著者
前田 香雪
出版者
The Ceramic Society of Japan
雑誌
大日本窯業協會雑誌 (ISSN:03669998)
巻号頁・発行日
vol.10, no.109, pp.Plate1-Plate1, 1901
著者
世良 末素人
出版者
The Ceramic Society of Japan
雑誌
大日本窯業協會雑誌 (ISSN:03669998)
巻号頁・発行日
vol.38, no.449, pp.279-283, 1930

工業製品に對する規格統一は、世界的に其の機運熟し、我國に於ても、商工省に日本工業品規格統一調査會を設けて、其の運動の中心機關をなして居るが、未だ寡聞にして、材料分析法に關する規格の統一されたるを聞かず、從つて各工揚・會社・學校等に於ける分析法も、區々街々にして、殊に硅酸分の測定の如きデリケートなるものは其の方法乃至操作の如何によりては可成の相違あるを見る。<br>余もとより淺學菲才、殊に分析を專業とせるものにあらざれば、次に示さんとする亞米利加材料試驗所 (The American Society for Testing Materials) の粘土分析法の規絡に對し、欽仰せるものにもあらず、又、評論するものにもあらず、只余自身の參考にさなんと譯したるものを其の儘、亞米利加にはかゝる規格のある事を紹介せんとするに過ぎず。幸に分析術修學中の諸氏の幾分の參考ともならば望外である。
著者
山内 俊吉
出版者
The Ceramic Society of Japan
雑誌
大日本窯業協會雑誌 (ISSN:03669998)
巻号頁・発行日
vol.45, no.533, pp.279-299, 1937
被引用文献数
3

ポルトランドセメントのセリツト部分は4CaO・Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>なる化合物であると唱へてゐるが尚ほ不可解な點が多く理論的或は技術的立場から今一段の研究が希望されてゐる現状である。<br>著者はこの樣な見界からセリット部分の研究に手を染めることにした。<br>そこでセリット部分の研究に先だつて確めておかねばならぬ基礎的な部分はCaO, Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>, CaO-Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>系CaO-Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>系等に關する正しい知識である。 CaO-Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>系については著者等は度々本統に報告してきたので本報ではCaO, Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>, CaO-Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>系等についての結果を報告することにした。<br>即ち本報に於てはCaCO<sub>3</sub>, Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>等の加熱による構造の攣化, CaCO<sub>3</sub>:Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>が3:1, 2:1, 1:1, 1:2の4種調合物を1000-1470℃の各種温度で燒成してCaO-Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>系の化合物の種類等を顯微鏡及びX線的に確かめ最後にCaO-Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>系の純化合物の水和作用をしらべた結果を報告した。<br>その結果は大約次の様であつた。<br>(1) 2CaO<sub>3</sub>・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>等は著者の様な實驗條件では温度によつて構造の變化なしと考へて差支えない。<br>(2) CaO-Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>系には2CaO・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>, CaO・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の二種の化合物が存在する。 之等の合成に於ては著者の實驗條件では温度による變態及び解離は考へなくてもよい。<br>(3) 2CaO・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は熔融點以下で或る量のCaOと固溶體を作り熔融點以上では2CaO・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>とCaOとに解離することを新に發見した。<br>(4) 2CaO・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は水を加ふれば可なり早く水和する。 20日に於てX線的には殆んど原化合物は認められない位に水和し盡してゐることが分る。 2CaO・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は水と作用し水セメント比が普通工事程度の水量の時は水和生成物として2CaO・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>・5H<sub>2</sub>Oを作る。 この水和物は多量水を以て抽出すれば加水分解を起し次第に低石灰化合物となり最後にはCa(OH)<sub>2</sub>とFe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>・nH<sub>2</sub>Oとになる。<br>(5) CaO・Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は水和しない。<br>終りに臨み本研究を行ふに當り直接御指導御助言を賜はつた恩師東京工業大學教授近藤清治博土並に本研究を熱心に援助された近藤教授研究助手小西幸平君に對し衷心の謝意を捧るぐ次第である。
著者
福島 彌六
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
大日本窯業協會雑誌 (ISSN:03669998)
巻号頁・発行日
vol.52, no.614, pp.57-65, 1944-02-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
9

最近のポルトランド・セメントの成分に就てはその化學的分析の成績を基となし前章にて詳しく論じたので, 茲では全體的に見てその要點を指摘し總括しつゝ成分變動を要約する.1. セメントの灼熱減量は第1囘試料 (現場採集) 1.8-5.1%平均3.20%, 第2囘試料 (工場採集) 0.60-1.8%平均1.2%を表し, 從來の昭和11-13年セメントの1.0%以下に較ぶれば現場のセメントは著しく増加してをり風化したものが多く存在するを認めた. これはセメント包裝用紙の劣化, 輸送の停滯等により風化の機會が多くなつた結果と考へられる.2. 珪酸含有量は第1囘試料19.59-23.04%平均20.95%, 第2囘試料17.63-22.99%平均20.83%を表し, 平均21.0%程と見られるが20%に滿たぬものもあり, 從來の22.0%以上と較ぶれば3-2%程の減少となる. 礬土含有量は第1囘4.67-7.35%, 第2囘7.08-7.86%平均6.05%を表し, 平均6.0%程であり内には6或は1%を超へる高値のものも可成多く從來の礬土が4-6%内に略限られてゐたのに較べて増加したものが多くなつてゐる傾向がある.從來セメントの珪酸, 礬土含有量は各常に略一定してゐたが最近の各セメントは特に礬土につき其量が區々にして低値又は高値なるものが絶へず表れ其多寡に變動が多く見られる様になつた. 此變動は珪酸頻度圖及礬土頻度圖を參照比較すれば一層明瞭である.3. 全石灰は第1囘及第2囘試料にて夫々57.26-63.37%平均61.0%, 61.20-66.23%平均63.51%を表し, 從來の55-56%を常に保つてゐたのに較べて2-4%, 平均3%程の減少と見られる.全石灰含有量にも同様に可成の増減が表れこれは全石灰頻度圖より明瞭である.遊離石灰は從來は0.5-1.5%内にあり平均1.0以下のセメントが大部分と見られてゐたが最近は0.68-5.55%に及び平均2.33%を表し, その内で1.5-3.5%のものが過半數であるに較べて可成増加が目立つてゐる.斯くて最近のセメントの化合石灰量が甚だ減少し, 代つて礬土量が増加したことゝなり, 延いては成分化合物中珪酸石灰鹽類の生成が減少し, 礬土酸石灰鹽を増したことが當然考へられ, セメントの水硬性化合物即ち鑛物組成にも可成變動が與へたと見られる.4. 成分比率に就ては水硬率が共に低下し, 最近は水硬率2.00に滿たざるものも多く現れ, 代つて鐵率が増してゐる. 一般に各成分比率の範圍が從來より廣くなり成分相互の均齊度が喪はれてきた傾がある.5. 現場採集の試料と工場採集のものとを較れば現場のセメントは一般に成績が良好ならず不同がある. 工場採集のセメントは成績が比較的揃つてをり, その一部分には從來に較べて遜色のない品質のものも存在してゐる.6. 計算により求めた水硬性化合物, 即ち鑛物含有量に就いて見ても一般に最近は珪酸石灰鹽が減少し礬土石灰鹽が増加してゐる.3CaO.SiO2は最近のセメントで23.6-56.5%平均40.8%となり從來の40-60%平均50%程と較ぶれば約10%の減少となり, 内には從來餘り見ない40%に滿たざる40-25%程の低値のセメントが約半數を占めてゐた.3CaO.Al2O3, も増加の傾向があり從來此量は略一定してゐたのに較べて最近は各セメントに其多寡に不同が多くなり10%を超へ15%に至る高値のものも現れてゐる.鑛物組成の變動は圖-2を參照することにより明に看取される.7. 石灰, 珪酸, 礬土の三成分に就き化合せざる成分を控除し, 換算した化合量の百分率を表す三元組成圖を見ると, 最近のセメントの三成分組成はCaO 66-70%, SiO2 22-26%, Al2O3 6-11%の比較的廣い範圍内に存在し從來に較べ石灰量減少し礬土量が増加しつゝある傾向が一層明である.8. 一般に最近ポルトランド・セメントは低石灰高礬土質に變動しつゝあり. 之を從來の高石灰低礬土質に較べてむしろ反對の方向を辿つてゐる傾向となりセメントの成分上好しからざる傾向と云へやう.之を要するに, 最近のポルトランド・セメントの質的低下は粗惡炭燃燒に因る遊離石灰及礬土の増加延いては全成分割合の變動に基くものゝ如く, セメントの主要水硬性化合物なる珪酸石灰鹽, 特に3CaO.SiO2の生成を減じ礬土石灰鹽を増したことゝなり, 其結果セメントの品質に致命的なる打撃を與へ最近のセメントの強度低下の主因をなしてゐると考へられる.此事實はまた目下のセメント製造の實情に照らしてみても明である. 即ち原料なる良質石灰石及粘土の採掘, 精選の不如意, 成分の均等配分の不備等と共に, 特に劣質炭の燃燒に伴ふ燒成温度の低下或は炭分の増加による燒成の不完全が製品の成分に直に關係しセメントの品質に惡彩響を及ぼした結果と見られる.此問題を改良し又解決せざればセメントの品質の向上は困難と見るべきであらう.
著者
中條 金兵衞
出版者
The Ceramic Society of Japan
雑誌
大日本窯業協會雑誌 (ISSN:03669998)
巻号頁・発行日
vol.47, no.562, pp.535-542, 1939

この第6報は, 第5報に詳説したAN型新風篩器に就て決定さるべき諸要項並びに操作, 及びそれ等の實用的利用法に關する記述で, その要約を順を追つて箇條書きに列擧すると次の如くである.<br>(i) 先づ粉末の細かさを知る爲に, それを粒子の大きさに從つて分割する際, 限界に立つべき粒子の徑を顯微鏡下に測定する爲のプレパラート作製法の簡單にして恒常性ある方法を紹介説明した.<br>(ii) 次に粒子の大きさを實測するに際して, 如何なる粒子徑の定義に依るを簡明且合理的とするかを檢討し, 結局200乃至400個限界粒子の長さ<i>l</i>, 幅<i>b</i>を測定し,<br>(<i>l</i>+<i>b</i>/2)<sub>m</sub>=<i>l<sub>m</sub></i>+<i>b<sup>w</sup></i>/2<br>によつて表示するの實用性を認めた.<br>(iii) 限界粒子徑の大きさを如何樣にとるかに就て, 諸家の研究に徴し, 筆者の研究に俟つて,<br>(<i>l</i>+<i>b</i>/2)<i><sub>m</sub></i>=15.0μ<br>と決定した.<br>(iv) 試驗に供する粉末の量に關し, 50g又はそれ以上にとるべしといふ一部の主張に批判を加へ, 精度と時間とを考慮した測定器固有の量を選定すべきことを述べ, AN型に於ては20gを適當とする結論に達した.<br>(v) 風篩を打切るべき終點の決定は, 風篩器の性能に應じてなさるべきで, AN型は分離能力大なる點よりして, 10分間の吹上げ量1%以下となる時刻を以てすることが出來る. 從つて風篩時間は40-50分にて足る.<br>(vi) 風篩筒内壁には多數粒子附着し, これが試驗精度を低める因をなすので, 測定中一度送風を斷つて内面を清掃する必要はあるが, それは唯々一囘にて足ることを確めた.<br>(vii) 實用的風篩器は日常的な試驗條件, 例へで室温, セメント比重等の變動に因つても, その精度に左程の影響を受けはいことが必要で, 實際, 限界粒子徑15μに對して常温の開き10℃は0.21μ, 比重1.2%の不同は0.18μの誤差を起すに過ぎぬ.<br>(viii) AN型風篩器はその構造の堅牢, 簡潔と操作の單純, 確實との爲, 未經驗者にても容易に着手し得て, 唯々1囘にてその試驗成績は0.3%内外の精度に達することが出來る.<br>(ix) 豫備試驗に於て, セメント風篩の限界粒子徑が15.0μを與ふる樣に風量を豫め決定する爲には普通, ガスメーターを使用するが, 精確な測定は厄介である. 確實にして實用的な方法は, 標準粉末の殘滓量が規定の數値に達する樣な風量を發見するに在り, この方法の價値を述べた.<br>(x) AN型にて風篩したセメントの殘滓より, 比表面積を直接, 容易に求め得る2つの表を作製し, その利用法を示した.<br>(xi) AN型風篩器の考案, 操作の決定には豫め要望さるる諸原則を樹て, これに適合するやう研究を進めて來たのであるが, 第5, 6報を省察して, その略々充されてゐることを知ることが出來た.<br>要するに, 以上第5, 6報は第1, 2, 3, 4報に於ける基本的研究の基礎上に立つて, これを實用化する目的を以て爲された探究に關するもので, 適切なる装置と操作とによつて40-50分にして眞値に近ぎ表面積を求め得ることを叙述したのである.<br>尚, この試驗研究に多大の御援助と御指導とを賜つた淺野セメント技術顧問藤井光藏氏に深甚の謝意を表する次第である.
著者
大野 正巳 近藤 清治
出版者
The Ceramic Society of Japan
雑誌
大日本窯業協會雑誌 (ISSN:03669998)
巻号頁・発行日
vol.47, no.553, pp.3-7, 1939

本報に於て著者等は能登半島一帶に多量に埋藏されて居る珪藻土の産状を, 關係産地の地質學的從來の研究を引照綜合しこれに著者等の實地踏査の際に採取したる試料に就て分析せる化學成分より説明し, その産地として代表的なる輪島及和倉附近の珪藻土に就て研究せる顯微鏡的觀察の結果を報告してその一般的品質に就て論じた。<br>終に本研究を發表するに當り, 實驗に關し多大なる御援助を賜りし東京工業大學窯業學科末野悌六・山内俊吉兩氏, 地質學的方面に御教示を得たる第四高等學校望月勝海氏竝に東大地震研究所大塚彌之助氏に深き感謝の意を表する。尚本研究の一部は著者の一人大野が文部省内地研究員として東京工業大學窯業學科に留學中行へる研究の一部であることを附記する。