著者
片岡 亜紀子 石山 恒貴
出版者
法政大学地域研究センター
雑誌
地域イノベーション = 地域イノベーション (ISSN:18833934)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.73-86, 2017-03-31

研究成果の概要 (和文) : 家でも職場でもない第3 の居心地の良い場所としてサードプレイスが注目されている。多様な人々が集まる地域のサードプレイスは、地域活性化の核として期待が高まっている。また離職や休職をきっかけに、女性がはじめて本格的に地域とかかわる場としてのサードプレイスの必要性が指摘されている。しかし、サードプレイスを創設したものの、地域に定着しないまま消滅する事例も散見される。地域で継続的なサードプレイスとして存在するための要素、およびその効果とはどのようなものであろうか。本稿はこれらの点を解明するためにリサーチクエスチョン(以下、RQ)を設定した。 RQ1: 地域で継続性のある存在となったサードプレイスはどのような経緯で成立したのか RQ2: 地域で継続性のある存在となったサードプレイスはどのような機能をもっているのか RQ3: 地域で継続性のある存在となったサードプレイスの機能はどのように効果の発揮につながるのか、とりわけその地域の女性に対してどのような役割を果たしているのか RQ を解明するために、地域で継続性のあるサードプレイスを運営する2 団体を選定し、事例研究として観察調査、インタビュー調査、資料調査を行った。分析の結果、RQ1 では管理者が当事者として問題意識をもち、個人的な活動から外部との連携を経て、地域のサードプレイスとして成立したことがわかった。RQ2 では複数の参入機能、物理的な場、人的な場、インターネット上の場、地域のハブ機能、段階的に働く場、話し合う場、の機能があることがわかった。RQ3 では人的ネットワークの形成、地域への興味喚起、さらに地域の女性に対する自己効力感の向上、新しい働き方の認知、といった効果を発揮していることがわかった。以上から地域のサードプレイスが効果を発揮するためには、社会的、個人的背景からニーズを察知し発展の段階と目的に合わせ適切に設計し、地域のステークホルダーに働きかけ連携する必要があると考える。
著者
五十嵐 伸吾
出版者
法政大学地域研究センター
雑誌
地域イノベーション = 地域イノベーション (ISSN:18833934)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.89-104, 2013-03

研究の概要(和文):我が国、特に地方における産業活性化あるいは雇用創出の担い手として、新規開業企業群(スタートアップ企業)への期待は大きい。しかし、これまで地域において起業促進政策が顕著な成功を見た例は少ない。岩手県は県内総生産、失業率などの指標で他県と比較すると決して恵まれているとは言えない。岩手県下のある企業しかも一つの工場から40余りのスタートアップ企業が誕生 し、しかもほぼすべてが生存している。このような事例は他に類を見ない。本稿では、このアルプス電気盛岡工場の事例を分析することによって、どのような経緯によって起業を促進する組織文化が形成されたのかを明らかとする。それが地域における起業促進政策に対する一助と なることを期待する。
著者
安田 亘弘
出版者
法政大学地域研究センター
雑誌
地域イノベーション = 地域イノベーション (ISSN:18833934)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.23-33, 2012-04

研究の概要(和文):近年、地域の食や食文化を観光資源とする観光振興によりまちづくりに取り組んでいる地域が全国に広がっている。これらはフードツーリズムを活かした観光まちづ くりである。本稿は、フードツーリズム、観光まちづく りなどを定義し、さらに、コトラーの説く「地域マーケ ティング」の理念を枠組みとする観光まちづくりの具体的なプロセスを考察する。また、ケーススタディにより、地域における普遍的、本格的な活用に向けての手がかりにすることを目的とする。
著者
片岡 亜紀子 石山 恒貴
出版者
法政大学地域研究センター
雑誌
地域イノベーション = 地域イノベーション (ISSN:18833934)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.73-86, 2017-03-31

研究成果の概要 (和文) : 家でも職場でもない第3 の居心地の良い場所としてサードプレイスが注目されている。多様な人々が集まる地域のサードプレイスは、地域活性化の核として期待が高まっている。また離職や休職をきっかけに、女性がはじめて本格的に地域とかかわる場としてのサードプレイスの必要性が指摘されている。しかし、サードプレイスを創設したものの、地域に定着しないまま消滅する事例も散見される。地域で継続的なサードプレイスとして存在するための要素、およびその効果とはどのようなものであろうか。本稿はこれらの点を解明するためにリサーチクエスチョン(以下、RQ)を設定した。 RQ1: 地域で継続性のある存在となったサードプレイスはどのような経緯で成立したのか RQ2: 地域で継続性のある存在となったサードプレイスはどのような機能をもっているのか RQ3: 地域で継続性のある存在となったサードプレイスの機能はどのように効果の発揮につながるのか、とりわけその地域の女性に対してどのような役割を果たしているのか RQ を解明するために、地域で継続性のあるサードプレイスを運営する2 団体を選定し、事例研究として観察調査、インタビュー調査、資料調査を行った。分析の結果、RQ1 では管理者が当事者として問題意識をもち、個人的な活動から外部との連携を経て、地域のサードプレイスとして成立したことがわかった。RQ2 では複数の参入機能、物理的な場、人的な場、インターネット上の場、地域のハブ機能、段階的に働く場、話し合う場、の機能があることがわかった。RQ3 では人的ネットワークの形成、地域への興味喚起、さらに地域の女性に対する自己効力感の向上、新しい働き方の認知、といった効果を発揮していることがわかった。以上から地域のサードプレイスが効果を発揮するためには、社会的、個人的背景からニーズを察知し発展の段階と目的に合わせ適切に設計し、地域のステークホルダーに働きかけ連携する必要があると考える。研究成果の概要 (英文) : The purpose of this paper is to examine the roles of third places in regional activation. Third places are places outside the workplace and thehome. These places are further described as goodplaces. Third places can be an integral part ofregional activation, especially for women who have been on a career break. This is because third places can provide them with their firstopportunities for regional activation. The research questions in this paper are as follows:RQ1 How were the third places that have continuity established? RQ2 What are the roles of the third places that have continuity? RQ3 What are the effects of the third places that have continuity? This paper selects two third places and introduces their histories, roles, and effects. The major findings are as follows: 1) The founders of the third places have a sense of ownership and work together with various local stakeholders. 2) The third places function as the hub of the local communities' networks. This is because the third places are open to diverse people in local communities. 3) The third places have the effect, especially for women, of initiating interest in regional activities and improving their self-efficacy. On the basis of these findings, it is suggested that we should understand the importance of cooperation with local stakeholders to create the continuous and effective third places that function as the hub of local communities.