。以上の4〜5点を、同時に推し進めたいものである。
著者
外山 英志 田原 良雄 豊田 洋 小菅 宇之 荒田 慎寿 松崎 昇一 天野 静 下山 哲 中村 京太 岩下 眞之 森脇 義弘 鈴木 範行 杉山 貢 五味 淳 野沢 昭典 木村 一雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement3, pp.27-30, 2005-07-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
8

症例は64歳の男性,狭心症の既往はなし.冠危険因子は高脂血症と家族歴があった.2週間前から発熱,咳嗽などの感冒様症状が出現し内服薬を処方されていたが改善しなかった.突然の呼吸困難にて発症し救急隊を要請したが,現場到着時には心静止であった.当院搬送後,心肺蘇生処置を継続したが効果なく死亡確認となった.病理解剖を行ったところ,肉眼的には,漿液性の心嚢水が貯留,両心室腔・右房の拡張,左室壁の肥厚を認めた.左室壁はほぼ全周性に心筋の混濁が認められたが,心筋の梗塞巣や線維化は認められなかった.組織学的には両室心筋に全層性の炎症細胞浸潤,巣状壊死,変性,脱落を認めた.臨床経過と合わせて劇症型心筋炎と診断した.一般に「突然死」と呼ばれている死亡原因には,急性心筋梗塞,狭心症,不整脈,心筋疾患,弁膜症,心不全などの心臓病によるものが6割を占め,そのほかに脳血管障害,消化器疾患などがある.突然死の中でも心臓病に起因するものが「心臓突然死(SCD)」と呼ばれているが,現在米国では心臓突然死によって毎年40万人もの人が命を落としており,その数は肺がん,乳がん,エイズによる死亡者の合計数よりも多いとされている.心臓突然死における急性心筋炎の頻度は不明であるが,しばしば可逆的な病態であり,急性期の積極的な補助循環治療により,完全社会復帰された症例も散見されるので,鑑別診断として重要である.
著者
松崎 昇
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-21, 2010-12

わが国は1990 年代以降、長期にわたって資産デフレの状態にある。また経済成長率も、既に70年代以降低下していたのであるが、90 年代以降もう一段低落してしまった。(超)長期にわたる停滞である。都合、現在の日本経済は〈資産デフレと停滞〉という二重の長期低迷状態にあることになる。前稿(「現代日本経済における長期資産デフレについて」上武大学経営情報学部紀要第33 号)でこのうち資産デフレ問題を扱ったので、本稿では停滞問題を扱うとともに、両問題を政策論において統合しよう。まずは停滞から脱却するため、〈弱者保護主義からの脱却〉を旨として、成長促進政策を大胆に採らなければならない。特に第1・3 次産業界に対する保護解除・規制緩和・競争促進政策、およびそれを前提とした両業界各事業当事者における利益率向上競争を通じた生産性向上競争が、経済成長への鍵となるであろう。ついで資産デフレ対策と停滞対策との統合、すなわち〈割当・順序〉問題であるが、割当としては、資産デフレ問題には資産リフレ政策を、停滞問題には成長促進政策を、ということになる。そして順序としては、資産リフレ政策がさきで、成長促進政策はそのあと、ということになる。需要刺激的なマクロ経済政策を成功裏に実施したのち、それを維持しつつさらに供給刺激的なミクロ経済政策も並行実施する関係にあるわけである。そして両政策はいわば序盤と本番、前座と真打の関係にある。すなわち現代の先進国経済にあっては、後者たる成長促進政策こそが経済政策の本命となる。〈まずは資産デフレから脱却するために資産リフレ政策を、そして資産デフレから脱却したら同政策と併行して、停滞から脱却するために成長促進政策を〉、これがわが国の当面の、および爾後の標準的な経済政策となるべきであろう。
著者
松崎 昇
出版者
上武大学経営情報学部
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-38, 2009-03

わが国は1990年代以降、長期にわたって資産デフレの状態にある。もっとも昨今は資産デフレも底を打ったようにもみえるが、なお予断を全く許さないし、資産価格の極度の低迷状況に変わりはない。また経済成長率も、既に70年代以降低下しているのであるが、この90年代以降もう一段低落してしまった。(超)長期にわたる停滞である。都合、近年の日本経済は<資産デフレと停滞>という二重の長期低迷状態にあることになる。ではこの二重の長期低迷貴重を、私達はどうしたらよいのだろうか。ここで論理的には、物価変動は流通論に立脚した表層的短期的当面的な問題であるのに対して、経済成長は生産論に立脚した深層的長期的究極的な問題であることを想起しよう。もっとも資産価格はストック上の概念であってフロー上の概念たる一般物価とは異なる面をもつが、大きく括るならば物価の一環であることに変わりはない。ここから、なによりもまず前者(物価問題)の現在的難問形態たる資産デフレを止めなければならないことがわかる。資産デフレからの脱却である。停滞からの脱却はその後の話である。資産デフレから脱却するためには、まずインフレ・ターゲット政策を核とするリフレ金融政策を大胆に採らなければならない。需要刺激的なマクロ経済政策の実施である。しかもこのインフレ・ターゲット政策は、当初の目的を達成したのちも、継続的に維持していくことが望ましい。2〜3%前後のインフレ(目標とその実現)を常態とするわけであり、以降これが恒常的標準的な金融政策となるわけである。これは従来、デフレ脱却策として提示されてきたものであるが、資産デフレ脱却策としても有効である。だがそれだけでなく、資産(ストック)論上にある資産デフレ(ストックデフレ)からの脱却策としては、資産界固有の対策も必要である。そもそもわが国は既に資産大国(ストック大国)になっているからして、資産が経済のなかで占める位置・意味は大変に大きくなっている。しかも現代における最先端経済国においては、本来的にデフレと低利が常態となりつつある。したがって、まず一般に、資産面における変調に対しては、その度合いが大きい場合、国民の経済生活・企業の経済活動を守るために、資産市場・価格を安定させる政策も直接に打ち出すべきである。ましてや、近年みられたような、否現在も続いている激甚な資産デフレに対しては、直接に強力な資産リフレ政策を打たなければならない。やや具体的には、民間合同による資産市場徹底整備のほか、日銀によるTOPIX連動型・東証REIT指数連動型上場投信(ETF)の大量買いオペ、およびとりわけ政府による大都市再開発プロジェクト発動等の公的大型実需を執行すべきであろう。その財政的な裏付けとしては、政府紙幣発行等を用いればよいのではないか。インフレ・ターゲット対策というリフレ政策の継続的展開、および大都市再開発プロジェクト等による協力な資産リフレ政策の展開、合わせて<ダブルリフレ政策>により、<ダブル物価>を常時微インフレ気味に保つこと、その動的安定性を図ること、これがわが国の今後の金融・経済政策となるべきである。
著者
佐治 文隆 木村 正 大橋 一友 松崎 昇 鮫島 義弘 古山 将康
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

ヒト初期胚の着床過程において、初期絨毛と子宮内膜細胞の相互作用について検討した。(1)子宮内膜細胞における細胞外マトリックスとこれを分解するプロテアーゼ(MMP)子宮内膜細胞におけるMMPの発現を期質含有ポリアクリルアミド電気泳動法を用いて検討し、72KDと92KDゼラチナーゼの発現パターンが性周期によって変化していることを明らかにした。また異所性子宮内膜細胞はその伸展に従ってMMP産生が亢進したが、TIMP(インヒビター)産生は不変であった。(2)子宮内膜における細胞外マトリックスの分泌免疫組織学的検討により基底膜の細胞外マトリックス(ラミニン、IV型コラーゲン)は内膜腺上皮の基底膜と間質細胞周辺のマトリックスに存在した。間質の細胞外マトリックス(フィブロネクチン、ビトロネクチン)は子宮内膜の間質全体および内膜腺上皮の基底膜部分に局在した。(3)胎盤絨毛の増殖分化とサイトカイン胎盤絨毛ではIL-6とそのレセプターによるhCG産生系が存在し、この系はIL-1とTNF-αにより分泌亢進がみられ、TGF-βでは制御がみられた。しかし初期絨毛ならびに培養絨毛癌細胞系ではTNF-αによるhCG分泌阻害が観察された。また初期胎盤から得られた絨毛細胞はフィブロネクチンと特異的に接着することが判明し、着床過程におけるフィブロネクチンの関与が示唆された。
著者
松崎 昇
出版者
上武大学
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.15-51, 2005-12-28

現在、わが国の財政は膨大な累積債務を抱えている。この累積財政赤字を打開するためには、支出の大幅な削減ならびに増税が必要となる。だが財政の抜本的な再建は、現行の体勢のままでは、実現困難であろう。なぜならば、現代国家は政治的ケインズ主義ゆえに財政収支の構造的赤字体質をもっているからであり、より根本的には、近代意識は未来世代に対する責任感を持ち合わせていないからである。この事態を真に受け止め乗り越えるためには、未来世代に対する認識を抜本的に改める必要がある。未来への視座、ないし未来からの視座を第一義的な基準として、財政的国家観を組み立て直すという作業である。その結果として登場してくる見地が、収入面からみた無税国家論および支出面からみた最小限国家論であり、合わせて無税・最小限国家論である。(なお債務を返済する際などには、政府による大量発券という手段も、可能な場合には併用したい。)また、このような確固たる未来的視座をもって現実と切り結ぶことによってはじめて、現在・現代の累積財政赤字問題も解決可能となるであろう。