著者
チューサムロング シッティチャイ ラガワン ベンガテッシュ ボゾン ニコラ
出版者
Japan Society of Geoinformatics
雑誌
情報地質 = Geological data processing (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.159-167, 2012-12-25
被引用文献数
1 5

ルート検索処理は緊急対応や緊急決定時に重要な役割を果たす.例えば,出来るだけ早く患者を救急車で病院へ搬送する場合である.本論文では目的地点での事故の位置情報や状況に従って,ルートの移動時間を計算する手法を示す.ここでは事故地点から一番近い病院までの最小移動時間と選択された病院のベッド数や患者の状態などを考慮したいくつかのパラメータが計算される.この手法は緊急ルート決定計画(ERDP)のための階層構造分析法AHP)であるpgRouting アルゴリズムにもとづいている.最初に重み付られた移動時間モデルは ERDP に影響する3 つの障害要素とともに最少の移動時間の設定がおこなわれる.その後,AHP は移動時間に関係するすべてのパラメータを考慮し,障害要素の優先的な重みを計算する.さらに,目的地の状況に従って重み付られた移動時間を検索する新しい改良されたルート検索アルゴリズムをpgRouting の中に実装した.AHP と pgRouting の統合により,道路と目的地の状況の両方を分析する効果的なツールとなった.このことは,自然災害後の避難計画にも有効的である.
著者
古宇田 亮一
出版者
Japan Society of Geoinformatics
雑誌
情報地質 = Geological data processing (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.131-136, 2012-09-15
被引用文献数
2

簡易にデスクトップ・インストールでき,オフラインでも直ちに利用可能なフリーのデスクトップ・アプリケーションについて,FOSS(Free and Open Source System)ベースを主としてその動向を略述する.FOSS であることによって,アプリケーション相互の連携とプラグインの形での取り込みや統合化が進み,ソースコード公開によって多数の専門家のボランティアが参加して,より使いやすくアルゴリズムの充実した体系に進歩している.このFOSSによるデスクトップ・アプリケーション環境はビッグデータの処理,クラウドコンピューティング環境で威力を発揮している.様々なFOSSデスクトップ・アプリケーションのうちから,地理情報システム,画像処理とリモートセンシング,3次元モデルと地球統計学の23種のアプリケーションを紹介する.2012年8月現在のバージョンとダウンロードサイトを表に示す.またビッグデータ化しつつあるフリーな地図・地質図・衛星画像のダウンロードサイトも紹介する.
著者
潘 小多 中村 浩之 劉 勇 郎 〓華
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 = Geological data processing (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-40, 2005-03-25
参考文献数
4

高速道路など大規模な建設工事するとき斜面の切盛土工の実施は不可欠である.このとき必要な要件は計画切盛土量をバランスさせることである.しかし,従来切り盛り土量の計画は手動で行なっているため,非常に効率が悪く,多くの時間と費用を要し,その改善が求められてきた.近年,大縮尺のデジタル標高モデル(DEM)の応用によって従来行なわれてきた切盛土量計算を自動的に解析することが可能になってきた.本論文ではARC/INFO GRID に基づき,調査地域のDEMと道路に関するパラメータ(切盛法面の勾配,路面標高,幅員)を利用して道路の切盛土量の計画を実施した.この解析により斜面の切盛土工を模擬し,切盛土量をすばやく,簡単に計算することができる.<br>