著者
吉海 直人 YOSHIKAI Naoto
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大学日本語日本文学 (ISSN:09155058)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.37-64, 2004-06-30

「花かるた」は、ヨーロッパ(ポルトガル)のプレイングカードが海を渡って日本に将来され、その後の鎖国の間に独自に発展したものである。その特徴は数字を用いず、四季折々の花によって代用している点にある。ただ今日まで、賭博とのかかわりが強調されたために、その文化的特質が見失われていたと思われる。本稿は新出資料「武蔵野」の骨刷の紹介を兼ねて、日本が世界に誇りうる「花かるた」の歴史と文化を再検証し、その復権をめざすものである。
著者
吉野 政治
出版者
京都
雑誌
同志社女子大学日本語日本文学 (ISSN:09155058)
巻号頁・発行日
no.22, pp.1-13, 2010-06

「朝顔」は奈良時代には特定の花の名ではなかった。現在の牽牛花を「朝顔」と呼ぶようになったのは平安時代からのことだとされるが、同じ頃に同じく蔓性草本で夕方に漏斗状の花を開くものが「夕顔」と呼ばれるようになるのは、「朝-夕」という語の対応が前提となっている。江戸時代には「昼顔」という名が現れるのも「朝-昼-夕」という語の体系がその前提としてあり、明治時代に新渡来種に「夜顔」の名が付けられたのも「昼-夜」という対語が基になっているのである。本稿はこれまで植物学的な類似によって注目されてきたこれらの名前を語の体系という観点から捉えてみたものである。それによって、夕顔と夜顔との混同の理由が理解されることになる。
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大学日本語日本文学 (ISSN:09155058)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.11-23, 2003-06-30

甲類のトの表わす意味の中に出入口の意のト (門) と場所・所の意のト (処) があるが、同じく甲類のトを構成要素として持つミナト (ミは水、ナは連体格助詞) にも「ミ + ナ + ト (門)」と「ミ + ナ + ト (処)」を認めることができるのではないか。前者は河口や湾口や海峡など水の出入口を指す語であるのに対し、後者は湖や入江などの水の溜まり場や陸地に入り込んだ水域などを指す語であり、「水門」「水戸」が前者のための正訓字であるのに対して、「湖」は後者のたあの用字であったと考えられる。