著者
ロペス=デ=バロス マリア=フィロメナ 阿部 俊大 Maria Filomena Lopez de Barros Toshihiro Abe
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.204, pp.120-99, 2019-11-15

本論文は、中世のポルトガル王国において、キリスト教国家の支配下に置かれたイスラーム教徒(ムデハル)を、彼らのアイデンティティの変化を中心に論じたものである。まず、キリスト教国家による征服を通じた、彼らの呼称(他称・自称)の変化が論じられる。次いで、それに伴う15世紀まで彼らの自己認識の変化が分析される。その上で、イベリア半島の外のイスラーム教徒の彼らに対する認識と、本人たちの認識が比較され、最後にポルトガル王権とムデハルの関係が論じられて議論が締めくくられている。翻訳:阿部俊大
著者
石坂 尚武 Naotake Ishizaka
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.194, pp.225-363, 2014-11-30

大規模ペストが発生した一四世紀の後半に書かれたイタリアの遺言書は、ペスト(黒死病)の影響を受けているかどうかを知るためのに、ペストのなかった一三世紀の遺言書と比較する。イタリアで書かれた遺言書12通の全訳を紹介する。
著者
林 克樹 Katsuki Hayashi
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.201, pp.1-24, 2018-03-15

仏教において核心的な事柄である「涅槃」を、ショーペンハウアーがどこまで正確に捉えていたかを考察する。『大般涅槃経』に説かれる「アーユスのサンカーラを捨てる」ことに相応する「生への意志の否定」によって「涅槃」を受け止めたショーペンハウアーは、「涅槃」の本質的な構造契機である「正覚・滅度・新生」を、未だ明確に主題化してはいないとはいえ、予料的にはほぼ余すところなく射程に入れていたことが明らかとなる。