著者
栗原 崇 伊藤 公紀 亀山 秀雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.61-72, 2012

世界の国々を取り巻く気候変動問題は、地球温暖化対策やカーボン市場などの環境ビジネスを牽引する西洋諸国が主導権を握る状況にある。背景にある「気候変動は人為的CO2排出が原因」という要因の単純化は、西洋メンタリティが関与していると考える。このような単純化は、非効率的かつ非効果的な対策に繋がり、社会のレジリエンスを低くする。本稿では、東洋的なリスクマネジメントを可能にするP2Mフレームワークの形成を目指して、西洋主導の気候政策にP2M手法を適用する。これにより、気候変動に対して高レジリエンスな社会の構築に資する。具体的には、方法論としてのアジア的アプローチに関する議論を通じて、西洋的及び東洋的アプローチの各利点を生かすことにより、気候変動政策に対する中庸的リスクマネジメントを従来のP2M線形モデルから導くための考察を行う。
著者
佐藤 達男 亀山 秀雄
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.26-35, 2012-09-15

世界市場において大量生産、大量消費の時代が終焉し、かつてのように技術力や生産力が競争の源泉とならなくなった状況下では、顧客にとって価値のある新しい製品やサービスを創り出していくことが最も重要であり、イノベーションを起こすことができる企業でなければ生き残っていくことは難しい。P2M は不確実性が高く環境変化が激しい今の時代の流れに対応して新たな顧客価値を創造するためのプロジェクトマネジメントの手法を提供しているが、本稿ではさらに継続的にイノベーションを創出する観点を強化するために、アジャイル、リーン製品開発、デザイン思考などの新しい考え方を取り入れた仕組みの構築を検討する。
著者
中山 政行 一寸木 修二 小山田 大和 関谷 庸 溝辺 薫 田隈 広紀 亀山 秀雄
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.173-177, 2015-03-20 (Released:2015-03-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

地域における再生可能エネルギーの普及・定着に向け,小田原市久野地域の久野川(準用河川)を対象に,マイクロ水力発電システムの導入実験を実施した.地域の要望であるエネルギーの地産地消を実現させるためには,住民レベルで実行可能な導入手順や機器の提示,方法論などが必要とされている.本稿では,具体的な導入手順や機器の提示,方法論を例証することを目的に,エネルギー利用プランの検討や電力量の試算,発電ポテンシャルの測定,適正技術の選定を実施し,マイクロ水力発電システムの導入実験を試みた.これらの活動を通して,地域におけるマイクロ水力発電システム導入に有効な一手順が例証されたため報告する.
著者
山本 佳世子 亀山 秀雄
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1_42-1_55, 2010 (Released:2011-02-04)
参考文献数
32

産学官連携における関係者は新聞の情報コミュニケーションによって相互理解を深められる面がある.本研究では産業専門新聞のひとつである日刊工業新聞を採り上げ,2003-2008年の産学官連携の記事分析を行った.日刊工業新聞の大学・産学連携面を中心とする1761件の記事データベースを作成し,テーマや主体によって6年間の記事数増減の傾向に違いがあることを確かめた.明確な記事数の増加は国の施策ではなく,国の方針を念頭においた連載記事の掲載が主因だった.また重点施策でも専門性が高い内容では専門記者の寄与が欠かせないこと,国の支援が縮小に転じても,専門紙・専門記者のポリシーに基づく情報発信の継続がみられることを明らかにした.
著者
新井 信昭 亀山 秀雄
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
一般社団法人国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.95-111, 2011-10-01

日本企業は、技術力がありながらビジネスで負けている。その要因の一つは、ビジネスモデルと知財マネジメントに対する配慮に欠けているからと考えられる。競争力のある知財マネジメントは、事業戦略、研究開発戦略、そして知的財産戦略が「三位一体」になって始めて実現する。しかし、この「三位一体」が思うように機能していない。その理由は、各戦略を担当する部門間のコミュニケーション不足にある、と論者は考えている。そこで、P2M理論を適用することによる「三位一体」経営を提唱する。
著者
亀山 秀雄 桜井 誠 増田 明之 福井 友亮 小貫 薫 久保 真治 今井 良行
出版者
一般社団法人 水素エネルギー協会
雑誌
水素エネルギーシステム (ISSN:13416995)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.3-10, 2012 (Released:2022-03-10)

The technical present status of hydrogen production process using IS thermochemical cycle was introduced. This process is experimentally investigated in Japan, USA, Germany, France, Italy, India, China and Korea. Japan Atomic Energy Agency succeeded in consecutive hydrogen production as a proof examination. The trend of the research and development about the reactions, separation technology, device materials and the process equipment were reported. Thermochemical ammonia production cycle was also introduced. This new cycle is named ISN cycle which was modified from IS cycle in order to produce ammonia from water and nitrogen.
著者
亀山 秀雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.193-204, 2015 (Released:2017-06-02)
参考文献数
3
被引用文献数
1

第4期科学技術計画では、科学技術イノベーション政策のあり方として「課題達成型」が掲げられた。一方、「実現」を強く意識したために、「発見」を中心にした基礎研究が軽視された傾向がある。そこで、 第5期科学技術計画の策定にあたっては、「課題達成型」を包含しつつ、基礎研究から応用研究までを含むあらゆる段階の研究において、わが国の持続的成長に貢献する新しいコンセプトの検討が進められている。 その一つとして、科学技術イノベーションによって、次世代の基幹となる事業を育成し未来を創るという「未来創造型」を取り入れることがあげられている。本研究は、このような科学研究の成果をイノベーションに活用して市場で価値を獲得するために必要な価値創造プロセスを提案した。それは、「価値の発見」と「価値の実現」と「価値獲得」を相互に連携して逐次的に行うプロセスである。その価値創造プロセスを3Sモデルデで説明し、スキームモデルが「科学的・技術的価値の発見」と「社会的・経済的価値の発見」であり、システムモデルが「社会的・経済的価値の実現」、サービスモデルが「社会的・経済的価値の市場での獲得」に適合することを、事例を挙げて示した。
著者
和田 義明 亀山 秀雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.75-85, 2013-02-25 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
5

厳しい市場環境の中で、技術的な優位性がある商品や新規性のある商品の開発は、企業にとっての重要なイノベーション戦略である。その為の研究開発プロセスについては数々の研究がなされ、各企業で実践されている。ステージ・ゲート法やPACEは、その代表例であり、多数の研究開発テーマから有望なものを絞り込んでいく手法として優れている。一方で、テーマの有望性が見出されずに、消去されてしまう可能性があることが懸念される。そこで、研究開発を後押ししながら、有望なテーマを引き上げる手法として「ブーストゲート(Boost-Gate)」という手法を考案した。このゲートはプラットフォームの一つであり、組織活性化機能が働いている。本稿では、食品会社K社における実践を通してその有効性について報告する。
著者
田隈 広紀 桜井 誠 亀山 秀雄
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 = Kagaku kogaku ronbunshu (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.256-264, 2013-07-20
被引用文献数
3

イノベーション・エコシステムの確立が,文部科学省による「イノベーション促進のための産学官連携基本戦略」の中で提唱されている.イノベーションはホリスティックであり,そのシステムを確立していくためには,総体的な研究アプローチが必要であり,研究開発マネジメントが求められている.<br>本研究では,このような研究アプローチを支援する仕組みとして,プロジェクト&プログラムマネジメント(P2M)の導入と具体的な研究支援ツールであるロジックモデルとバランススコアカードを利用した,研究計画支援システムを提案する.このシステムを4年間大学の研究室における工学研究に導入した結果,研究発表数,研究論文数等研究業績の向上に効果が見られ,また大学で研究する学生の研究力向上に効果が見られた.さらに産学官連携研究にて,両ツールが複数技術の統合化や,ステークホルダ間の利害調整に重要な役割を果たすことが示唆された.