著者
子安 潤 久保田 貢
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.9-16, 2000-03-29

1950年代末より積極的に展開された「主権者教育論」は,その初期の頃,「国家の一員」におしとどめようとする教育内容が,「国家の教育権」のもとに強制されようとしていたことに抗し,「国民」を「主権者」と位置付け,次代の主権者を育てようと提起した点で,意義は大きい。しかし,「国民」に限定した点や,子ども自身が権利行使主体としてどのような行動ができ,あるいはその行動能力を育むのか,といった考察が乏しかった点など,問題点も残されていた。
著者
村岡 眞澄
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.77-82, 2003-03-29

いわゆる「一年生プロブレム」などをきっかけにして、幼・小連携への実践的取り組みに対する関心が高まっている。より実りある連携を推進するには、従来のようなイベント的な交流に終ることなく、教育内容や指導方法の見直しといったところにも踏み込んでいく必要があると思われる。このような問題意識から、小学校低学年の子どもの発達特性に相応しい教育の内容や指導方法を「体育」を切り口として探ろうとした。幼少年期の子どもにとって、身体活動の持つ意味は大きいからである。運動種目を課題として与えず、「子どもがやりたい」と思い、「やってみよう」と自分で取り組み、多種多様な動きを工夫してつくり出す子ども中心の生き生きとした体育学習を総合的につくろうとしている岩井の「忍者体育」のような実践が追究されるならば、そこに自ずと幼・小連携の道が開かれるであろう。岩井の実践はまた幼児教育の見直しを要請する。幼・小の相互理解をふまえながら、子どもの側からの教育を追究することが小連携の基本となると考える。
著者
瀬田 祐輔 牧 恵子
出版者
愛知教育大学実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.91-100, 2010-02

学校図書館司書教諭講習科目「読書と豊かな人間性」は,司書教諭が,読書指導の直接の担い手となることばかりではなく,全校の読書指導の推進者としての役割を果たすことをも見据えた内容となっている。しかしながら,子どもを読書に誘うための個々の手法を実習または演習として組み込むのみでは,それらを駆使した計画・実践ができる力,いわば応用のきく力として身につけさせることは困難である。そこで本稿においては,この問題を解決しうる授業方法を探るべく,プロジェクト型の学習形態(「第2回科学・ものづくりフェスタ@愛教大」に参加し,科学読み物を中心とした読書材の読み聞かせ企画を受講生に運営させるという形)を組み込んだ授業を構想し,実施を試みた。その結果,「読書と豊かな人間性」において,プロジェクト型の学習形態を採用することには,読書指導に関する知識や技能を応用のきく力として身につけさせるという点で,一定の効果を見出すことができた。