- 著者
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野間 晴雄
- 出版者
- 関西大学
- 雑誌
- 東アジア文化交渉研究別冊 (ISSN:18827756)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.109-135, 2009-03-31
大航海時代以降にヨーロッパ,とりわけアルプス以北の寒冷な国々では王侯貴族の趣味として,ヨーロッパ以外の花を種子/球根を生きたまま本国に運んで移植し愛でる慣習が広まった。とりわけアングロサクソンのイギリスやオランダはその核心となる。その背景には,薬草学の知識やリンネを頂点とする分類学の発展などがあった。本報告では,その採集を異国の地で担ったプラントハンターと呼ばれる植物採集の専門家の性格を多角的に考察するとともに,採集を依頼・指示した人びととの関係もとりあげる。次にプラントハンターの東アジアでの一事例として,イギリス人ロバート・フォーチュンの日本・中国での採集の方法と成果,歴史的背景を分析する。最後に,プラントハンティングの対象としてユリとキクをとりあげて,西洋と東洋の文化交渉を園芸,栽培化のプロセスから通観して,事例から迫る文化交渉学の方法論にも言及したい。