著者
子安 潤
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-24, 2002-03-29

近年の有力な学力低下論の言説がいかなる意図の下に主張されているかを考察し,それぞれの議論の根拠や問題点について考察することを目的とする。ここで取り上げるのは,財界の学力低下論,科学主義的な学力低下論,保守主義的な学力低下論,文部省リベラル派の学力論,苅谷の社会学的学力低下論の五つである。特に,それぞれの学力低下論が,今日進められている教育政策の動向と深く関わって発言されていることを示し,教育方法的視角からの議論もきわめてマクロな政治的判断と深く結びあっていることを示した。
著者
子安 潤 久保田 貢
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.9-16, 2000-03-29

1950年代末より積極的に展開された「主権者教育論」は,その初期の頃,「国家の一員」におしとどめようとする教育内容が,「国家の教育権」のもとに強制されようとしていたことに抗し,「国民」を「主権者」と位置付け,次代の主権者を育てようと提起した点で,意義は大きい。しかし,「国民」に限定した点や,子ども自身が権利行使主体としてどのような行動ができ,あるいはその行動能力を育むのか,といった考察が乏しかった点など,問題点も残されていた。