- 著者
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薬袋 秀樹
- 出版者
- 三田図書館・情報学会
- 雑誌
- 三田図書館・情報学会研究大会発表論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.2013, no.11, pp.21-24, 2013
研究の目的は、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(平成24年文部科学省告示第172号)が私立図書館も対象としたことに対する専門図書館協議会と日本図書館協会の意見について検討し、その意味を明らかにすることである。資料として、上記の「望ましい基準」及び2008年以後の図書館法における私立図書館に関する文献を収集し、次の4つの研究課題を設定し、その観点から文献を分析した。①基準では、私立図書館はどのように規定されているか。②図書館法では、私立図書館はどのように規定されているか。③專図協の意見はどのようなものか。④日図協の意見はどのようなものか。⑤両者の意見にはどのような意味があるか。主な成果として、次のことが明らかになった。私立図書館に対する国・地方公共団体の関与は現在も厳しく制限されている。基準には私立図書館に対する強制力がなく、私立図書館は自主的に基準の実現に努める。専図協関係者は、基準に対して、図書館運営の目安の確立、社会的認知、ネットワーク、サービスの発展等の点を評価している。結論として、基準は私立図書館に対する国・地方公共団体の干渉を導くものではなく、専図協関係者によって一定の意義が認められている。