著者
田中 美保
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.261-277, 2019 (Released:2019-03-23)
参考文献数
24

インターネットの普及やスマートフォンの広まりなどデジタル化の進展により、大手新聞メディアは変革を迫られている。読者がニュースに接触する手段は多様になり、そこに所属する記者も、デジタル空間に対し価値ある情報を発信していくための能力やスキルを身につける必要がある。本論文では、デジタル化に対応する新聞メディアの組織改革をプログラムととらえ、P2Mのプロファイリングマネジメントの手法を用い、新聞メディアの記者からネットメディアの記者、編集者となった5氏へのインタビューを通じて、デジタル化時代の情報発信者について考察した。その結果、顧客との接点が変化したデジタル化時代では、読者の共感や支持をつかみ、読者とのつながり持つことが重要であることがわかった。これらのインタビューの結果から、新聞社の改革の要件を説明する。
著者
加藤 勇夫 太田 結隆 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.60-80, 2019 (Released:2019-03-23)
参考文献数
35
被引用文献数
1

日本社会が現在の生活の質を維持し、今後、深刻化する少子高齢化社会に対応するためには、既存社会システムの破壊と再生(革新)による労働生産性の向上と、この革新を支えるイノベータの育成が急務である。また、イノベータの育成には、プログラムを機敏にマネジメント(機敏に意思決定)するための基盤となるマネジメント方法論として、リーン&アジャイルプログラムマネジメントの開発と実施が必要であると考えている。本稿では、このリーン&アジャイルプログラムマネジメントを実現するために、これまでのイノベーションプロセスを再考し、イノベータが革新を完遂するためのマネジメントフレームワークを提案する。
著者
加藤 勇夫 紫垣 ジェフェルソン 進一 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.229-248, 2018 (Released:2018-10-09)
参考文献数
20

プログラムマネジメントは、プロジェクトが創出する価値を新規及び並行稼働するプロジェクトに継承し継続的に活用して、新価値の創造に資することが求められる。しかしながら、プロジェクトが創出する継続性価値(知識や経験など)は無形価値であるため、プロジェクトに関わる人々の頭の中にある仮想空間に集約される。筆者らは、この仮想空間を複数接続したネットワークを伊丹の「場」と捉え、プログラムにおけるプロジェクト価値継承が、場の基本要素(アジェンダ、解釈コード、情報のキャリアー、連帯欲求)で変換し、写し取ること(価値変換)に相当すると考えた。本稿では、この価値変換の構造やプロセスについて議論したので報告する。
著者
加藤 勇夫 紫垣 ジェフェルソン 進一 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.294-313, 2018 (Released:2018-10-09)
参考文献数
20

筆者らは、既報で企業ビジョン達成のための枠組みについて議論してきた。しかしながら、プロジェクトが有する有期性に起因する課題である「獲得した知識や経験などのプロジェクト価値継承」に関して具体的に説明ができていない。今後、本研究をプログラム・エンジニアリングに発展させるために、組織における顧客視点(プロジェクト組織)と業務プロセス視点(専門部門)の関係から、プロジェクトが創出するプロジェクト価値の継承を確実にするために、プロジェクト価値継承をマネジメントする方法論について提案し議論した。また、日本のエンジニアリング企業を一例にして、提案するマネジメント方法論によって、プロジェクト価値継承に関する「プロジェクト組織」と「専門部門」の役割について議論し、説明を試みた。
著者
加藤 勇夫 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.70-86, 2017 (Released:2017-10-30)
参考文献数
14

筆者らは、既報で企業ビジョン達成のための戦略フレームワークとしてマルチ・プログラム・プラットフォームを提案し、オーケストレーションおよび戦略の動的アライメントと、これらを円滑に機能させるための意思決定プロトコルについて説明した。企業の永続的発展のためには、企業ビジョンの継続的革新が必要であるため、本稿では、スーパー・プログラム構造のオーケストレーションが、単に、顧客視点と内部プロセス視点間で相互の戦略同期をはかるばかりでなく、視点間の円滑な意思疎通と動的な戦略整合を促進するために意思決定プロトコルを含意すること、スーパー・プログラムが、企業ビジョン革新のドライバとして機能することについて述べる。
著者
加藤 智之 西田 絢子 越島 一郎 徳丸 宜穂 梅田 富雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.21-33, 2013

既報では、3S(スキーム・システム・サービス)標準プロジェクトモデルに基づく価値創出モデルのための進化型イノベーションを課題とし、製品イノベーションを意図的に起こす手法論について進化ゲーム理論を援用し展開してきた。本論では、プログラムとしてプロジェクトサイクルを回す際、その引き金(ドライバー)となる要因(ヒト、モノ、カネ、情報)とイベントを進化ゲーム理論における戦略(現時点、将来、環境)に置き換えることによって事業ライフサイクルにおける3Sモデル間の接続をマネジメントする方法について説明する。更に、進化ゲーム理論による製品イノベーション・サイクルについて、進むべき方向性を決定する指標と共に提示し、マネジメントする方法を提案する。
著者
小原 重信
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.79-97, 2012

わが国のプロジェクトビジネス産業は、国内市場の成熟化と海外市場における新興国との競争に直面し、差別化と高度化が求められている。マルチ・ステークホルダー間の潜在的なコンフリクトは、グローバリゼーションとローカリゼーションの取引要件に対応する切迫したマネジメント課題である。利害対立、異文化、プロセス活動で発生する多次元コンフリクトは、プロジェクトマネジャーに過大な調整負担と心理圧迫を与えている。その結果コンフリクト回避行動が、次第に顕在化し信頼リスクを増加させている。本論は、看過されてきた実態を解明により、調査モデルを考案して領域発生率、個別感度、心理インパクトを分析した。その意図は、コアコンピテンスの再設計の鍵要素を探求し、プログラムカンパニーのアジェンダ探索にある。
著者
和田 義明
出版者
一般社団法人 国際P2M学会 編集委員会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.38-45, 2016 (Released:2016-11-11)
参考文献数
4

基礎研究や技術を事業に繋げることは、企業の競争戦略の中で重要な要素である。しかしながら、研究開発の初期段階で事業化の可能性や収益性などを問われることがあり、それに答えられずに、死の谷に落とされることがある。ステージ・ゲートは、研究開発テーマを絞り込む手法として考案されたものであり、研究開発の段階に合わせた評価項目で審査する為、研究開発の初期段階で収益性などを問われることがないという長所がある。一方でステージ・ゲートでの評価は管理的である為に、有望なテーマを棄却してしまったり、研究者の士気を損なったりすることが懸念されている。それを解決する手段として考案されたのがブースト・ゲートである。本稿では、企業の研究開発における活用事例を基に、ブースト・ゲートを実践する上での留意点について報告する。
著者
和田 義明 亀山 秀雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.75-85, 2013-02-25 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
5

厳しい市場環境の中で、技術的な優位性がある商品や新規性のある商品の開発は、企業にとっての重要なイノベーション戦略である。その為の研究開発プロセスについては数々の研究がなされ、各企業で実践されている。ステージ・ゲート法やPACEは、その代表例であり、多数の研究開発テーマから有望なものを絞り込んでいく手法として優れている。一方で、テーマの有望性が見出されずに、消去されてしまう可能性があることが懸念される。そこで、研究開発を後押ししながら、有望なテーマを引き上げる手法として「ブーストゲート(Boost-Gate)」という手法を考案した。このゲートはプラットフォームの一つであり、組織活性化機能が働いている。本稿では、食品会社K社における実践を通してその有効性について報告する。