- 著者
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平野 高志
- 出版者
- 九州理学療法士・作業療法士合同学会
- 雑誌
- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第29回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
- 巻号頁・発行日
- pp.64, 2007 (Released:2008-02-01)
【はじめに】 平成18年に医療・介護保険の改定が実施され、リハビリテーション(以下リハ)では算定日数の制限が、入院療養では医療区分などが大きな問題となった。医療120床、介護293床全て療養病床の当院では、病院全体が大きく変わる事を余儀なくされた。そこで改定前後における当院の動向について調査し、私見を含めここに報告する。【対象・方法】 平成18年1月から12月の1年間における、病床稼働率、待機者数、入退院数、入退院者動向、医療区分、平均介護度、日常生活自立度、リハ延単位数について調査し、保険制度改定前後の動向と患者像を比較、検討した。【結果】 病床稼働率は、3月99.7%が12月には97.4%に低下し、待機者は3月に61名であったのが、6月には待機者なしとなる。入・退院数は順に1月は15名・11名、5月は22名・20名、10月27名・35名と最も多く、12月は18名・20名と低下傾向である。入院経路としては、病院からの紹介が多数を占め、自宅、近隣施設からの入院が続く。退院経路としては、転院、自宅、死亡退院が多数を占めている。4月以降介護系施設への退院も少数ではあるが増加している。医療区分の推移は、重症化が進んでおり、区分2以上の割合は、7月時点で71.3%、9月で80%を超え、12月には87.0%まで増加している。平均介護度は、全体で1月では4.18だったのが、6月に3.88、11月には3.67へと変化している。日常生活自立度は、病院全体でC2、B2、B1の順で多く、年間を通して変化はない。介護病棟ではB2、B1の増加C2の減少、医療病棟ではB2、B1の減少C2の増加となっている。リハ月別延単位数は、医療は3月に最も多く12月には47%減少し、介護では31%増加している。全体は、療法士の増減により多少変化はあるが大きな変化はない。【考察】 この改定で、リハにおける日数制限と医療区分が設けられ、療養病床のみである当院は、その対応に追われる1年となった。慢性期入院医療に関わる見直しで、区分の低い患者の療養が厳しくなり、介護保険の申請を勧め介護度を取得すると同時に、医療区分を確認した。医療と介護の適応判断を全患者で行い、必要時には退院指導も行った。在宅復帰・生活重視への移行で退院指導重視と種々の施設開設で、待機者なしとなったと考える。7月に向け、院内で医療と介護間で患者の移動があり、患者像が逆転したことが日常生活自立度、介護度から伺える。リハにおいてもリセット後180日で、医療の適応患者が減少し、療法士の配置を介護で増員し、リハ継続を進める事となった。医療と介護の機能分担と連携の明確化を痛感した。本年の例外的な医療保険の改定と2年後の介護の改定、また介護療養病床の廃止と情勢は変化する。医療と介護の連携に当院の方針を見出す必要がある。