著者
石井 佳世子
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.1-8, 2007-09-20
被引用文献数
1

小児がん発症後5年以上を経過し、社会生活を送っている青年後期の小児がん経験者をもつ母親20名を対象とし、母親の子どもへの関わりとその関わりの意味を明らかにするため、質的記述的研究を行った。その結果、母親は〔子どもへの基本的な思い〕、〔母親として責任のある子どもへの思い〕、〔豊かな人生を送って欲しい〕という3つの【母親としての願い】を持っていた。この願いは、【体験を無駄にしたくない】という病気体験の捉え方、【やっぱり病気を忘れられない】という病気そのものの捉え方、【将来のある子ども】という子どもの捉え方によって、常に揺れ動いていた。また母親は、【母親としての願い】を持ちながら、【子どもを守る】という関わりを行い、これはこの先も子どもを守り続けたい<終わりのない見守り>という意味を持つと考えられた。さらに母親は、子どもへの関わりを通して、【変わっていく自分】を感じ、子どもの病気を自らの体験として意味づけていた。
著者
奈良間 美保 堀 妙子 山内 尚子 塚本 雅子
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-8, 2001-02-28
被引用文献数
4

本研究は、先天性の疾患により排泄管理を必要とする幼児の日常生活の自立の特徴を、健康児との比較から明らかにすること、また排泄行動の自立の関連要因を明らかにすることを目的とした。排泄管理を必要とする幼児の母親、保育園に通園する健康児の母親を対象に質問紙調査を行い、患児の母親58名、健康児の母親107名の回答から以下の結果を見いだした。1)排泄管理を必要とする患児は、健康児に比較して排泄の自立に明らかな遅れが認められたが、必ずしも生活全般の自立に遅れはなかった。2)導尿などの特殊な処置を行っている患児は、排泄行動の自立の遅れが顕著であった。3)患児が規則的な排便習慣を達成していないことは、排泄行動の自立が遅れることと関係が認められた。4)患児の家族は健康児の家族より、食事内容の調整を積極的に行っていた。家族が食事内容や生活時間を調整することは、患児が規則的な排便習慣を確立することと関係が認められた。