著者
林 兵磨
出版者
常葉大学経営学部
雑誌
常葉大学経営学部紀要 = Bulletin of Faculty of Business Administration Tokoha University (ISSN:21883718)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.37-49, 2017-02

本稿では、「学校法人会計基準」のとりわけ基本金制度に注目して、検討をおこなった。第1号基本金は時の経過とともに、学校法人が所有する固定資産の価額と乖離が生じてしまい、実態を表さないという問題点が生じてくる。そこで、この問題を改善すべく、第2号基本金を活用するという提案を行った。従来、第2号基本金に対しては、恣意性介入の余地があるという批判がされてきた。また、第2号基本金計上する学校法人数も少なく、その計上金額の割合も僅少であった。しかし、この度の「学校法人会計基準」の改訂により、第2号基本金を巡る規定は大幅に改善された。具体的には、「第2号基本金引当特定資産」の部を設けたことがあげられる。この第2号基本金の活用は、将来の買換更新のためであることはもとより、教育研究条件の改善に貢献しうる可能性があることの指摘を行った。
著者
安達 明久
出版者
常葉大学経営学部
雑誌
常葉大学経営学部紀要 = Bulletin of Faculty of Business Administration Tokoha University (ISSN:21883718)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.1-21, 2017-02

本論文は、日本を含むOECD主要国23ヶ国の国際比較を通じて、各国の「雇用環境」(平均賃金、所得格差、失業率)の特徴を把握するために必要となる諸要因、すなわち「雇用保護規制」(個別解雇、集団解雇等に関する規制、最低賃金等)のほか、これらと深く関連すると考えられる「経済的社会的要因」(1人当りGDP,国際競争力、高齢者労働力率、都市人口比率、ビジネス文化など)を統計学的手法により抽出特定するとともに、それら諸要因の相互関係に関する総合的客観的な基礎的知見を提供することを目的としている。そして、これらの知見に基づいて、日本の今後の雇用保護規制の在り方について提言を行うことを意図して実施したものである。雇用規制等が経済活動に及ぼす研究は既に多数存在するが、分析のフレームとして「雇用環境」「雇用保護規制」「経済的社会的要因」の3つの柱を初めて提示したこと、国際比較モデルを構築し定量的な多変量解析に基づく分析を行っていること、さらには、都市人口比率、ビジネス文化等の社会的要因にまで範囲を拡大し多面的な分析を行った点が本研究の特徴となっており、学術上の意義があると考える。本研究の結論は、一国の雇用制度や雇用政策の特色を検討する上で、当該国がどの様な「経済的社会的要因」を前提・背景として、「雇用環境」(平均賃金、所得格差、失業率)の3つのうちどの項目を優先し、どの様な「雇用保護規制」の組合わせを採用しているかを明らかにすることが極めて重要であるという点である。この結論に関連し、本研究により明らかとなった基礎的知見は、次の5点である。①「雇用保護規制」の強化が「雇用環境」に与える影響としては、総じて、所得格差を縮小する効果をもつ一方で、平均賃金に対してはこれを引き下げる効果を持ち、また失業率に対してもこれを拡大してしまう「トレードオフ」の関係にあることが、定量モデルによる分析から明らかになった。②「雇用保護規制」に加えて、1人当りGDP,国際競争力、人間開発度、相対貧困率、高齢者労働力率、さらには、都市人口比率、高齢者人口比率、年金給付水準、ビジネス文化、人種などの「経済的社会的要因」が、各国の「雇用環境」(平均賃金、所得格差、失業率)の差異を説明する上で重要な要素であることが判明した。③したがって、「雇用環境」「雇用保護規制」「経済的社会的要因」の3つの要素を柱とする分析フレームは、雇用制度や雇用政策の分析を行う上で重要な役割を果たすと言える。その具体的な適用事例として、欧州を中心とする高規制国は、「経済的社会的要因」面における高い国際競争力・高い年金給付水準を前提として、厳格な「雇用保護規制」を採用し、「雇用環境」の面においては「所得格差縮小」と「平均賃金の底上げ」を優先、その代償として「高い失業率」を甘受する形となっている点が特徴として指摘できる。他方、米英系を中心とする低規制国は、「経済的社会的要因」面における低い年金水準、高い高齢者労働力率などを背景に、緩やかな「雇用保護規制」を採用し、「雇用環境」においては「低い失業率」と「中レベルの平均賃金の確保」を優先、その代償として、「高い所得格差」に甘んじる形となっている点に特色があると言うことができる。さらに、日本については、「雇用保護規制」の面では低規制国に属し、特に、男女均等度の低さではOECD主要23ヶ国の中でも低位にあるが、「経済的社会的要因」面でも、世界有数の高齢人口比率と高齢者労働力率の高さで際立っている。また、「雇用環境」の面でも「低い失業率」を優先し、「低い最低賃金」、「高い所得格差」を甘受するという、低規制国の中でも失業率に特化した状況となっている点が最大の特徴となっていることとが指摘できる。④この様な日本の雇用環境の特徴、「低い平均賃金」と「高い所得格差」を改善する方策として、低規制国の典型である「米国型」へのシフトと「高規制国型」へのシフトが想定される。しかし、「今回構築した定量モデルの分析から、「米国型」では平均賃金は上昇するものの、逆に所得格差を拡大してしまうこと、「高規制国型」では所得格差は改善するものの、平均賃金をさらに低下させてしまうと試算され、双方ともに問題点を有していることが明らかとなった。⑤これらの問題点を克服緩和するための方策としては、失業給付や職業訓練に対する「公的支出」の拡大、「男女均等」の推進などの「雇用保護規制」面の対策に加えて、「高齢者労働力率」の一層の改善、「長期勤続比率」の向上などの「経済的社会的要因」の面での対応が、米国型・高規制国型のいずれにおいても共通して有効であることが、今回構築した定量モデルのシミュレーションにより判明した。本研究の結論、および上記5点の基礎的知見を踏まえ、今後の我国の雇用規制等の在り方について提言すれば、現状の日本における厳しい財政制約や解雇の金銭解消制度導入に関する激しい労使間の意見対立を前提とした場合、雇用保護規制の直接的な変更や職業訓練に対する公的支出拡大などよりも、むしろ、「男女雇用均等」の推進に加えて、「高齢者労働力率」の一層の改善、「長期勤続比率」の向上、さらには、「都市人口比率」の引き下げなど、「経済的社会的要因」の面からの対策に重点を置くべきであるということができる。これらの施策は、多額の財政支出を伴わず労使に受け入れられ易い施策であるとともに、上記⑤に示しように、米国型・高規制国型のいずれに進むとしても、その多くが共通して有効な対策であることが本提言の根拠となっている。
著者
有富 智世
出版者
常葉大学経営学部
雑誌
常葉大学経営学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF BUSINESS ADMINISTRATION TOKOHA UNIVERSITY (ISSN:21883718)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1・2, pp.1-15, 2018-02-28

自然主義作家エミール・ゾラ(1840-1902)と作家兼諷刺画家アルベール・ロビダ(1848-1926)は、同時代に生き、双方、ジャーナリストおよび批評家としても活動した。また、実証主義と科学主義が権勢を振るう中、両者の鋭い観察眼と時代を見据える客観的なまなざしは、当時においてはメディアとして機能し、現代においては19 世紀後半のフランス社会を臨場感溢れる視覚化で我々に呈するものとなり得ている。 ゾラは「ルーゴン=マッカール」叢書(1871-1893)、第11 巻『ボヌール・デ・ダム百貨店』(1883)で、オクターヴ・ムーレを主人公に第二帝政期(1852-1870)における商業界の動向を描いた。その際、作家は実在のボン・マルシェ百貨店やルーヴル百貨店の詳細な記録を基に本小説を執筆している。また、我々は女主人公ドゥニーズの視点を通して、消費の宮殿デパートの誕生、新旧商法の対立、大衆消費社会の原点と構造に立ち会うことができる。 他方、ロビダは空想科学小説『20 世紀』(1883)の著者として知られているが、1880 年以降、諷刺新聞『カリカチュール』(1880-1904)の編集長も務めた。本紙の創刊号で、ゾラの小説『ナナ』(1880)を取り上げて以降、 ロビダは自然主義の芸術的活動と反響をとめどなく追っていく。『ボヌール・デ・ダム百貨店』も発表されるや否や、すぐに小説を一枚の戯画に翻案して本紙に掲載している。 そこで本稿では、小説と挿絵の関係からではなく、小説と風刺画の照応というロビダの“イマージュの批評”を介してゾラの小説の解読を試みた。ゾラとロビダが捉えていた“同時代のまなざし”による考察は、消費文化の興隆により生じた様々な社会的側面に注視させるとともに、機械文明がもたらす負の側面をも明瞭にすることを論証した。

1 0 0 0 OA The Media Debate

著者
Laing M.A. J.B.
出版者
常葉大学経営学部
雑誌
常葉大学経営学部紀要 = Bulletin of Faculty of Business Administration Tokoha University (ISSN:21883718)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.77-82, 2015-09

Abstract: In 1983, Richard Clark, reviewing the literature on instructional technology, stated that instructional media have no effect on learning. He claimed that “media are mere vehicles that deliver instruction but do notinfluence student achievement any more than the truck that delivers our groceries causes changes in nutrition,” and his statement has attracted a flood of response from educational researchers for over thirty years. In response to criticism, Clark proposed a“ replacability test,” a challenge that there is no medium that can’t be replaced with another instructional method that will produce the same result. Due to its length and inconclusiveness, some researchers, such as Richard Mayer (2010), have suggested that the media debate is unproductive, and researchers should instead direct their attention to finding the most effective instructional techniques. This paper proposes, asdoes Sharon Shrock (1984), that the media debate is well worth revisiting because it involves issues of central importance to instructional research. The debate is also worth another look because the development of new mediahas shifted the context of the discussion.
著者
小豆川 裕子
出版者
常葉大学経営学部
雑誌
常葉大学経営学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF BUSINESS ADMINISTRATION TOKOHA UNIVERSITY (ISSN:21883718)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1・2, pp.131-147, 2018-02-28

テレワークは、勤務先の場所を離れ、「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用し、時間や場所を有効に活用ができる柔軟な働き方」である。日本では第二次安倍政権以降、民間企業のみならず中央官庁・自治体なども加わり、多くの組織でその取組が本格化している。 テレワークは、ICT の徹底活用による生産性の向上、時差を超えたグローバル事業の展開、そして少子高齢社会を迎え、男女関わらず、出産・育児・介護などさまざまなライフイベント・ライフスタイルへの柔軟な対応、さらに災害やパンデミックなど非常時のBCP 対応が可能となるなど、さまざまな期待が寄せられている。 本稿では、テレワークの現在の普及状況や政府が推進するテレワーク施策の取組を踏まえ、中小企業の経営課題とテレワークの導入効果に関する整理を行い、持続可能な個人・企業・社会に向けた企業システムのフレームワークの提案を行っている。 さらに、2017 年に実施した「働き方改革」に関するアンケート調査等をもとに、中小企業の取組み実態や意識の傾向を分析した。最後に地方自治体におけるテレワーク関連施策を概観しながら、中小企業の経営課題解決におけるテレワークの意義・有効性について検討を行った。 中小企業の働き方改革の取組、テレワークの導入は進んでいないが、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務において「プラスの効果」の実感は高く、意識改革や業務プロセスの革新によって、優秀な人材の確保・維持や組織の活性化につながるものと考えられる。 現在、日本のさまざまな地方自治体において、中小企業の経営をめぐるテレワーク関連施策が講じられている。各種補助事業、情報提供やコンサルティング支援を効果的に活用することにより、着実な成長につながることが期待される。
著者
安達 明久
出版者
常葉大学経営学部
雑誌
常葉大学経営学部紀要 = Bulletin of Faculty of Business Administration Tokoha University (ISSN:21883718)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.1-21, 2017-02

本論文は、日本を含むOECD主要国23ヶ国の国際比較を通じて、各国の「雇用環境」(平均賃金、所得格差、失業率)の特徴を把握するために必要となる諸要因、すなわち「雇用保護規制」(個別解雇、集団解雇等に関する規制、最低賃金等)のほか、これらと深く関連すると考えられる「経済的社会的要因」(1人当りGDP,国際競争力、高齢者労働力率、都市人口比率、ビジネス文化など)を統計学的手法により抽出特定するとともに、それら諸要因の相互関係に関する総合的客観的な基礎的知見を提供することを目的としている。そして、これらの知見に基づいて、日本の今後の雇用保護規制の在り方について提言を行うことを意図して実施したものである。雇用規制等が経済活動に及ぼす研究は既に多数存在するが、分析のフレームとして「雇用環境」「雇用保護規制」「経済的社会的要因」の3つの柱を初めて提示したこと、国際比較モデルを構築し定量的な多変量解析に基づく分析を行っていること、さらには、都市人口比率、ビジネス文化等の社会的要因にまで範囲を拡大し多面的な分析を行った点が本研究の特徴となっており、学術上の意義があると考える。本研究の結論は、一国の雇用制度や雇用政策の特色を検討する上で、当該国がどの様な「経済的社会的要因」を前提・背景として、「雇用環境」(平均賃金、所得格差、失業率)の3つのうちどの項目を優先し、どの様な「雇用保護規制」の組合わせを採用しているかを明らかにすることが極めて重要であるという点である。この結論に関連し、本研究により明らかとなった基礎的知見は、次の5点である。①「雇用保護規制」の強化が「雇用環境」に与える影響としては、総じて、所得格差を縮小する効果をもつ一方で、平均賃金に対してはこれを引き下げる効果を持ち、また失業率に対してもこれを拡大してしまう「トレードオフ」の関係にあることが、定量モデルによる分析から明らかになった。②「雇用保護規制」に加えて、1人当りGDP,国際競争力、人間開発度、相対貧困率、高齢者労働力率、さらには、都市人口比率、高齢者人口比率、年金給付水準、ビジネス文化、人種などの「経済的社会的要因」が、各国の「雇用環境」(平均賃金、所得格差、失業率)の差異を説明する上で重要な要素であることが判明した。③したがって、「雇用環境」「雇用保護規制」「経済的社会的要因」の3つの要素を柱とする分析フレームは、雇用制度や雇用政策の分析を行う上で重要な役割を果たすと言える。その具体的な適用事例として、欧州を中心とする高規制国は、「経済的社会的要因」面における高い国際競争力・高い年金給付水準を前提として、厳格な「雇用保護規制」を採用し、「雇用環境」の面においては「所得格差縮小」と「平均賃金の底上げ」を優先、その代償として「高い失業率」を甘受する形となっている点が特徴として指摘できる。他方、米英系を中心とする低規制国は、「経済的社会的要因」面における低い年金水準、高い高齢者労働力率などを背景に、緩やかな「雇用保護規制」を採用し、「雇用環境」においては「低い失業率」と「中レベルの平均賃金の確保」を優先、その代償として、「高い所得格差」に甘んじる形となっている点に特色があると言うことができる。さらに、日本については、「雇用保護規制」の面では低規制国に属し、特に、男女均等度の低さではOECD主要23ヶ国の中でも低位にあるが、「経済的社会的要因」面でも、世界有数の高齢人口比率と高齢者労働力率の高さで際立っている。また、「雇用環境」の面でも「低い失業率」を優先し、「低い最低賃金」、「高い所得格差」を甘受するという、低規制国の中でも失業率に特化した状況となっている点が最大の特徴となっていることとが指摘できる。④この様な日本の雇用環境の特徴、「低い平均賃金」と「高い所得格差」を改善する方策として、低規制国の典型である「米国型」へのシフトと「高規制国型」へのシフトが想定される。しかし、「今回構築した定量モデルの分析から、「米国型」では平均賃金は上昇するものの、逆に所得格差を拡大してしまうこと、「高規制国型」では所得格差は改善するものの、平均賃金をさらに低下させてしまうと試算され、双方ともに問題点を有していることが明らかとなった。⑤これらの問題点を克服緩和するための方策としては、失業給付や職業訓練に対する「公的支出」の拡大、「男女均等」の推進などの「雇用保護規制」面の対策に加えて、「高齢者労働力率」の一層の改善、「長期勤続比率」の向上などの「経済的社会的要因」の面での対応が、米国型・高規制国型のいずれにおいても共通して有効であることが、今回構築した定量モデルのシミュレーションにより判明した。本研究の結論、および上記5点の基礎的知見を踏まえ、今後の我国の雇用規制等の在り方について提言すれば、現状の日本における厳しい財政制約や解雇の金銭解消制度導入に関する激しい労使間の意見対立を前提とした場合、雇用保護規制の直接的な変更や職業訓練に対する公的支出拡大などよりも、むしろ、「男女雇用均等」の推進に加えて、「高齢者労働力率」の一層の改善、「長期勤続比率」の向上、さらには、「都市人口比率」の引き下げなど、「経済的社会的要因」の面からの対策に重点を置くべきであるということができる。これらの施策は、多額の財政支出を伴わず労使に受け入れられ易い施策であるとともに、上記⑤に示しように、米国型・高規制国型のいずれに進むとしても、その多くが共通して有効な対策であることが本提言の根拠となっている。
著者
瀧澤 寛路 村本 名史 栗田 泰成 笹川 慶
出版者
常葉大学経営学部
雑誌
常葉大学経営学部紀要 = Bulletin of Faculty of Business Administration Tokoha University (ISSN:21883718)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.59-69, 2017-02

本研究の目的は、アルティメットのウィメンオーストラリア代表選手、並びに、日本代表選手を対象に「心理的競技能力診断検査(Diagnostic Inventory of Psychological Competitive Ability for Athletes.3)以下DIPCA.3 と略す」を実施し、心理的競技能力の違いを明らかにすると共に、アルティメットにおける競技能力向上の為の基礎的資料を作成することである。 オーストラリア代表選手におけるDIPCA.3 の総合得点の平均値は、187.95 であり、一方、日本代表選手における平均値は175.00 というものであった。総合得点の平均値は、オーストラリア代表選手が、日本代表選手に比べて有意に高かった。オーストラリア代表選手の心理的競技能力が高いことが考えられる。 また、DIPCA.3 における5 因子の中でも、精神の安定・集中、自信、作戦能力の3 因子の平均値では、オーストラリア代表選手が日本代表選手に比べて有意に高いことが明らかになった。その一方で、競技意欲の平均値では、日本代表選手がオーストラリア代表選手に比べて有意に高いことが明らかになった。 さらに、DIPCA.3 における12 尺度においても、有意な差が観察されたが、忍耐力、自己コントロール能力、リラックス能力、自信、決断力、予測力、判断力という7 尺度の平均値では、オーストラリア代表選手が、日本代表選手に比べて有意に高い値を示した。その一方で、勝利意欲の平均値では、日本代表選手が、オーストラリア代表選手に比べて有意に高い値を示した。オーストラリア代表選手が、忍耐力や闘争心は決して低くはないのにも拘らず、勝利意欲が高くはないという結果は特徴的であった。 従って、オーストラリア代表選手は、日本代表選手に比べて、緊張を強いられる場面であってもリラックスしてパフォーマンスを発揮し、また、失敗を恐れず、自信を持って、ゲームをコントロールでき、さらには、冷静で落ち着いたプレーをコンスタントに実施できることが推察される。