著者
江村 正一 奥村 年彦 陳 華岳
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.7-12, 2008-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2

スズメ (Passer montanus) の舌乳頭とその結合織芯を走査型電子顕微鏡で観察した。肉眼所見では幼鳥および成鳥ともに、舌は舌尖、舌体および舌根の3部位からなり、舌尖の先端は2つに分離した。舌尖から舌体にかけて左右両側は隆起し、正中溝の存在が認められ、舌体の後端には大型の円錐乳頭が存在した。舌尖を走査型電子顕微鏡で観察すると、幼鳥では正中溝に向かって、非常に多くの上皮細胞の剥離が見られた。舌体の表面は、隆起表面は成鳥ではほぼ平坦であったが、幼鳥では円錐乳頭の表面を除き上皮細胞の剥離が見られた。上皮剥離後の舌体の左右隆起部には、大小の突起を有するノコギリ状の結合織芯が縦方向に並ぶ。正中溝においては上皮を剥離することにより、分泌腺の開口部がより鮮明になり、多数の開口部が蜂の巣状を示し、各開口部をリング状に取り囲む結合織芯が観察された。舌尖から舌体にかけて正中溝が見られ、舌尖、舌体ともこの正中溝により分断される所見はこれまでに報告がない。
著者
川畑 龍史
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.9-19, 2019 (Released:2019-11-09)
参考文献数
21

人体の構造と機能を学ぶ学問は、医療専門職(コ・メディカル)領域における重要かつ必須科目である。人体は膨大な細胞および体液や間質からなるが、それらが多様な割合で混ざり合うことで組織、臓器・器官ができ、さらにそれらの機能的な集まりが系統別の器官系をなし、すべての器官系の集合体が人体である。ところで、人体を構成する組織は大きく4つに分類される。すなわち、上皮組織、支持組織(結合組織)、筋組織、神経組織である。この中でも支持組織(結合組織)は、教科書によって分類法や用語・所在に多様な記載がなされ、標本や模型を用いた学修も困難なことなどから、学修者にとって非常に理解し難い概念である。このような解剖学用語を理解するには、実際に生物の解剖を行い、直に形態を観察することがのぞましい。人体解剖の見学実習や動物解剖は、直に形態を観察できる非常に教育効果の高い取り組みである。しかし、実施には多くの条件や準備、コスト、学生への特段の配慮が必要になるなど、取り組む際のハードルは非常に高い。そこで、本稿では、支持組織の特に結合組織の理解を促す方法として、ニワトリの手羽を材料とし、解剖を行い、その有用性を検討した。その結果、手羽の解剖から支持組織(結合組織)に含まれる組織種の多くが観察でき、また、解剖や剖出作業を通じて組織間を強固にあるいは緩やかに連結する支持組織(結合組織)の質感も感じ取ることができた。さらに、結合組織に含まれる数種の組織間比較を行えば、各々の構造的差異が明確となり、病理・病態への理解につながる知見を得ることもできた。以上より、ニワトリの手羽は、結合組織を理解するための良き生物教材になり得るといえる。
著者
江村 正一 阿閉 泰郎 陳 華岳
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-16, 2010 (Released:2015-11-18)
参考文献数
5

17種類の哺乳類の喉頭蓋を観察し次の5つの型に分類できた。Ⅰ型:喉頭蓋の上縁が弓状のもの(ケープハイラックス、マレーセンザンコウ、タヌキ、ニホンカモシカ、ヌートリア、ニホンザル)、Ⅱ型:喉頭蓋の先端が尖った三角形を呈するもの(マーラ、レッサーパンダ、チョウセンイタチ、ハクビシン、アライグマ、アブラコウモリ、コモンツパイ)、Ⅲ型:喉頭蓋の正中部に小突起が見られるもの(ホンドギツネ、ジャワオオコウモリ)、Ⅳ型:喉頭蓋の正中部に長い突起が見られるもの(ジャワマメジカ)、Ⅴ型:喉頭蓋の正中部が2分しているもの(カピバラ)。
著者
佐藤 寿晃 鈴木 貴寿 植村 健一郎 渡部 真紀
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.2-7, 2016 (Released:2016-09-30)
参考文献数
21

本研究は、健常若年者を対象に口腔機能を評価する上で重要である咬合力と口唇閉鎖力の関連を調査した。対象は健常若年者71名(男性34名、女性37名)であった。測定項目は咬合力、口唇閉鎖力、握力とした。その結果、咬合力は、男性で699.4±165.7N、女性で465.9±150.9N であった。口唇閉鎖力は、男性で6.6±1.5N、女性で4.4±1.3N であった。握力は、男性で46.9±5.9kg、女性で29.2±4.8kg であった。性差に関しては、咬合力、口唇閉鎖力、握力ともに女性より男性の方が有意に高値であった(p<0.01)。また、咬合力、口唇閉鎖力、握力の3項目で有意な相関関係を示したのは、男性、女性とも咬合力と握力であり、相関係数0.37(p<0.05)、0.44(p<0.01)であった。しかし、咬合力と口唇閉鎖力には相関関係は認められなかった。以上の結果より、咬合力と口唇閉鎖力との相関関係が低値であるため、口腔機能を評価する上では咬合力と口唇閉鎖力はそれぞれ測定する必要があると考える。
著者
田中 美智子 楠田 (竹下) 真央 安部 浩太郎 長坂 猛
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.67-75, 2009-03-20 (Released:2010-09-09)
参考文献数
20

鉄欠乏性貧血が成長にどのような影響をもたらすかを明らかにするために、ラットを用いて、2つの実験を行った。実験1では、303ppmの鉄含有のエサ (コントロール食) を6週間摂取したコントロール群、3.6ppmの低鉄条件のエサ (鉄欠乏食) を6週間摂取した鉄欠乏群、そして、この鉄欠乏群と同量のコントロール食を6週間摂取したPair-fed群の3群に無作為に分けた。実験2では、コントロール食を8週間摂取のコントロール (C) 群、鉄欠乏食を8週間摂取した鉄欠乏 (ID) 群と5週間は鉄欠乏食を摂取し、その後、3週間はコントロール食を摂取した鉄欠乏―コントロール (IDC) 群の3群に無作為に分けた。実験1ではコントロール群に比べ、鉄欠乏群及びPair-fed群の成長とエサ摂取量は有意に低下していた。しかしながら、コントロール群の体重増加分に対するエサ摂取量の割合は他群に比べると少なかった。鉄欠乏群の血漿レプチン濃度はpair-fed群に比べると有意に低下していた。実験2では、鉄欠乏で見られた成長の抑制、高脂血症及び貧血は、IDC群では認められなかった。C、ID、IDC群の血漿レプチン濃度 (ng/mL) は、それぞれ1.37±0.27、0.90±0.14、2.12±0.53であった。CとID群のレプチン濃度は腹腔内脂肪量と有意な正の相関が認められたが、鉄欠乏ではその関係は認められなかった。我々の結果は鉄欠乏により生じた成長抑制は鉄欠乏の栄養障害によるものだけでなく、体温調節に関係する熱産生が増加したことが関与している可能性を示唆する。また、鉄欠乏のラットはレプチン濃度が低下しており、腹腔内脂肪とレプチン濃度の関係は認められなかった。この関係の欠如は鉄欠乏状態で成長を維持するために必要な生体反応であると考えられる。
著者
吉永 砂織 藏元 恵里子 木下 博恵 根本 清次
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.115-119, 2012 (Released:2015-09-11)
参考文献数
9

健康な成人女性4名を対象に、運動負荷の前・後および回復期に僧帽筋の筋電図測定と頚肩部の自覚症状の聞き取りを行った。測定した筋電図は高速フーリエ変換による周波数解析を行い、パワースペクトルを求め、64階調のスケールカラーで表す筋電位トポグラムを構成した。この結果から、“肩こり”という症状を視認的に説明するための一助として、トポグラフィにより運動負荷による影響について検討した。  肩こりを自覚する2名には、運動負荷後に特徴的な電位の増大が認められ、周波数1~3 Hzおよび10~15 Hz帯域のトポグラム上で鮮明に確認された。これらの筋活動は肩こりのない2名には観察されなかった。以上の結果から、低周波帯域で電位が増大した筋活動は、肩こりに特有な筋活動現象であることが示唆された。