著者
曽田 修司
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.47-55, 2007

公立文化施設は、従来アートの愛好家だけを対象としがちであり、公共財としてのアートという認識は一般的ではなかった。近年、ワークショップやアウトリーチなどの手法により、非愛好家に対してもアートの価値を目に見える形で提示する機会が増加している。これは、非愛好家を含む地域住民が地域文化形成への参加の保証を得ることにつながり、公立文化施設をめぐる異なる立場間の対立に「対話の可能性」をもたらすものと考えられる。
著者
秋葉 美知子
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.49-61, 2002

今日的意味でのパブリック・アート概念の成立は、1967年にNEA (全米芸術基金) が「アート・イン・パブリック・プレイス」プログラムを創設したことに起源をもつ。本稿は、このプログラムによる第一号作品として1969年にグランドラピッズ市に設置されたアレクサンダー・カルダーの彫刻「ラ・グランド・ヴィテス」をパブリック・アートの嚆矢と位置づけ、その設置に至る経緯を考察することにより、米国におけるパブリック・アートのオリジナル概念を論じる。
著者
河口 淑子 多治見 左近
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.59-68, 1999
被引用文献数
1

本研究は、情報誌"ぴあ"の音楽・演劇公演状況を分析することにより、関西圏の各都市における催し物の開催数や種類の分布の実態を明らかにすることを目的としている。人の流動状況や立地状況などの都市の性格と催し物の数やジャンルとの間には関係のあることがわかった。観客を供給する規模や地域的な広がりに違いはあるが、大阪市と京都市は催し物の供給に関して、関西圏の中心的な都市であることが分かった。また、都市の立地状況の違いにより、開催されるジャンルには違いがあることが把握できた。
著者
伊志嶺 絵里子
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.83-93, 2006

近年、日本の音楽祭の開催目的は多義化している傾向にあり、運営のあらゆる段階で市民参加が進むことにより、音楽祭の形態や企画内容も多様化している。こうした中、官民連携したマネージメントに必要なのは、ヒューマンウエアのレベルで市民参加を発展させる仕組みづくりを内包すること、そして行政は、すべてを地域住民に情報公開した上で、地域住民や音楽家との討議を重視し、全体をコーディネーションできる人材をもつことである。