著者
霜村 光寿
出版者
実践女子大学短期大学部
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The Bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:24344583)
巻号頁・発行日
no.40, pp.85-94, 2019-03-09

金栗四三は,戦前にはマラソン選手としてオリンピックに出場するほどの活躍を遂げ,その後は箱根駅伝を発案するなど,日本における陸上競技の普及に大きく貢献した。その業績から日本の「マラソンの父」とも呼ばれ,2019 年のNHK 大河ドラマの主人公として取り上げられるなど注目されているが,金栗についての体系的な研究はまだ少ない。今後の金栗研究の発展に寄与すべく,本稿では金栗の著作を中心に文献目録を作成した。
著者
大塚 みさ
出版者
実践女子大学短期大学部
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The Bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:24344583)
巻号頁・発行日
no.40, pp.57-67, 2019-03-09

近年、媒体を問わず国語辞書の売れ行きは低迷傾向にある。筆者による調査結果では、大学生は辞書の代わりにスマートフォンを使用する傾向が見えるが、辞書アプリに代わってサーチエンジンやハッシュタグ検索が多く行われつつある。こうした状況下で、意味の分からない語への対処の実態を把握するにはどうしたらよいだろうか。その方法を探る目的でファッション雑誌記事における外来語を用いて行った予備調査の結果を報告する。Statistics clearly show that the number of paper and pocket monolingual electronic dictionaries published for Japanese native speakers is steadily declining. Surveys conducted by the author suggest that students have turned to smartphones as an alternative. However, fewer students seem to be using a dictionary app; instead, they use search engines or hashtag searches. Can the present state of students' reference practice̶that is, how they look up the meanings of unknown words̶be adequately captured? This paper reports a pilot study seeking insight into this issue by examining students' searches for defi nitions of loanwords in fashion magazine articles.
著者
三浦 宏文
出版者
実践女子大学短期大学部
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The Bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:24344583)
巻号頁・発行日
no.40, pp.43-55, 2019-03-09

本稿では宮沢賢治の作品を引用する映画『幕が上がる』に表れた初期仏教思想を検討した。本映画中で富士ヶ丘高校演劇部員たちが吉岡先生の退職という喪失から立ち上がって行く仕方は、仏弟子達がブッダの入滅を体験する中で「自らをたよりとし、法をよりどころとして生きていく」という後の「自帰依」「法帰依」と言われる教えによって乗り越えていく姿と酷似していた。そして舞台『幕が上がる』ではそこからさらに「お互いの喪失を救い合う」という大乗仏教の境地にまで進められていたのである。This study examines concepts of early Buddhism in the movie Maku Ga Agaru (The Curtain Rises) via Buddhist writer MIYAZAWA Kenji's work as quoted in the movie. It highlights similarities between how the student drama club members recover from the loss of Yoshiyoka-sensei and how the Buddha's disciples overcame their great loss after the Buddha's nirvana by adhering to the Buddha's teachings and being self-reliant. This study also emphasizes how, in the live stage versions of Maku Ga Agaru, the members gained additional psychological depth in keeping with the Mahāyāna Buddhist principle of reciprocal help, "to save each other's losses.".
著者
飯野 智子
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The Bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-48, 2015-03-21

ジェンダー、セクシュアリティの意識の変化とともに、性的サービスの需要や消費形態も多様化している。男性が作り、買い、女性が売るという構造にも変化の兆しが見える。女性向けのアダルトビデオや恋人を貸し出すデート産業などの利用者は、特別な存在ではなくなりつつある。このような現象は女性のセクシュアリティの自由な表現を意味しているのであろうか。あるいは女性に娼婦役割と母役割を求め、売りつつ買わないことを期待する性の二重規範が揺らいでいるのであろうか。本稿では、女性向けセクシュアリティ産業の調査を通して、「女性が買うこと」の意味を考える。