著者
酒井 秀夫 坂本 和彦 竹居 宏道
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用研究会誌 (ISSN:0912960X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.233-242, 1995-12-15

アーティキュレイト式ホイールトラクタの全木集材時の走行速度を分析した。空車登坂時は勾配の影響が大きく,勾配が急になるにつれて速度が低下し,6°〜13°では速度が6km/時前後であった。雨上がりに勾配11°の直線路ではスリップが大きくなっていた。最小旋回半径が小さいため曲線半径の影響は小さく,R=8mでも直線区間に対する速度の低下は1km/時ほどであった。積載量が4.6m^3以下の直線区間の実車降坂では,勾配が約-7°以下では2.6〜14km/時と大きくばらついていたが,-6°〜-13°になると,2.4〜4.6m^3の積載量では4〜7km/時であり,勾配に対して速度調節の影響があらわれていた。同じ積載量でも末口吊りの方が元口吊りよりも速度が低かった。実車走行では曲線半径の影響が大きく,勾配-11°前後において,直線区間では4.5〜7.4km/時であるが,R=30mでは3.5〜5.5km/時に,R=8mでは2.2〜3.6km/時に低下していた。勾配-5.5°,R=20mでも曲線半径の影響が見られた。以上の結果は,全木集材時の路線設計に資することができる。
著者
吉村 哲彦 赤羽 元 神崎 康一
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用研究会誌 (ISSN:0912960X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.195-204, 1995-12-15 (Released:2017-11-17)
参考文献数
14

林道のり面が崩壊を起こす事例が各地で見られるが,大規模な崩壊が起きると林地に多大な被害が及ぼされる。そこで,ファジィ理論を用いて,切取のり面及び盛土のり面の崩壊危険度の判定を試みた。崩壊危険度の判断システムは,奈良県十津川村の林道で行った調査の結果に基づいて作成した。のり面の崩壊が多く発生しているのは,内カーブの中心,外カーブの変曲点,林道幅の広い場合,急斜面の場合,切取のり面が高い場合であった。ファジィ積分法を用いて林道のり面の崩壊危険度の判定を行った結果,判別率は切取のり面で68.9%,盛土のり面で70.7%であった。数量化2類では,判別率がそれぞれ67.0%,72.1%となり,ファジィ積分法を用いても,数量化2類と同程度の判別率が得られることがわかった。ファジィ理論を用いるメリットは,地域に応じた判断システムを容易に構築できることであり,評価要因の重視度や評価要因ごとの崩壊危険度を調整することによって,この判断システムを他地域へ応用することができる。
著者
清水 裕子 酒井 秀夫
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用研究会誌 (ISSN:0912960X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.53-60, 1994
被引用文献数
1

わが国の森林作業環境に適した作業服の機能と快適性を追求し,森林作業の生理的負担を軽減する目的で,アンケート調査を行った。その結果,次のようなことが明らかになった。(1)寒冷時には手足に寒さを感じており,そのための保温が必要である。(2)発汗時に汗の吸収のよい素材についての要望が大きく,素材の検討が急がれる。(3)雨天での作業も行われており,雨具の検討もすべきと考えられる。(4)伸縮性やゆとりのある作業ズボンが作業性と危険防止のために必要である。(5)携帯品が多岐にわたっており,作業服に機能的なポケットを設計することが重要である。(6)作業服の色の好みに関しては,年齢による違いがみられる。明るく斬新なデザインや色について,若い層から要望が出されており,このような点を考慮して作業服を設計する必要がある。これらの結果は,今後機能的で快適な作業服の設計に資することができる。
著者
ガンダスチャ スチャ 吉村 哲彦 山本 俊明 神崎 康一
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用研究会誌 (ISSN:0912960X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.117-123, 1995-08-15
被引用文献数
1

インドネシアの東カリマンタンに位置するバツアンパールのビレッジHTISP1とHTISP3で,産業造林の作業者の疲労調査を,フリッカーテスト,ブロッキングテスト,蓄積的疲労徴候調査によって行った。フリッカーテストの結果,おおむね作業前よりも作業後の方がフリッカー値が低下していた。ブロッキングテストの結果,天然更新の補整植栽作業による阻止現象は認められないという結果になった。蓄積的疲労徴候調査において,応答率を日本における橋梁建設工事作業者と比較したところ,身体的な疲労は,今回の調査結果の方が際だって大きかった。その理由として考えられるのは,赤道直下の過酷な暑さである。作業種,居住地,年齢別にその傾向の違いを調べたところ,作業種による違いはあまり大きくないが,「下刈り」が特性項目全般にわたって高くなっている。居住地による違いを調べたところ,身体的疲労はHTISP1の方が際だって高いという結果になったが,HTISP1はHTISP3よりも居住年数が長いため,疲労が蓄積しているのではないかと考えられる。
著者
仁多見 俊夫 廿日出 崇
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用研究会誌 (ISSN:0912960X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.5-13, 1991-03-15

パソコンおよびディジタイザを用いて,作業時間観測結果の分析作業を容易に行うことのできるシステムを作成した。作業現場で野帳に記入した作業時間観測結果をパソコンおよびディジタイザを用いて電気データに変換してデータファイルを作り,そのデータファイルを表計算プログラム群で処理することによって,作業工程,功程,サイクルタイム等の作業仕組みを検討するために必要な基礎的数値を容易に得ることができる。作業時間分析作業の能率を高めるとともに,パソコン上において対話式の処理作業を行うことを可能とすることによって,分析者の問題意識に基づく対象作業についての数量的な検討を,さまざまな側面から行うことを容易にした。