- 著者
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中村 豊
- 出版者
- Japan Society of Civil Engineers
- 雑誌
- 地震工学研究発表会 報告集 (ISSN:18848451)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, pp.115-115, 2005
2004年新潟県中越地震では営業運転中の新幹線列車が初めて脱線したが, 種々の事前対策が功を奏し, また幸運にも恵まれて災害とはならなかった. 新幹線には地震対策のひとつとして, 不測の事態が発生したときに災害の程度をできるだけ軽減させるための早期検知システムが設置されている. 今回の地震でも, 上越新幹線に設置されたコンパクトユレダスが, 震央地域でP波検知後1秒で警報を発し, 震央域の全列車を緊急停止させた. 脱線列車に対しては, 警報から本格的な地震動が到来するまで3秒弱しかなかったが, 被災したかも知れないところを130m近く走行せずにすみ, 対向列車突入の危険性も大幅に低減した. 直下に発生した地震に対しても, コンパクトユレダスは想定どおり効果を発揮することが実証された. また, 今回の脱線現象を分析した結果, 主要な脱線は特定の高架橋ブロック間の著大な相対変位によって順次発生したと推定され, 地震後, 脱線車輌がレール上を胴体着陸状態で滑走して著大な摩擦熱が発生し, 列車通過とともにレールの変形・破断が発生したと想定された.