著者
薬袋 秀樹
出版者
日本生涯教育学会
雑誌
日本生涯教育学会論集 (ISSN:13476254)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.43-52, 2016-09

1971年~72年に社会教育審議会社会教育施設分科会図書館部会で「公立図書館の設置及び運営に関する基準(案)」が検討された。部会案が作成され、文部省が整理した基準案が1973年に社会教育審議会で了承されたが、大臣告示されなかった。本研究の目的は、基準が大臣告示されなかった理由を明らかにする作業の一環として、基準案の検討過程の問題点を明らかにすることである。関連文献を調査した結果、基準案は社教審では条件付きで了承されていること、公民館基準や1967基準案については言及されていないこと、図書館の必置を求めていると誤解されやすい規定は文部省によって修正されたが、一部を除いて、数値目標は修正されなかったこと、規定と数値目標の考え方の根拠が十分説明されていないこと、海外の基準の取り扱い方法が不明確であること等の問題点があることが明らかになった。
著者
薬袋 秀樹
出版者
日本生涯教育学会
雑誌
日本生涯教育学会論集 (ISSN:13476254)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.11-20, 2017

1973年に社会教育審議会社会教育施設分科会で「公立図書館の設置及び運営に関する基準(案)」が承認されたが、大臣告示されなかった。本研究の目的はこの基準案の規定・数値目標の特徴を明らかにすることである。関連文献を調査した結果、次の点が明らかになった。第一に、基準案は効力に欠けるため、大臣告示が求められている、第二に、図書館職員の現状に様々な問題があることが指摘されており、改善のための取り組みが必要である、第三に、市立図書館の数値目標は、人口比例のため、大都市ほど実態との差が大きく、都道府県立図書館と町村立図書館の数値目標は、人口段階別の配慮が見られず、実態との差が大きいため、数値目標が高すぎるという意見は妥当と考えられる、第四に、数値目標の根拠の必要性、貸出冊数等の数値による評価方法への疑問が指摘されている、第五に、基準案に関する議論が不足している。
著者
薬袋 秀樹
出版者
日本生涯教育学会
雑誌
日本生涯教育学会論集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.53-62, 2018-09

1992年に生涯学習審議会社会教育分科審議会施設部会図書館専門委員会が「公立図書館の設置及ぴ運営に関する基準」をまとめ、文部省社会教育局長名で都道府県教育委員会に通知された。公示されなかったが、初めての基準となった。本研究の目的は、この基準が当時の国の公共図書館行政の中でどのような役割を果したのか を明らかにすることである。関連文献を調査した結果、次の点が明らかになった。非常に多くの課題に直面する状況で、局長通知ではあるが、初めて基準を定めたことに大きな意義がある。特に地方行革による規制緩和の提案に対し、今後の展開を予測し、専門的職員の制度を維持するための規定を定めたこと、数値目標とその根拠を明示したこと、専門委員会が基準を確実に制定するために積極的な取り組みを行い、事務局が関係団体との懇談等によって説明に努めたことが高く評価できる。
著者
薬袋 秀樹
出版者
日本生涯教育学会
雑誌
日本生涯教育学会論集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.103-112, 2012

本研究の目的は、朝の読書の評価に関するアンケート調査の意義と問題点を明らかにすることである。これまで行われてきた朝の読書の評価に関するアンケート調査に関する文献を収集し、①調査の実施状況、②調査結果、特に生徒による評価の内容、③今後の課題について検討した。研究の結果、①調査の実施については、毎日新聞社等による全国調査のほか、各学校で調査が行われていること、各学校での調査は、調査対象者数、実施年月日等の調査の方法と調査結果のくわしいデータを記載しているものとそうでないものがあること、②調査の結果については、朝の読書が、小学生を中心に読書の普及に役立っていること、さまざまな点で生徒の心の充実に寄与していること、③今後の課題として、標準的な質問紙と発表方法の開発が必要であることが明らかになった。