著者
伊藤 聡 小西 真治 村上 哲哉 新田 裕樹 阿南 健一 中川 貴之 本田 中 赤木 寛一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F2(地下空間研究)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.14-31, 2020

<p> 地下鉄開削トンネルの縦断方向の一部に大きな沈下や沈下に伴うひび割れが多く見られ,その使用にあたって耐荷性能を精度よく評価することが課題となっていた.そこで,鉄筋ひずみの調査を行ったところ,トンネルの中立軸位置が設計計算の値と大きく異なることがわかった.この要因として,トンネルにひび割れが生じることでトンネル縦断方向に伸長する挙動が,両端の変状が起こっていない部分により拘束されることにより見かけの軸力が発生するといったメカニズムを想定し,軸力の算定方法を検討した.さらに,この軸力を用いて構造計算を行った結果,見かけの軸力を与え,トンネル形状を再現した疑似3次元モデルを用いることで,トンネルのひび割れ状況などの変状を精度よく再現できることがわかり,軸力の発生メカニズムの妥当性が確認できた.</p>
著者
吉本 直美 和氣 典二 三田 武 和氣 洋美
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F2(地下空間研究) (ISSN:21856583)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-10, 2012 (Released:2012-06-20)
参考文献数
7

この研究は地下空間のQOL,つまり快適性という心理的面から環境設計に役立たせる評価法の開発に関するものである.今回は,副都心線を含む東京メトロ8駅を選び,駅構内とそれにつながる通路を歩いてから2種の質問紙に回答を求めた.質問紙(その1)の結果では,快適感・利便性,不安感,視認性・気づきにくさ,まぶしさ・歩行のしにくさの4つの因子が抽出された.また質問紙(その2)の結果では,案内表示の視認性,地下空間の全体的雰囲気,運賃表・路線図の見えやすさの3因子が抽出された.また質問紙(その1)で抽出された快適感・利便性と不安感は,(その2)の全体的雰囲気との相関が高く,視認性・気づきにくさは,案内表示や運賃表や路線図と相関が高いことが示された.