著者
齋藤 馨子 和氣 洋美 厳島 行雄 五十嵐 由夏
出版者
神奈川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

痴漢被害に関する質問紙調査では、女性の約37%、男性の約5%が痴漢被害を経験しており、痴漢被害部位の多くは臀部であることが示された。痴漢被害遭遇時は目視による犯人確認が困難であることも明らかとなった。また、痴漢と判断される行動が混雑した公共交通機関内で容易に生じることも確認された。身体接触に関する調査では、身体接触を基本的に不快と感じることが示された。触判断に関する実験的検討では、視聴覚情報が遮断された状態で背後の他者の立ち位置を感じることはできず、刺激の動きの有無や連続提示にかかわらず、臀部では触覚情報のみによって対象を正しく判断することは困難であることが明らかとなった。
著者
五十嵐 由夏 大森 馨子 和氣 洋美 厳島 行雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.91-96, 2013-11-09

近年,都市部の交通機関を利用する者にとって"痴漢"は避けられない問題となっており,多くの人が痴漢被害や冤罪被害に巻き込まれる不安を抱えているという.そこで本研究では,都内近郊の大学に通う男女137名を対象に質問紙調査を実施し,混雑した交通機関内で生じうる様々な身体接触状況に対する不快感と,各状況が痴漢行為だと思うかどうかについて尋ねた.その結果,身体接触そのものが全般的に不快であり,痴漢だと判断されやすい行為は概ね不快な行為でもあることが確認された.一方で,痴漢であると判断されやすい状況に,混雑した車内で偶発的に生じうるものが数多くあることも明らかとなり,冤罪被害が発生する可能性の高さも示唆された.
著者
和氣 典二 河本 健一郎 和氣 洋美 張 善俊 斎田 真也 葭田 貴子 葭田 貴子 大森 馨子 宮崎 由樹
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

1)変化検出課題や二重課題による注意やパタン知覚の研究や触覚と視覚の比較研究を行った。変化検出課題を視野狭窄が生じている緑内障や網膜色素変性の眼球運動は人為的に視野を制限したときの4゜から8゜の場合と類似していることや変化を検出するときの反応時間は視力に影響されずに加齢や視野の障害の程度に依存することを明らかにした。触覚で変化検出課題を行うと、触覚の反応時間は視覚より顕著に長くなる。この知見から手の触野を視野で表すと、約0.5゜に相当する。二重課題では偏心度を変えたときの輝度コントラストと色コントラストを検討し、偏心度が増すと、感度が著しく低下することを示した。また、輝度コントラスト感度に差がなくても、色コントラスト感度では高齢者は顕著に若年者より低下する。パタン知覚の場合、先天盲や先天的ロービジョンは3次元情報を触覚で報告できないが、後天盲ではそれが可能である。2)応用的観点から、地下空間の快適性・安全/安心に大きな影響を与えるものに視認性や視覚的注意があることを指摘し、それを踏まえた空間の評価法を提案した。また、画像処理の応用面として、電子透かし技術の実用化をはかった。
著者
大森 馨子 五十嵐 由夏 和氣 洋美 厳島 行雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.432, pp.7-10, 2012-02-02
参考文献数
6

痴漢場面で触られることの多い身体背面部に提示された触覚情報の判断とその回答に対する確信度について,手のひらに提示された場合との比較検討を行った。さらに,触覚情報の動きの有無によって触判断や確信度が異なるのか検討した。その結果,手のひらで触判断を行う場合にくらべ,身体背面部における触判断の正確性および確信度は低下することが明らかとなり,触覚情報のみで判別することは難しい可能性が示唆された。また,動きの有無によって正答率に差は見られないが,確信度については動きがある場合に高まることから,動けばそれが何であるか分るはずだといった思い込みによって,誤認が増加している可能性が示唆された。
著者
五十嵐 由夏 市原 茂 和氣 洋美
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.57-65, 2012

本研究では,自分の身体部位(手)の大きさがディスプレイ上でどの程度正確に評価され,その評価に私たちの身体情報がどのようにかかわるかを検討した.実験参加者の課題は,ディスプレイ面上の2本の水平線間の幅を,イメージした自分の手や物の大きさに合うようにフットペダルを用いて調整することであった.実験1では,手を置く位置や形,部位を変えることによって手の大きさ評価に違いが見られるかを検討した.その結果,手の形や位置にかかわらず,手の横幅は比較的正確に評価される一方で,手の長さは過大に評価される結果となった.実験2では,ディスプレイの設置距離を手前から奥にランダムに変えたうえで,異なる3種類のオブジェクトと手の大きさについて評価を求めた.オブジェクトごとに評価の縮尺率を求めたところ,特に手のイメージは距離の影響を強く受け,自分の腕の長さより遠くでイメージを行わなければならない条件では有意に過小評価されることが明らかとなった.この結果は,身体の大きさ概念が日常生活のさまざまな場面・動作で経験する身体の広がりの平均に基づくものであり,短期的な身体情報の変化よりも長期的な身体経験によって調整されるものであることを示唆する.
著者
斎田 真也 氏家 弘裕 和氣 典二 和氣 洋美 横井 健司
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

観察者が3次元空間内の情報処理を行う範囲を推定する方法の開発を行った。観察者に向かう移動物体に対する3次元有効視野の形状は観察者から奥行き方向に向かって樽型の形状をしていた。静止物体における奥行き探索課題のとき、両眼視差が1度以内では探索時間は手前ほど短かった。高齢者が視線を遠点から近点に移したときのターゲット検出に要する反応時間は若年者のそれより顕著に長かった。眼球運動解析から情報処理能力の向上には有効視野の拡大のみではなく視線移動の効率化や認識時間の短縮など複数の質的に異なる方略が存在した。