著者
Arshin Adib-Moghaddam
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.51-64, 2020 (Released:2020-03-27)

「サイコ・ナショナリズム」は、現在の中東地域において不安定要因を形成する主要な要因であり、それは排他的な国民意識の核となる集団的自己意識の半ば意図的に捏造された発明品である。本論は中東イスラーム世界における哲学的議論の豊かな蓄積―イブン・ハルドゥーンの政治学的・社会学的考察を含む―の上に、近年盛んに行われているアイデンティティー政治学の宗派主義・部族主義的な分析枠組みの脱構築を意図している。本論ではまずアラブ世界およびイラン世界における「想像的共同体」の具体的な構成要素に検討を加えたうえ、とりわけ中東地域においては人間集団間の長期的な混交と相互依存構築という歴史的な経験を踏まえた理性的な対話・交渉による関係の構築が地域的平和の実現のための不可欠の要件であることを確認する。
著者
土屋 一樹
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.80-97, 2020 (Released:2020-03-27)
参考文献数
26

Although Egypt’s social security system became obsolete in the 1990s, it was the Sisi administration that launched the major reform. The social security system was restructured along with the implementation of the bold macro-economic reform. As a result, the new social security plan can cover a much bigger population than what the old system could, despite a chronic fiscal deficit. The purpose of this paper is to examine the state of the social security reform in Egypt since 2014 and discuss its sustainability. The paper reviews the developments of the new cash transfer programs as well as the rebuilding of the social insurance system. While the new social security scheme is well-designed and is highly reputed, administrative capabilities will be a major challenge.
著者
福田 安志
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.98-114, 2020 (Released:2020-03-27)

From the beginning of the Trump administration, the U.S. military presence in Gulf Cooperation Council (GCC) countries has rapidly evolved. Specifically, the number of U.S. Air Force soldiers stationed in Qatar, United Arab Emirates, and Kuwait has been significantly reduced. This may be a result of President Trump’s preference to minimize the level of U.S. troops deployed in the region. Conversely, the United States has maintained its naval presence in the gulf, including an aircraft carrier strike group and naval troops in Bahrain. In the same period, Iran has remarkably expanded its military capabilities after developing sophisticated new missile systems, drones, and submarines. Combined with recent hostile events in the gulf, this situation has heightened concerns about gulf security, in particular, to ensure the safe passage of crude oil destined for all parts of the world. Current tension may lead to an escalated presence of U.S. forces in the region.
著者
Ichiki Tsuchiya
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.38-55, 2019 (Released:2019-05-30)
参考文献数
15

エジプト政府は2000年代初めに経済開発体制を見直し、市場主義に基づく成長という方向性を明確に打ち出した。規制を緩和し、グローバル経済に適応することで、持続的な経済成長を実現しようとするものだった。ナズィーフ内閣で実践された経済改革によって、エジプト経済は2000年代半ばに成長局面を迎えた。ビジネス環境が改善し、対内直接投資と輸出が拡大したことで、四半世紀ぶりの高成長を記録した。その一方で、貧困率は2000年代に悪化した。なかでも、高成長だった2000年代後半に貧困率は大きく上昇した。2011年の「1月25日革命」では、ナズィーフ内閣の政策運営はクローニー資本主義だったとして非難の的になった。しかし、その政策枠組みだった市場主義経済の下での成長という方向性は、革命後の政権にも引き継がれた。成長重視の方針は、政府が変わっても変更されることはなかった。
著者
Housam Darwisheh
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.56-74, 2019 (Released:2019-05-30)
参考文献数
67

本論稿が主に論じるのはエジプトで30年近く続いたムバーラク政権の転覆後の権威主義体制への移行過程、とりわけ2013年6月のモハンマド・モルスィ政権崩壊とその後のアブデル・ファッターフ・スィースィー大統領の許での権力集中である。スィースィー政権が先行するムバーラク体制・サダト体制・ナセル体制などと著しく性格を異にしている点については多くの先行研究が論じているが、同国の政治システムの移行過程についてはこれまで充分な議論がなされてこなかった。 スィースィー体制は先行する体制と異なり、その政治支配の基盤を政党に置いていないことが特徴として挙げられる。スィースィー大統領は支配の根拠を政党政治ではなく、軍や警察、司法などの強力な国家機関を背景にした個人支配の原理に置いている。本論稿ではこのような支配体制のあり方を可能にしているモルシー政権崩壊後のエジプト内外の政治環境、権力集中を可能にしている構造的背景、政治システムの移行過程について新たな視角から論じようとするものである。(文責・鈴木均)
著者
齋藤 純
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.82-98, 2019 (Released:2019-05-30)
参考文献数
8

Since over a year now, Qatar has been cut off diplomatically and economically by Saudi Arabia, the United Arab Emirates, Bahrain, and Egypt. The blockade was announced after Emir Sheikh Tamim bin Hamad Al-Thani’s remarks on Qatar News Agency (QNA) in May 2017. The prolonged blockade is having a significant impact on Qatar and other GCC economies.This paper argues that the blockade has had a tremendous impact on Qatar’s economy, in particular, the financial markets and banking sector. Using quarterly and monthly financial data of eight commercial banks in Qatar before and after the blockade, the paper examines how the structure of deposits and loans in the Qatar’s banking sector has changed during the ongoing crisis.The results of this study reveal that immediately after the blockade began, due from banks abroad and non-resident deposits at Qatar’s banks declined. Subsequently, the Qatar Central Bank sold holdings of foreign securities and injected funds to shore up the domestic banking sector. In addition, due to the financial support by the Central Bank and Investment Authority, the performance of the commercial banks in Qatar has been on a recovery trend since the second half of 2017, and there have been outstanding differences between banks performance with credit risk exposures to Arab Quartet markets and other banks. Finally, this study finds that financial dependence on the government sector can act as a buffer against external shocks.
著者
Housam Darwisheh
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.54-60, 2017 (Released:2019-11-12)

今日の中東諸国において、エジプト、シリア、イラク、リビア、イエメン、アフガニスタン等、統治体制の困難を抱えている国々は地域的な暴力主義の温床となり、ニューヨーク、ロンドン、マドリッド、ジャカルタ、ニューデリー、パリ、ブリュッセルなどを標的にした国際テロリズムの震源となってきた。これらの背景には社会的な極度の不平等・貧困の問題があるのであり、単に安全保障上の観点のみの対応策では体制の権威主義化を助長することで社会の矛盾を拡大させ、過激主義の拡大に資するだけである。アラブ世界の諸国家はかつては過激な「アラブ民族主義」の主張で国民の支持を得てきたが、それらの一部は莫大な石油収入に頼ることで国民との正常な関係の構築に失敗し、少数の支配者層による権力の独占に終始してきた。その結果として現在中東地域の若年層は、世界でも最も自らの社会経済から疎外され、抑圧された状況に置かれている。エジプト・イラクなどの各国では伝統的な農業生産の基盤が長期的に破壊され、食料の多くを輸入に頼るに至っている。域内の各国はこうした現状に対処するどころか全くの機能不全に陥っているのである。さらに2010年末以降の短い「アラブの春」によって覚醒した若者の一部は、その後の政治状況の暗転のなかで「イスラーム国」などに流入し、アフマド・ダッラーウィーのように悲劇的な最期を迎えた例もある。これまで米国の対中東政策は成功してきたとは言い難く、むしろ新たな紛争の火種となる社会の分裂と対立を助長することに終始してきた。その最終的な帰結ともいえる「イスラーム国」の問題を乗り越えるためには、軍事的な対抗手段に訴えるのではなく、経済成長と分配の平等、国民に開かれた民主的統治システムなど、まさに「アラブの春」で希求された理想の実現を図っていく以外にはあり得ない。(文責・鈴木 均)
著者
福田 安志
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.61-71, 2017 (Released:2019-11-12)

The rapid decline in Saudi Arabia’s oil revenue has forced its economy into depression. While the government maintained its expenditure at a high level in 2014 and 2015 to prevent a decline, the economy gradually ran into depression. The government issued a treasury bond to domestic banks in July 2015 to finance its deficit and prevent a rapid decrease in the foreign reserves of the Saudi Arabian Monetary Agency (SAMA, the central bank). The government continued its issuance.The government realised that the oil prices would not recover to their earlier high levels of more than $100 per barrel. Therefore, towards the end of 2015, it took certain steps to reform its financial structure, cutting its energy subsidies and trying to increase its revenue. During the same time, Mohammad bin Salman, the deputy crown prince, started conceiving fundamental financial and economic reforms. On April 25, he announced ‘Vision 2030’. On May 7, he restructured the ministries and reshuffled the cabinet, creating a super ministry, i.e. the Ministry of Energy, Industry, and Mineral Resources. The super ministry with a non-royal minister will be the key ministry to implement the reforms.The vision expressed an idea of reforms. The details of reforms were not announced in the vision. The Saudi Arabian government had tried to reform its economy and financial structure in some decades. However, it never obtained the desired results, which shows the difficulties encountered in implementing reforms. The idea of reforms showed in ‘Vision 2030’ seems to have several difficulties to implement.On June 6, the Saudi Arabian cabinet approved the National Transformation Program (NTP) 2020, a detailed plan for the next five years, pertaining to the overall ‘Vision 2030’. Notably, NTP has made no mention of the IPO of Saudi Aramco. Obtaining a good result within five years seems difficult. Nevertheless, the implementation of NTP may contribute towards strengthening the power of the deputy crown prince.
著者
Arshin Adib-Moghaddam
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.49-56, 2018 (Released:2019-03-15)

本稿は今年8月に発足したロウハーニー第二期政権のとりわけ外交政策を1979年以来のイラン・イスラーム共和国政権の政治的展開の帰結として位置づけることを目的とするものである。革命後のイランは現在に至るまで西側諸国の新自由主義的な経済政策に対して一定の距離を堅持してきた。またパレスチナ問題に対する明確な対パレスチナ支持の姿勢も今後長期にわたりその基本線が変わることはないだろう。だがそのニュアンスについて可変的であることは、イスラエルを「シオニスト国家」と呼ぶことを慎重に回避し続けるザリーフ外相の発言などからも伺える。米国における2017年の年初のトランプ政権の発足にも拘らず、イランとP5+1の間のJCPOAがトランプ大統領によって破棄されるという可能性は極めて低い。だが革命以来のイランの非同盟諸国重視の外交姿勢は現在に至るまで続いており、南米のベネズエラ・ボリビア・ブラジル・キューバといった諸国との緊密な関係もロウハーニー政権においても維持されることは明白である。革命後のイラン外交は決してシーア派重視あるいはイスラーム重視に傾斜することなく、それはあくまでも国益重視の姿勢に貫かれてきた。政策的な選択についても2009年以降は国際社会との協調の方向に大きく転換しているが、ただそれが西側と共通の人権擁護の理念に基づいていないという問題は依然としてある。いずれにしても5月の選挙の結果、ロウハーニー政権は政策的な合理性・優位性について国民の信託を受けたものと理解すべきである。ある種の市民社会が育ちつつあるイランの国内政治において、いわゆる「保守派対改革派」の単純な図式はますます意味を失いつつある。イランは今後将来的に非イデオロギー的・非革命的な通常の国家として、日本を含む国際社会の一員としての道を歩むことが期待される。(文責・鈴木均)
著者
Ghoncheh Tazmini
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.57-71, 2018 (Released:2019-03-15)
参考文献数
20

2017年5月の第12回イラン大統領選挙で再選を果たしたロウハーニー大統領は、アフマディネジャード大統領を挟んでハータミー大統領(1997年-2005年)の時代からの内政・外交上の改革政策を継承しつつ、政治手法としては従来と異なった新たなアプローチを取っている。それは①共和主義、②経済発展、③経済的公正、④政治的自由の4つの公準をめぐるイラン近代史の100年間の試行錯誤の帰結として捉えることが可能である。共和主義との関係でいえば、ロウハーニーはハータミーと同様に改革派的な立場ではあるがハータミー程に急進的ではない。経済発展については1980-90年代のラフサンジャーニーの時代に特に追及され、ロウハーニーもこれを重視している。経済的公正はアフマディネジャードがとりわけ強調した公準である。政治的自由は特に対外関係において1950年代のモサッデク首相の時代と1979年の革命期に前面にでた政治原則である。我々はこれらの政治的な原則を、「イラン主義」と「イスラーム主義」の2つの軸のあいだのどこかに位置づけて考察することができる。ロウハーニーの政治的な立場について要言すれば、彼はこうした公準のいずれかに傾斜することなく、イラン社会の政治的・文化的および政治経済的な変容の帰結としての「下からの改革要求」に注意深く配慮した「中庸」の選択を重ねてきていると結論づけられる。総じて現在のイランでは伝統的な社会的・文化的価値体系と近代的な価値体系とのあいだでイランなりの共存の形を模索する過程が続けられている。それはロウハーニー政権下においても変わることなく、社会生活のあらゆる局面で公的空間と私的空間における女性の行動規範の問題をはじめ様々な新たな問題が提起され、議論と再検討が進行中であるといい得るのである。(文責・鈴木 均)
著者
Housam Darwisheh
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.72-93, 2018 (Released:2019-03-15)
参考文献数
40
被引用文献数
1

エジプト政治を扱った本論稿で主に論じるのはホスニ・ムバーラク元大統領の罷免以降の政治過程における司法界の存在である。エジプト司法界はムバーラク体制崩壊後の選挙における不正への介入を通じてエジプト政治の主役に躍り出た。エジプト司法界はこの間民主化を希求する国内の様々な政治主体やその政治過程に対して絶大な影響を与え続け、他方でムスリム同胞団の統治期には非イスラーム主義的な世俗主義勢力側もまた同胞団の権力行使に対抗するべく司法的な手段に訴えることが度々であった。だがこうした司法の意図的な介入がいかに2011年以降のエジプトの移行過程を大きく阻害し、やがて軍部が国内の全権力を掌握するに至ったかを分析し明らかにするのが本稿の目的である。本稿の構成としては、(1)2011年以前のムバーラク体制下におけるエジプト司法界の独立性とそれが体制末期に次第に体制側に取り込まれていく過程を検証し、(2)ムバーラク体制後から同胞団系のムルシー大統領の罷免に至るまでの間に司法界がいかにエジプトの政治プロセスに関与したかを具体的に跡付け、検討を加える。以上の議論を通じてエジプト司法界が政治的移行過程における各政治勢力間の合意形成をいかに阻害し、選挙の結果に基づいた実効性ある議会制度と政治組織の定着を妨げ、その結果としてエジプトにおける権威主義的支配の復活を助けることになったかが明らかとなるだろう。
著者
土屋 一樹
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.94-108, 2018 (Released:2019-03-15)

Although Egypt has seen improved political stability and public order under the Sisi administration, the economy remains stagnant. The average economic growth rate during the first three years of Sisi’s presidency was 4.5 percent. More recently, Egyptians have suffered the highest inflation rates in decades due to the devaluation of the currency in November 2016. Will the bold economic reforms of 2016 lead to sustained economic growth for Egypt? This article argues the probability of reduced long-term economic growth prospects under the Sisi regime’s governance and economic policies.The Sisi administration has pursued a policy of social stability by restoring authoritarianism. The government has restricted citizens’ freedom of assembly, association, and expression through newly legislated undemocratic laws. As for the economic policy, its three main pillars include stabilizing the macro-economy, upgrading the social security program, and implementing ambitious infrastructure projects. While these policies are based on the standard market economy model, the military is now playing a critical role in economic activity more than ever before. That is, the Sisi regime has tried to control economic as well as political activities in an autocratic manner. Excessive military intervention in economic activity deters fair market competition, and, hence, innovation. As a result, Egypt cannot be expected to achieve sustained economic growth under the Sisi regime.
著者
福田 安志
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
中東レビュー (ISSN:21884595)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.109-120, 2018 (Released:2019-03-15)

The number of U.S. soldiers in Afghanistan and Iraq had been reduced greatly under Barak Obama’s rebalancing strategy in Asia. During the same period, the number of U.S. soldiers in GCC states has been also reduced. There had been 35,953 U.S. soldiers in GCC states in 2011. This number was reduced to 16,311 in 2016, less than half of what it had been in 2011. The main reason for the drop was the reduction in the number of U.S. soldiers on U.S. military bases in GCC states who engaged and supported U.S. operations in Afghanistan and Iraq. While the number of U.S. soldiers was reduced, the U.S. maintained its military capability to ensure security for the GCC states, even strengthening its military power on U.S. bases in the UAE and Bahrain.Washington has strong interests in fighting terrorism in the Middle East: providing security for Israel, and securing a stable supply of crude oil to the United States and other Western countries. As the U.S. military presence in the Gulf region has contributed greatly to securing those interests, Washington intends to maintain its military presence in the Gulf region.Russia interfered in Syria in September 2015. However, Russia does not have military interests in the Gulf region, but economic interests such as arms sales and oil concessions. Russian influence without a military presence in the Gulf region is thereby limited.