- 著者
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村田 陽平
埴淵 知哉
- 出版者
- 人文地理学会
- 雑誌
- 人文地理学会大会 研究発表要旨 2007年 人文地理学会大会
- 巻号頁・発行日
- pp.601, 2007 (Released:2007-12-12)
回想法(reminiscence, life review)とは,1963年にアメリカの精神科医ロバート・バトラー(Butler,R.N)が提唱した,高齢者を対象とする心理療法の一つである。回想法の目的は,高齢者が専門家とともに,過去の記憶を辿り,今までの人生を振り返りながら,これからの自己の「生」に対する肯定感の獲得を目指すものである。回想法の実施により,自尊感情の高まりなど個人の内面への効果や,生活の活性化や対人関係の進展など社会面への効果等が指摘されており,バトラーの提唱以降,アメリカ,カナダ,イギリスなど欧米を中心に取り組まれてきた。日本でも少なからず研究や実践が進められてきたが,近年では,認知症や閉じこもり等,介護予防の一環として高齢者のQOL(生活の質)の向上に期待できるものとして注目を集めている。この動きの中で,従来は病院や介護施設(特別養護老人ホーム,老人保健施設)など限定された場所で行われてきた回想法を,「地域」の活動としてまちづくりの核に位置づける自治体がみられるようになってきている。そこで,本発表では,回想法を取り入れた2つの地域事例(北名古屋市「回想法センター」・恵那市「明智回想法センター・想い出学校」)の紹介を通じて,回想法と今後の地域づくりとの関係性を考える契機としたい。