著者
野村 伸一
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 言語・文化・コミュニケ-ション (ISSN:09117229)
巻号頁・発行日
no.26, pp.1-31, 2001

今日,東アジアにおいて民俗の世界は急速度の近代化とともに,衰退していくかにみえる。けれども,ほんとうに衰退していくばかりなのか,これは可能性を秘めた世界なのかどうか,そこから何か新しい視点が開けるのか。こうしたことを考えるとき,わたしには女性の祭祀と女神信仰ということがかなり可能性を秘めているのではないかという予測がある。そこで,福建省や台湾,日本の南島,韓国南部および済州島などの研究者とともに,それぞれの地域ごとに積み重ねられた資料,知見を持ち寄り,これをひとつにまとめあげようとして研究会を発足させた。 とはいえ,現在,東アジア全体を一目でみる準備は整っていないので,とりあえずは東シナ海周辺の民俗文化を取り上げることにした。そしてあらかじめいうと,この地域ではとりわけ女性の祭祀活動と女神信仰が顕著なのだが,にもかかわらず,それがこの地域の民俗世界の性格を考える際に主要な課題となるという視点や取り組みがほとんどない1)。まずは,このことの意味から考えなければなるまい。
著者
申 明直
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 言語・文化・コミュニケ-ション (ISSN:09117229)
巻号頁・発行日
no.25, pp.62-83, 2000

I.始めに1.研究目的及び研究史の検討?2.研究方法II.『小人が…』の「幻想性」と現実克服1.幻想性と現実克服的性格2.『小人が……亅と「ユートピア」1)「メビウスの帯」と「クライン氏の瓶」2) 「抽象的ユートピア」と「具体的ユートピア」①小人と初期のジソブ及びユンホー「抽象的ユートピア」②ヨンスと後期のジソブ及びユンホー「具体的ユートピア」③数学教師-二つの可能性3)「想像的解決」と「象徴的解決」①想像的解決②象徴的解決3.『小人が……』の幻想性と転覆性1) リアリティーの強化①宇宙人・空飛ぶ円盤③地獄と天国④真鍮製の匙III.『小人が……』の「幻想性」と美的装置1.連作形式2.アレゴリーと象徴3.多声性-「私の網に来るとげうお」4.多文体性1)ジャンル挿入2)場面重畳IV.結び
著者
鈴木 正崇
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 言語・文化・コミュニケ-ション (ISSN:09117229)
巻号頁・発行日
no.29, pp.55-102, 2002

1.はじめに2.祖先祭祀3.祭祀の日程と内容4.村の概要5.村の組織と現状6.粘臓節の経過(1)起鼓と請祖霊。12月22日(冬月15日,未日)。(2)客人迎え。12月23日(冬月16日,申日)。(3)大型祭幡遊塘と盧笙舞。12月24日(冬月17日,酉日)。(4)盧笙舞。12月25日(冬月18日,戌日)。(5)牛転塘。12月26日(冬月19日,亥日)。(6)木を伐る。12月27日(冬月20日,子日)。(7)転牛塘と殺牛の準備。12月28日(冬月21日,丑日)。(8)12月29日(冬月22日,寅日)。殺牛祭祖。7.枯臓節の現在(1)死者との交流(2)水牛(3)周期性のリズム(4)現世でのたのしみ(5)観光化(6)社会組織と民族意識の再編成(7)計画郷加両寨との比較(8)広域での比較(9)結論
著者
上原 孝三
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 言語・文化・コミュニケ-ション (ISSN:09117229)
巻号頁・発行日
no.26, pp.75-96, 2001

1. はじめに2. 宮古島狩俣村落の概要3. 『御嶽由来記』にみえる御嶽由来説話4. 狩俣のウヤガン祭祀5. 巡行する女神