著者
宮下 ひろみ
出版者
仙台白百合女子大学
雑誌
仙台白百合女子大学紀要 (ISSN:13427350)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.127-133, 2004-01-31

市販されている豆腐について「絹ごし」と「木綿」の種類の違いによる物性や嗜好の比較を行うことを目的に物性測定と官能検査を行った。市販の豆腐、2社(K社製品、S社製品)の「絹ごし」、「木綿」それぞれについてカードメータを用いて硬さ、破断力の測定を行い物性を比較した。また、豆腐を使用した料理のうち「みそ汁」に仕立てた豆腐についても同様に物性測定を行い、あわせて官能検査による、外観、硬さ、味についての嗜好調査を行った。官能検査は短期大学家政料の女子学生12名を対象に行った。物性測定の結果、硬さは2社ともに「絹ごし」より「木綿」の豆腐の方が数値が高くなった。2社を比較すると「絹ごし」「木綿」ともにK社製品がS社製品よりも硬く、K社の「絹ごし」の硬さはS社の「木綿」の硬さの数値を上回る結果となった。一般に豆腐は「絹ごし」が柔らかいとされるが、メーカー内では確かにその基準はあてはまるものの、各メーカーにより硬さの設定は差があることが分かった。破断力については、硬さ同様2社ともに「絹ごし」より「木綿」の豆腐の方が高値であった。2社を比較すると「絹ごし」「木綿」ともにK社製品がS社製品より高値であった S社の「絹ごし」と「木綿」豆腐を使用しそれぞれみそ汁に仕立てて物性測定を行った結果、いずれも加熱後のみそ汁の方が硬さ、破断ともに高値となった。みそ汁の具材としての豆腐について、官能検査による外観、硬さ、味の嗜好評価の結果、「木綿」より「絹ごし」の方が好まれる傾向にあり、外観では有意な差がみられた。
著者
原田 雅樹
出版者
仙台白百合女子大学
雑誌
仙台白百合女子大学紀要 (ISSN:13427350)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.31-50, 2007

「テキスト」の解釈学的現象学において、ポール・リクールは、エピステモロジーを現象学と解釈学との媒介として考えている。それは、彼の『時間と物語』においては、三重のミメーシス(ミメーシスI・先形象化、ミメーシスII・統合形象化、ミメーシスIII・再形象化)となって顕在化している。ミメーシスIIにおいて、物語のテキストが自立性を獲得してその指示機能が中立化されるのに対し、ミメーシスIIIにおいては、物語は、テキストと読者との間に再構築された実在世界を指示するようになる。ところで、リクールがフランス語に翻訳したフッサールの『イデーンI』には、現象学的還元において実在を括弧に入れ、その後に、理性の現象学において信念志向性によって実在を措定するという動きがある。このような動きの構造は、ミメーシスIIからIIIへという動きの構造に類似している。拙論では、この構造の類比をもとに、フッサールの純粋現象学を意識中心主義から引き離す一方で、リクールのテキスト概念を自然科学理論の構築の哲学的分析の方向にも広げ、自然科学の理論も、一種のテキストとして考えられることを示す。そうすることで、「科学作品の現象学」というものを提案していく。