著者
本江 昭夫 福永 和男
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 第1部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.p85-91, 1983-06

(1)山地の大規模草地において植生調査を行い,出現した種について積算優占度を求めた。出現頻度の高い19草種について,反復平均法で序列づけを行った。(2)序列づけされた種について,第1軸には牧草地の造成方法が,第2軸には利用方法が強く反映していた。(3)クラスター分析により,48スタンドが4種類の植生タイプに分けられた。すべての植生タイプにおいて,オーチャードグラスとホワイトクローバーが優占していた。さらに,採草タイプではチモシーとオオスズメノカタビラが,放牧タイプではケンタッキーブルーグラスとメドウフェスクが,野草タイプではササ類の優占度が高かった。(4)山地の大規模草地における植生の変異には,標高や立地条件よりも人為的な撹乱圧の程度が強く関連していると推察された。
著者
光本 孝次 松村 信雄 五十嵐 正
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 第1部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.606-610, 1973-01

良い資質の乳牛のイメージを得るために,一般レベルの乳牛群,ブリーダーの乳牛群と輸入乳牛群の体型7部位と乳房形質12部位を測定した。測定時期は約乾乳期と約最高泌乳期の2時期である。1)体高,体長および尻長において,輸入牛とブリーダーのそれには非常に類似した平均値が得られた。輸入牛の腰角幅と〓幅の平均値はブリーダーのそれより大きいようである。一般レベルの乳牛は相対的に小柄である。2)輸入牛の乳房は泌乳による乳房の縦の変化が少なく,横の変化が非常に大きい。3)前後乳頭間隔では輸入牛の膨張係数が低い。
著者
鈴木 省三 左 久 斉藤 保則 坂口 昭彦
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 第1部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.p317-321, 1982-08

搾乳室進入順位と待機場内における各牛の位置・動態との関係から,進入順位決定に関与する要因を検討する目的で,ロータリー式搾乳室を利用する39頭の搾乳牛群について,15日間,30回にわたり,各個体の待機場内における移動状態を1頭進入するごとにフィルムにおさめた。待機場内の最初の位置は,最上位グループが最前列を選び,最下位グループは最前列を避ける他は場所を選ばず,中間グループは上位ほど前方に位置する傾向があった。待機場内では,1頭が搾乳室へ進入するごとにかなりの個体が位置を変え,総体的には逐次前方に移動するが,同じ位置に長くとどまるもの,一挙に2ゾーン以上前進するもの,後退するものなどがみられた。中間グループでは搾乳室進入に対する個体間の優劣関係は不明瞭で,待機場内の最初の位置,隣接する他の個体との関係,個体の習性・状態など偶発的要因が複雑に関与してその時々の進入順位を変えるものと推察された。
著者
竹内 正人 大島 義広 藤巻 裕蔵
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 第1部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.p157-165, 1987-06

日高山脈の中部と北部の72か所で,1978-1983年の6年間に,1,145個体のネズミ類を採集し,これらの分布について調べた。種数と捕獲指数,種多様度は高山帯の低木群落では少なくまたは小さく,低標高の森林で多くまたは高くなった。高山帯の低木群落ではヤチネズミ属のネズミ類が優占し,森林ではアカネズミ属のネズミ類が優占していた。ミヤマムクゲネズミとエゾヤチネズミは,高山帯の低木群落から低標高の森林にいたるまで捕獲されたが,湿性高山植物群落や川沿いの森林では前者が多かった。ミカドネズミは様々な環境で捕獲されたが,少なかった。ヒメネズミとエゾアカネズミは森林,とくに針葉樹林以下で多くなった。カラフトアカネズミは非常に少なかった。
著者
大原 久友
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 第1部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.372-384, 1968-05

馴鹿は北極圏周辺に飼養されている反芻動物であり,これらの地方では原住民,ラプランド人などによって飼われている。その用途は乳・肉・輸送用など広範である。この地帯における主な飼料は乾燥したツンドラ地帯に広く分布しているハナゴケである。そのほか,エイランタイ,バイダイキノリおよびミズゴケ類も採食される。著者は馴鹿の飼養について科学的な興味をもって若干の研究を行なったが,今回報告するのは主飼料であるハナゴケの消化率と,ハナゴケ以外の北海道産の飼料で人工飼養を行なったものについてである。すなわち昭和18年4頭の馴鹿を樺太から北海道の帯広畜産大学に輸入されたものについて実施したものである。その結果を要約するとつぎのごとくである。1.ハナゴケの飼料組成,消化率および可消化成分はつぎのごとくである。[table]このようにハナゴケは蛋白質,脂肪含量ともに少なく,粗繊維に富む飼料であるが,前者の消化率は低く,炭水化物の消化率は概して高い。性別,年齢別に若干の差異が認められる。澱粉価は7.65,可消化養分総量は20.36である。2.ハナゴケ飼養時における石灰・燐酸の出納についてみると,前者の出納は負であり,後者は正であって46.5%の吸収率を示している。これらは造骨,角質の成分であるから,馴鹿飼料としてはカルシウム剤の補給が必要である。3.ハナゴケの摂取状況は概して良好であったが,ハナゴケ飼料のみの給与では若干生体重が減少する傾向が認められた。4.馴鹿の常飼料であるハナゴケから人工飼料に切替えした飼養試験によると,飼料を切替えした第1回目の摂取には長時間を要し,かつ嗜好性も低かったが,2日目にいたってようやく人工切替え飼料に馴致し,3日目にいたって完全に摂取するようになった。このように飼料の切替えは馴鹿の生理的状態を良好にし,飼養管理に注意するときは急変しても大きな影響がないようである。5.豆類の多給は下痢および鼓脹症を起こす危険性も大きいので200g位を限度とする。切替えに供用した燕麦,ビートパルプ,豆類,ビート茎葉のほか,乾草とくに2番牧草,ヨモギの葉部を好食し,カシワ葉,カラマツの枝なども摘食した。以上のように馴鹿にはじゅうぶんな適正な運動と飼養法によって人工飼料による増体あるいは栄養の向上が可能であることを認めた。
著者
中野 良三 美濃 羊輔 丸山 純孝
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 第1部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.p611-622, 1975-10

同伸性と相似生長性の有無を検討するために,オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)の3品種,早生(チヌーク),中生(フロード)および晩生(ペンレート)を用い,1974年6月中旬から7月中旬まで,野外条件下で出葉位の調査および葉身長と葉幅の測定を行った。1)3品種ともに子葉鞘からの分げつは認められなかった。また前出葉からの分げつは生育の旺盛な個体の低節位分げつに認められた。2)3品種ともに主稈と第1次分げつの間に同伸性は認められたが,第2次分げつは対応する主稈葉位より遅れる傾向がみられた。3)3品種ともに第1次分げつ延葉長と主稈相対延葉長との間に相関が認められたが,生長時期を通じて両者の延葉長の割合は一定でなく,相似生長性のないことが明らかになった。